広がる日中不再戦九州自治体議員の会(準)
地方と地方、民と民の交流が力に
日中不再戦・平和友好を進める九州自治体議員の会は4月13日、福岡市で結成準備会を開いた。その後、西聖一熊本県議を団長に九州3県の自治体議員と事務局員の計9人が参加して4月23日から28日まで北京、南京を訪ねる訪中団を派遣した。訪中の成果を広め戦争回避・日中友好の機運を高めるため、賛同会員の拡大と、当面二つのことに取り組むことになった。一つは、結成準備会での羽場久美子・青山学院大学名誉教授の記念講演と訪中報告をまとめた冊子を発行すること。もう一つは、訪中報告会を各県で開催すること。報告会は7月21日に福岡市で、8月21日に長崎市でそれぞれ開催された。
今後、訪中報告会をさらに各県各地で開催するとともに、次第に各県の世話人体制なども整備し、来年にも再び訪中団を出すことも相談されている。沖縄県那覇市で開催の第20回全国地方議員交流研修会ではその前進成果と経験を報告できるようにしようと頑張っている。
福岡報告会 7/21
福岡報告会は7月21日に福岡県教育会館で行われ、約50人が参加した。
開会にあたり訪中団の団長である西聖一熊本県議があいさつと報告。西氏は「この訪中を通して、広範な国民連合と中国との信頼関係がとても深いことを感じた。熊本では今、35人の高校生や大学生が中国側の招待で訪中している。こうした動きと合わせて、日中不再戦の世論を高めていきたい」と話された。
訪中団員の春口あかね筑紫野市議は、「初めての訪中だったが、周囲の人たちの中国に対する印象は必ずしも良いとは言えない。自分で確かめたいというのが一番の動機だった。自動運転のバスに試乗したが、IT産業の面でも日本のはるか先を進んでいる。2025年までに森林被覆率を24%に増加させることを目標にして、緑化も進んでいる。こうした中国と手を切って日本の産業は成立しないと実感した。中国と一括りするのではなく、個人のつながりを大切にすることも重要だと感じた」と話された。南京の江蘇・福岡友好桜花園で出会ったボランティアの学生の名前が、同じ「茜」だったというほほえましいエピソードも紹介された。
吉村陽一筑紫野市議は、北京の「中国人民抗日戦争記念館」と南京の「南京大虐殺記念館」から受けた衝撃を報告。旧日本軍の非人道的な行為の写真を紹介しながら、「人はどこまで残虐になれるのだろうか。戦争は最大の人権侵害です」と話された。そのうえで、「1972年の日中共同声明には、『中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する』と書かれている。旧日本軍の行いを踏まえてこれを読むと、中国政府の日中友好にかける思いの深さを感じます」と話された。
森あやこ福岡市議は、都合で南京大虐殺記念館を団とは別に前日に訪問することになったが、中国側の配慮で、館の職員や通訳から詳細な説明をしていただいたと報告された。
「南京の記念館は正式名称を『侵華日軍南京大屠殺遭難同胞紀念館』といい、同胞を弔うための記念館だということでした。なかでも印象的だったのは、妊娠中の女性が日本兵に襲われ、抵抗したために命は辛うじて助かったもののおなかの赤ちゃんは死んでしまった。その女性が戦後、若者たちに『事実や歴史は記録として残すべきだが、怨みは残してはいけない』と語ったということでした。記念館の一角に紫金草(むらさき花だいこん)の花を持った少女の像があり、『紫金草物語』が紹介されていました。終戦後、中国を訪ねた一人の元日本人兵士が、中国の人たちにお詫びをするために、この花の種を持ち帰り咲かせたそうです。この物語が『むらさき花だいこん』という絵本になりました。この物語を伝えていきたいと思います」と結ばれた。
最後に事務局の上村和男筑紫野市議が、「この報告集を活用し、九州各地で訪中報告会を開催して、賛同会員を拡大したい。できれば九州各県に事務局があるような状況の中で会を正式に発足させたい」と決意を述べられ、福岡報告会を終えた。
(広範な国民連合・福岡事務局
樋口茂敏)
長崎報告会 8/21
8月21日、長崎県勤労福祉会館において「日中不再戦、平和友好を進める九州自治体議員の会(準備会)」による、訪中団(団長:西聖一熊本県議)の報告会が開催された。
当日の司会進行を白川あゆみ長崎県議が務め、開催にあたり坂本浩長崎県議があいさつされ、長崎でもこの趣旨に賛同する議員が増えるよう広く呼びかけていきたいと述べた。
その後、西聖一団長より、訪中団日程での映像を紹介しながら、「中国人民抗日戦争記念館、南京大虐殺記念館においても、日本人だからといって全く敵意をもった目で見られることなく、ごく普通に接してくれたこと。過去を認識し、将来は二度と戦争をしていけないこと。いま生きている者が努力しなければならないと結ばれていることなどに感銘を受けた」と報告。さらに、「期間中、各界への表敬訪問にあたっては温かい歓迎を受け、たとえ日本と中国との政府間がうまくいっていなくても、地方と地方、民と民の交流は必要だと感じた。実際に現地に行って、この目で見て話し合うことの重要性を改めて認識した。『台湾の有事は日本の有事』と戦争を煽る一部政治家、マスコミに対し、実際はそうではないんだと粘り強く話していく必要がある」と力説された。
会場には西聖一団長のほか、上山貞茂鹿児島県議、森あやこ福岡市議、上村和男筑紫野市議、吉村陽一筑紫野市議も参加され、それぞれが訪中での感想を述べた。特に共通していたことは、中国の方は、過去を教訓としながらも未来に向けた言動が多くあって、決して日本を敵視したようなことがなかったこと。さらに、日本のような「反中国キャンペーン」は日本の未来にもいい影響を与えないと感じたことなどであった。
その後、会場の参加者から、中国の大気汚染など環境問題、香港などの人権問題、尖閣諸島問題など率直な質問も出され、この訪中団として見聞して改善されたことや、まだ十分わからないことなども含めて応答していた。
さらに、上村筑紫野市議から、これからこのような訪中団報告会を九州各県で開催し、「日中不再戦、平和友好を進める九州自治体議員の会(準備会)」の賛同者を広げ、来年にも正式結成し、再び訪中団として中国を訪問したい旨話された。「長崎ではすでに坂本浩県議と白川あゆみ県議が中心となっているようなので、さらに賛同者を募って長崎でも正式の準備会が結成されることを期待している」と感想を語られた。
最後に、本田みえ島原市議から閉会のあいさつとして、残留孤児問題にも触れ、「まだ日本の戦後処理についての課題もある。しかし民間同士の友好交流をもっと進め、政府を動かしていかなければならない」と結んだ。
(広範な国民連合・長崎事務局
田代圭介)