『日本の進路』編集部
翁長雄志沖縄県知事は7月27日、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、「前知事の埋め立て承認撤回」を表明した。そして「あらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地はつくらせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考え」を改めて表明した。「オール沖縄」を強化する、この知事の英断を断固支持する。
政府は、地方自治体としての沖縄県のこの決定を受け入れなくてはならない。
全国で翁長知事を支持し、沖縄県民とともに新基地建設を許さない世論を盛り上げなくてはならない。この秋が天王山である。
翁長知事は会見の冒頭で、埋め立ての賛否を問う県民投票条例の署名活動の取り組みを高く評価し、政府がここに表明されている県民の意思を尊重するよう求めた。
青年たちを中心に「沖縄のことは沖縄が決める」と始まった署名は大きく広がり、署名数は10万1千筆を超えた。1996年の県民投票時、労働組合の連合を中心に取り組まれた署名数が3万5千筆弱だったことを考えると、現在の県民意識の大きな前進、運動の高まりを確信できる。
知事の今回の決断は、「新たな基地はつくらせない」という県民意識に応え、闘いをさらに前進させるに違いない。
8月11日には、「オール沖縄会議」が辺野古沖の埋め立て土砂投入に反対する県民大会を那覇市の奥武山陸上競技場で開催する。政府は、土砂投入開始を8月17日としており、現地では緊張した闘いが続く。9月には、多くの県内市町村議員選挙が行われ、とりわけ名護市議選が焦点となる。10月には那覇市長選があり、11月18日が翁長知事の再選をかけた県知事選である。
沖縄県民が、翁長知事を先頭に「オール沖縄」を強化し勝利することを確信する。
全国知事会が地位協定抜本改定要求を全会一致で決定
全国で沖縄を支え、政府を追い詰める闘いが求められる。
こうした情勢下で全国知事会は「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択した。米軍への「国内法の原則適用」など日米地位協定の抜本改定を求め、沖縄県の米軍基地は「(基地面積割合は)依然として極めて高い」「更なる基地の返還等」にも触れている。全国知事会の地位協定改定要求は初めてであり、画期的な提言である。
大多数は政権与党に支持された知事たちが、全会一致でこの提言を採択したことの政治的な意義は非常に大きい。全国紙やテレビが無視しほぼ一切報道していない事実からもことの重大さがうかがえる。
緊迫した沖縄の情勢を全国の知事たちが知らないはずはない。だからこそこの時期の提言となったともいえる。「日本の米国に対しての従属」(翁長知事)から抜け出し、自主的な国へ、そして「地方自治」が真に実現する国を希求する機運の文字通り広範な高まりを示している。
全国で、この知事会の提言を支持し、沖縄に連帯する機運を広げようではないか。都道府県でも市町村でも、首長に態度表明を迫り、地方議会では支持する決議、意見書採択を進めなくてはならない。
国政野党にも言いたい。翁長知事は、「日本の従属は国会でも議論にならない」と国会を痛烈に批判している。野党にも大きな責任がある。「本気の共闘」と言うのであれば沖縄県民に応える「本気」が求められている。
翁長知事は文字通り命懸けで県民の先頭にいる。この沖縄の死活をかけた闘いを支持する「共闘」が今ほど求められる時はない。