新時代の日中平和・友好関係をめざして
長崎市で10月8日、〝新時代の日中平和・友好関係をめざして〟とのスローガンを掲げて「日中国交正常化50周年記念集会」(実行委員会主催)が開かれた。当初、9月19日を予定していたが台風の影響に伴い延期、43団体・法人と100人を超える個人の賛同を得て開催が実現した。県民、市民約150人が参加、来賓に長崎華僑総会、与野党国会議員秘書、県議会日中友好議員連盟の4県議をはじめ佐世保・厦門市青少年交流協会、県貿易協会、労組の代表者らも出席。多数の祝電・メッセージも寄せられ文字通り各界・各層、超党派による県民集会となった。
開会を飾ったのがシッシー・チーさんの二胡演奏。その後、実行委員会共同代表の森泰一郎氏が、「長崎は中国と特別に長く深い歴史をもっている。かつてわが国は中国を侵略した負の歴史を負っているが、敗戦後は一切の賠償を要求せずすべての戦犯を許した中国の寛大な行為が日中友好の前提になっている。21世紀もこうしたことを念頭に日中友好の活動をますます進めたい」と開会あいさつした。続いて、長崎華僑総会の趙弘隆会長が来賓あいさつ、日本華僑華人聯合総会の祝辞も披露された。
元早稲田大学総長の西原春夫先生が、「望ましい日中関係の実現に向けて」と題して講演。
まず、国交正常化の実現に果たした民間交流の重要性を紹介され、長崎は、鎖国時代や明治維新において国際性をもっていたことや歴史を動かす「民間」の役割を具体的に説明。戦後の民間外交について年次を追って説明し、民間人の長い活動があったればこそ、国としての正規の国交正常化が成り立ったことを強調。
その上で、社会主義国は元来、理想社会実現に向けて「変化する」ことを前提とする国であることを、特に民主主義国では権利や自由などの基本的価値観を普遍的と思っているから見落としがちになる。習近平主席はその変化を非常に重視しているから、理想が語れると指摘。その上で、自身の経験にも触れながら、「中国の発展に役立ち、中国人の心に響くものであるならば全面的に受け入れる」と日中友好交流の重要さを指摘。特に長崎には、先進的な民間思想が歴史を動かしたというここにしかない深い伝統がある。その伝統を引き継げば、未来志向を掲げて日中関係を進める力量を長崎はもっていると激励した。
中国駐長崎総領事の張大興氏は、中国と長崎の深い絆に触れながら「国交正常化の初心を忘れず中日友好の新たな歴史を刻み続けよう」とあいさつした。
最後は、次代を担う日中の学生、日本の村上文音さん(長崎大学多文化社会学部3年)、中国人留学生の蘭天さん(長崎大学経済学部3年、福建省出身)からのメッセージが紹介された。村上さんは、未来を形成する若者として、日中をはじめとする幅広い人々との交流を深め、共生への思いを共有・発信する義務があることなど。蘭さんからは、お互いがお互いを理解するためには、「結論を急がず、かつ過度にこだわらず、常に他の可能性を受け入れる心構え」など、頼もしいメッセージだった。
実行委の大藪朝祥氏が「民間外交の力が政治を動かす。若い世代の参加など勇気をもらった」などと語り集会を締めくくった。