進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」 横田基地

米軍横田基地
進む実戦訓練基地化

横田・基地被害をなくす会 代表 大澤 豊

 横田基地では最近、次々と新たな課題が増えている。5月に「Beverly Morning22-01」という名前の訓練が行われ、米軍三沢基地の戦闘機F16が12機飛来。迅速機敏戦闘展開(ACE)と重大事故即応演習(MARE)が行われた。早朝から夜間という時間帯に複数機で同時に離発着し、基地周辺だけではなく遠隔地にまでも轟音が鳴り響き、基地から離れて生活している私自身も驚いた。訓練のために三沢基地所属のパイロットや整備士など150人が参加し、期間中は横田基地に滞在した。また訓練名に22-01という番号が振り付けられていて、次の22-02もあるかもしれないと思わされた。


 また5月中旬から5カ月ほどという長期間にわたってグアム基地に展開されている米空軍の無人偵察機グローバルホーク(2機)が横田基地に展開され、その運用のために約100人の要員が来るということが判明した。「我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、周辺国の軍事活動が活発化し、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)活動はますます重要になっている」ことが理由のようだ。

 空母ロナルド・レーガン艦載機の着陸訓練なども、天候不順や不測の事態に硫黄島ではなく横田基地で実施するという通告も来ている。また、「太平洋水陸両用指揮官シンポジウム2022」(陸上自衛隊、米海兵隊が主催)が6月に開催され、そのときに使用するHIMARS(長射程の阻止砲撃用としてアメリカ陸軍が開発した装輪式自走多連装ロケット砲)が横田基地に空輸されるなど、横田基地が重要な役割を果たしていることが明らかになった。

 一方、オスプレイの事故は頻発している。6月初めにも米国カリフォルニア州で墜落事故が起き4人が死亡したといわれ、この航空機には核物質が搭載されていると報道されたが、米軍は否定。

 日本国内には米軍、自衛隊を合わせると約50機のオスプレイが配備される予定だ。これらの危険な航空機が、人々が生活する町の上を飛び回ることになる。騒音にとどまらず、環境汚染や落下物や墜落の危険性まで含めて住民に押し付けている日本政府の無責任ぶりに改めて怒りを覚える。

 また、6月2日に横浜市にある米軍施設「ノースドック」に横田基地のオスプレイ3機が駐機していることが判明したが、米軍はその理由を関係自治体に説明していない。

 ロシアのウクライナ侵攻により、世界の軍事事情が大きく変更されようとしている。このことを理由にして日本でも憲法改正、軍備の拡大、防衛力から攻撃力へという声が大きくなってきた。軍備ではなく、積極的な平和外交の追求こそ、今求められる。

 「第9次横田基地公害訴訟」は2021年1月に最高裁での判決(騒音被害は認め賠償はするが、夜間~早朝の飛行禁止は認めない)が出て一段落。しかし、今後も基地騒音はさらに大きくなって続き、新たな裁判を起こす予定で、原告募集など訴訟の準備中である。

「第3次新横田基地公害訴訟」始まる

 米軍横田基地(東京都)の周辺住民1282人は6月20日、米軍機と自衛隊機の騒音で耳鳴りなどの健康被害が出たとして、夜間早朝の飛行差し止めと損害賠償を国に求める「第3次新横田基地公害訴訟」を東京地裁立川支部に起こした。2018年配備の米軍輸送機CV22オスプレイは低周波音被害が深刻として、終日の飛行禁止を新たに訴えた。原告の居住地は東京都福生市や埼玉県入間市など8市町の広範囲に及ぶ。

(編集部)

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