中国国際交流協会と広範な国民連合の意見交換

中国国際交流協会との意見交換会(5日、北京・国際交流協会)

 文徳盛・交流協会参事は司会あいさつの冒頭、「広範な国民連合から中国共産党第19回大会への大変心温まるメッセージをいただいた。また習近平主席当選の後にはお祝いのメッセージをいただいた。協会として心からお礼申し上げる」と述べた。
 双方の代表あいさつの後、交流協会の王琳・総合一所所長が「『一帯一路』政策について」、文徳盛氏が「19大について」それぞれ報告した。国民連合からは山本正治事務局長が報告し、団員が若干の質疑を行った。

鄭瑶・交流協会副秘書長あいさつ

「相互理解を進める機会に」

 鄭瑶副秘書長はあいさつで、中日平和友好条約締結40周年に際しての訪中に歓迎の意を表明し、次のように述べた。
 交流協会は40年を迎えるが日本との交流は大変重視してきた分野だ。さまざまな団体と交流してきて成果も大きい。さまざまな取り組みでも相互理解の増進のために活動してきた。しかし近年、中日関係は厳しい問題に直面している。両国国民の好感度が下がり、不信感も高まってきた。しかし、両国国民は関係を改善し、相互理解の増進と関係強化は重要であり、皆が望んでいると思う。
 先日、両国外相が会談し、40周年に際して未来について語り合った。これを機会にさまざまなレベルで、さまざまな交流活動を行い、両国関係がよい軌道に乗っていけるよう努力することで一致した。
 国際交流協会は中国で非常に影響力ある民間団体の一つで、これまでも努力してきたが、民間の中日友好関係発展のためにいっそう努めていきたい。今回皆さまをお招きしたのも、40周年の活動の一つの大きな具体的な活動と言える。両組織の今日の意見交換を双方の事情の相互理解を進める機会にしたい。さらに明日午前の平和友好条約締結40周年記念座談会で、両国の各界の民間団体の代表者などを招いて討論し、より深い理解を進めたい。すべては相互理解と関係を深めるためで、皆さまの訪中を通して率直な意見交換ができることを期待している。

国民連合・吉田伸団長

「様変わりした中国に確信を新たに」

 吉田伸団長・代表世話人は、平和友好条約締結40周年の記念すべき年に訪中できたこと、国際交流協会の招聘と温かい接待に感謝しお礼を述べるとともに、38年前の自身の訪中に関連して感想を次のように述べた。「改革・開放が始まったばかりの当時だったが、『中国がアジア、世界の大国となりリーダーシップを発揮する時が来ると確信している』と述べた。40年近くたって様変わりした状況を見て確信を新たにした」

山本正治事務局長の報告

アメリカの中国敵視に反対しアジアの平和を守るのは共通課題

 山本正治事務局長は、冒頭、昨年の広範な国民連合第23回総会への中国国際交流協会のメッセージに感謝を述べたうえで、特に3点についてだけ発言した。
 第1点は、国際交流協会と国民連合とは、同じ現象、例えば国際情勢での出来事などを見ても、評価が異なる部分があるのは当然で避けられない。あなた方の国はすでに解放を闘い取り中国共産党が政権を握って、経済建設を進め人民生活を豊かに発展させようとしている。
 わが国はまだ、一部の勢力、財界などを中心とする勢力を基盤に自民党が政権を握っていて、われわれはそれを打ち倒し、政権をつくり替えようとしている。その事業に有利か不利かで世界を見る。そうした違いがあることを理解いただきたい。
 第2点は、国際情勢は激変中。
 その世界で、とりわけ日本は資源もなく、市場も狭く、人口も少なくはないが貴国と比べると10分の1だ。だから、中国をはじめとするアジアとの関係はわが国にとって歴史的に非常に重要で、いわば戦略課題である。戦前は、アジアを侵略、植民地支配しようとした歴史だった。戦後も、それを引き継いだ部分も残っている。しかし、戦後重要なことはわが国が一貫してアメリカの支配下にあり、対米従属政権が権力を握っていることであると考えている。今も、米軍基地が沖縄をはじめ全国にあり、アジア、中国をにらんでいる。
 だから、われわれの中心課題は、アメリカから自立し、中国をはじめとするアジア諸国と平和に共生する日本を実現することにある。世界の状況から深く影響を受け、縛られているが、世界経済危機以降の10年たつ深刻な危機の状況と、とりわけ昨年アメリカでトランプ政権が成立して以降、日本はこの国際社会でどう生きるかが厳しく問われるところに立たされている。安倍政権で、日本は軍事力も含めてますますアジアに敵対する道に踏み込んでいる。
 こうした世界で、急速に大国となった中国は2050年頃までに強国となる方向を定めた。歴史的なこととしてぜひとも成功してほしいと期待している。アメリカの世界支配が終わることを意味し全世界人民の歓迎するところだ。
 しかし、アメリカはトランプ以前から、中国がアメリカに取って代わる大国として登場することを許さない政策をずっととってきている。「巻き返し」政策である。トランプはとりわけ乱暴な形でそれを始めている。その結果、東アジアは戦争の危険も含んで非常に不安定化した。
 アメリカの策動を許さず、世界の平和を守るのは、中国をはじめとする全世界人民の共通の課題だと考える。
 第3点目に、皆さんには分かりにくいであろう国内政治情勢。国民の不満と怒りの高まりにもかかわらず、安倍政権、自民党支配が続いているのはなぜかの問題。選挙結果でも、全有権者の中での自民党支持は20%に満たないにもかかわらず、である。
 対米従属政権の進める日米同盟強化路線に明確に対抗する勢力がない。多くの国民は生活が貧しく不満も高まっているのだが、政府やマスコミのあおる「中国や朝鮮の脅威」論に抵抗できず、ある程度ひきつけられている実際がある。野党の多くはこうした問題に無関心か、むしろ日米同盟論で自民党に近い。選挙でも、自民党は嫌だが投票先が見当たらない。有権者の半数は棄権する。
 私たちは、平和と自主の旗を掲げて進路を指し示す、そうした政治勢力が登場するよう促し、奮闘しているところである。
 最後に山本事務局長は、アメリカには出て行ってもらう、習近平主席も語ったようにアジアのことはアジア人が平和のうちに決める、そうしたアジアをつくるために共同して努力すること、とりわけ「平和のためのアジア民間交流」を重視していることに触れ、日中関係とアジアの平和の国民的な闘いの発展のために奮闘することを表明した。

〈団員の質疑から〉

 両国関係が悪い時にも、中学生の相互交流とか青少年の交流が重要と行政を動かして進めたという経験を紹介した発言に応えて――
 中日関係が一番冷え込んだ時期、中国の一部の若者がちょっと過激な行動をとったことがありましたが、そうした人たちもいったん日本に旅行に行って日本の実際を知ると日本と日本人に対する見方が変わっている場合がけっこう多い。もっと学ぶべき点がある国というように認識を変えている。このことからも分かるように、身をもって相手の国を体感することが理性的な認識をつくるうえで重要だ。双方の国民、とりわけ青年が相手国のことを知ることは両国関係の発展にとって欠かせない。
 憎しみを強めるには二つの国を引き離すこと、安倍政権は、国民の中に中国への危機感をあおることで自分のさまざまな政治的狙いを達成しようとしている。だが、われわれがお互いを分かり合おうとする場をつくり努力を強めることで対抗できる。
 近年中国はものすごいスピードで発展しGDP2位の大国になった。自信がついてきているが、間違えると自慢していると受け取られたり、他国からは脅威ととらえられたりしてしまう。中国も、自分の行動を控えめにし、気をつけていく必要がある。

 中国からの日本への留学生が一部にだが「金が全て」といった風潮がある。どう考えているか――
 中国では今、「お金持ちの2代目」の問題といって社会問題になってきている。すべてではないが、特にアメリカやヨーロッパに留学に行く子どもたちが、けっこうな規模でそうした認識の問題を抱えている。留学に行く際、勉強に行くのではなく良い暮らしをするために行くだけという認識を持っている人が少なくない。この人たちが持っている成功かどうかの判断基準は唯一、お金を持っているかどうか、金持ちであれば成功、お金がなければ失敗と。国の問題になっていて、教育の場から始めて根本的に撲滅しようと努力は始まっている。
 どちらかというと後れを取っていた中国が急速に経済発展して大きな国となって、価値観が混乱している。教育の場を通して誘導し正しい価値観を持てるように促していくことは大切。ゆがんだ価値観は、中国社会内部にいったん根付いてしまうと、社会の対立をも招きかねないので、今国を挙げて是正のために努力を始めている。大きな企業は世界的規模でも、貧困問題に注意を払うことが重要になっていると思っている。

 朝鮮半島の緊張緩和と平和創出で、中国がより主導的・積極的役割を果たすことについて皆さんはどのように考えているか。関連して、「東を撃つと見せかけて西を撃つ」という言葉がある。アメリカが朝鮮半島政策で狙っているのは(もちろん朝鮮を敵視していることも間違いはないが)、真に狙っているのは朝鮮ではなく中国ではないか――
 中国内部でも関心が高い問題だ。特に核実験が何回かやられた後は関心が高い。
 中国の政策は一貫して変わっていない。対話と交流を通して平和を維持していくという平和的な半島政策だ。具体的には「二つのことをやめる」政策、朝鮮が核実験をやめることと米韓軍事訓練をやめること。歴史的に一貫した平和の政策だ。
 中国からすると、アメリカや日本が平和な未来に向かって良い政策を進めるべきであって、対立を深めるような措置は控えてほしい。
中国が主導的にという話だが、戦後の世界では、国と国は独立した平等な関係を持っている。中国と朝鮮はそのような関係の上にある国同士だ。解決しなくてはならないのは、中国と朝鮮ではなく、アメリカと朝鮮の関係の問題だ。これは国民が共通に持っている理解で、政府の政策にも支持を与えている。また、国連が決めたさまざまな決議などに中国は賛成するとともに、厳密に実行している。

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