「日中不再戦九州自治体議員の会」訪中団 ■ 報告 春口 あかね

初めての中国

筑紫野市議会議員 春口 あかね

 自国内では決して戦争をしないアメリカが、自らの覇権維持のために日本を先兵として捨て石にするかのごとき現在の状況は、130年前の日清戦争時とそっくり重なることが示されている。4月の日米首脳会談では、「日中戦争」を画策する日米同盟の強化とアジアへの格子状の拡大などが確認された。九州では自衛隊の南西シフトで戦争準備が進む中、台湾有事となれば間違いなく沖縄はじめ九州がまず戦場となることが危惧される。


 「日中不再戦」を目指し、党派や立場、安全保障に関する意見の違いを超えて「戦争を絶対にさせない」という一点で九州の自治体議員で「日中不再戦、平和友好を進める九州自治体議員の会」の結成を目指し、「日中友好」を自治体から築くためまず訪中した。

目で見て確かめたい

 私は中国に行くのは今回が初めてだ。
 日本人の中国に対するイメージは必ずしも良いものではない。実際に私も周りの方に聞いてみたが、良くない印象の方がほとんどだ。しかも、理由を伺うと「(中国が)反日だから」という理由で明確な答えは返ってこない。これはほとんど、報道による「情報操作」だと感じていた。
 そのため「目で見て確かめたい」と思ったことが訪中の一番の動機だったと思う。
 よくある情報操作で、「中国のせいでPM2.5や黄砂が舞っている」と耳にする。だが、調べてみるとヨーロッパや途上国、何ならアメリカによる大気汚染による影響の方がよほど大きいことが分かる。
 実際に北京は大都市だが、非常に緑豊かな街であった。中国の第14次5カ年計画では、2025年までに森林被覆率を24.1%に、森林蓄積量を190億立方メートルに増加させることを目標にしている。
 また、切ってもきれない日中間の課題である尖閣諸島(釣魚島)問題について、中国精華大学国際関係院の劉江永教授より講義があった。初めに劉先生は、日本の皆さんにこのようなセンシティブな内容をお伝えすることを躊躇もしたが、山本正治事務局長の「両国の意見の相違は前提。国交正常化時や日中平和友好条約時の『棚上げ』合意を堅持していただけるなら結構です」との意見によりお話しする運びとなったといった趣旨説明があり、何かあれば忌憚のないご意見を下さいとのことだった。
 両国とも自分たちの領土という主張である。時折私たちが耳にする、「中国が日本の海域に侵入した」という報道もあるが、日中漁業協定では相手国の漁船がそれぞれ主張する排他的経済水域で操業することを認め合い、両国とも何らかの不法操業船の侵入があれば「見張る」という行動に出なければならない取り決めをしている。
 劉先生の、未来の友好発展のため島を「今後は交流の場としていきたい」という提起こそ重要であると感じた。

何と同名の女性が
文化の共通性

右が筆者、左は南京の茜さん

 印象に残っているのは、中国から伝わったものが多くあると感じたこと。
 宗教、漢字、茶道、祝日、花道、食文化などほとんどが中国から伝わっており、日本の文化の起源となっている。
 南京市の江蘇・福岡友好桜花園見学の際、たまたま話しかけてくれた桜花園のボランティア学生の女性が、私と同じ「茜」という名前だった。
 日本と中国は1000年以上も交流が盛んであった。日本が中国から学び、高度経済成長期には中国が日本から学び、そして今や経済の発展を大きく遂げようとしている中国に対し、私たちは多く学ぶところがある。
 中国外交部(外務省)、中日友好協会、華語シンクタンク、江蘇省人民代表大会常務委員会、中国国際友好連絡会などの皆さまから異句同音に、「今後の日中間の友好は非常に重要である」との言葉をいただいた。
 多大なる歓迎をいただき、今後私たち自治体から「日中不再戦」「アジアの共生」を目指していくべきだと強く感じた。