第2分科会 国民の食料自給の確立を
~5兆円規模の農業予算を求める~

第2分科会では、食料自給の確立をめざし、39人の地方議員をはじめ50人が参加し、議論を交わした。座長は、西聖一熊本県議・鈴木敦子小田原市議・横山裕太赤磐市議の3人が務め、農業食料をめぐる討議と翌日の省庁行動の要請項目についての検討を行った。
北海道などの経験事例報告
食料自給をめぐる状況については、自給率向上のため所得補償による農家経営の安定化と併せて、新規就農支援を充実させることや、後継者育成などの討議が行われた。
清水敬弘北海道議は、鈴木宣弘先生の資料にある食料安全保障法(仮称)に記載されている通り基礎支払いを確立し、所得補償制度の実現が、自給率の向上につながると強調した。政府の動きは鈍いものの、国民理解は広がっていると捉えている。政府や農水省の中にも理解者はいるはずだと思っており、国民理解の輪を広げていくことと併せて、省庁からも理解者を広げていくべきではないか。農業に対する応援団を広げていく運動の重要性を述べた。
食料自給確立のため、自治体での取り組みについて幾つか発言があった。
京都府が行っている食糧管理制度の事例を大山奈々子神奈川県議が報告。「国が減反政策を進める中、京都府ではコメを作って余った分は府が買い取る食糧管理制度ができ、自治体の力を発揮することができた」と自治体の力でも変えられることはあると述べた。
神奈川県小田原市では、鈴木座長が「食料とエネルギーを地域で自給するという政策を進めている。例えば、地域支援型農業の推進の一環として品川区や川崎市と都市間交流を行い、消費者と生産者との連携を進めるなどに取り組んでいる」などの取り組みが報告された。
「米価暴落で農家崩壊」
鈴木宣弘教授コメント
参加者からの発言を一通り受けた後、鈴木先生からコメントを頂いた。
現在公表されている概算金は2万円に届いていないところがほとんどだ。米価が昨年の半分近くになれば、今の農家はもう5年も持たない。もし米価が下がりすぎると離農が加速し、さらに米価が暴落すればさらに離農が進み慢性的な米騒動になりかねない。これは消費者の皆さんも考えてもらいたい。コメであれば、60キロ2万円でもコスト的には厳しいが、2万5000円くらいの水準で、主食・業務用米・餌米のどれでもその水準と市場価格との差額は払うという政策にしていく必要がある。
農水予算5兆円を
要請項目に追加
第2分科会では翌日の農水省に対する「国民の命をまもり、農業を発展させるための要請(案)」を検討し、討議を踏まえ農水予算の増額や、鳥獣害対策などを追加した。
農水予算に関しては、ここ数年は2・2兆円で推移している。かつては5兆円の予算額があったものが、現在ではここまで減額されている。こうした現状を踏まえ、所得補償などを要請し実現させるために、予算の増額を要求すべきことが討議を通じ確認された。鈴木先生の助言を踏まえ、「総額5兆円規模の農水予算の確保を」という副題を挿入することとなった。
また、所得補償の実現を要請するためには、先ほどの鈴木先生からのコメントを踏まえ、農家経営がやっていけるためには少なくとも2万5000円くらいの概算金の水準が必要であり、その水準の価格維持ができるような所得補償制度の導入という要請内容に修正することとなった。
要請項目で中山間地対策の充実を要請項目に掲げているが、中山間地を中心に最近よく問題になっている熊の被害が議論に上った。参加者から鳥獣害が広がっていること、その対策費が貧弱であることといった意見や報告があったが、そうした現状を受けて熊に限らず鹿やイノシシなどの鳥獣害、外来生物による被害が深刻になっていることを挙げ、鳥獣害対策関連の法規制緩和や予算の拡大を求めることを追加することとした。
農水省・文科省に対し
要請行動
23日の農水省に対する要請行動では、冒頭に要請文を説明した後、農水省と学校給食の無償化について文科省からも回答を受けた。
生産コストの高騰に関しては、価格交渉の中で価格転嫁できるような環境を整備していくことが重要であり、そのシステムを整備し今年度から施行されていると回答した。所得補償制度については、さまざまな意見があり、国民の理解が必要だと考えており、慎重な検討をしていくと言うにとどまった。
中山間地対策の充実については、従来の取り組みについて言及するのみであり、新規就農対策に関しても就農準備資金と経営開始資金ということで年間165万円(昨年までは150万円)に拡大した事例を紹介した。ただし、こうした回答では現状の深刻さを理解しているとはとうてい言えず、他の要請項目に対する回答も現在の農業の置かれた状況に対する危機感に乏しいものだった。
