敗戦・被爆80年シンポジウムに参加して
長崎大学多文化社会学部3年、サークルK長崎副代表 花城 陽樹
シンポジストとして登壇する機会をいただきました、長崎大学多文化社会学部3年の花城陽樹です。現在は、大学の公認サークル「サークルK長崎」で「子ども×平和」「平和を語り合えるものに」をテーマに、この星の主人公である子どもたちと一緒に平和活動を行っております。
先日のシンポジウムでは、戦争を体験していない世代である私たちが、過去をどのように受け止め、未来へどのようにつなげていくのかをテーマに臨みました。そのテーマで巻き起こった議論は今も鮮明に心に残っています。
この討論、戦後80年という節目を迎えるにあたり、戦争を知らない世代の日中韓の学生が集い、過去・現在・未来について語り合う場として企画されました。
羽場久美子先生の基調講演をきっかけに、「加害の歴史をどのように学ぶか、排外主義の高まりについて、近隣諸国との共同の仕方、共同のためにできること」の4つのテーマが取り上げられ、登壇者それぞれの経験や価値観に基づく意見の発信が活発に行われました。
私自身もご一緒させていただいたシンポジストの方々から、新たな視点を得ることができました。
1、なぜ加害の歴史を
学ばなければならないのか
羽場先生が基調講演で「加害の歴史をなぜ学ばなければならないのか」と問いかけられました。私はこう考えました。
「過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目となります」。この言葉は、ドイツ敗戦40年を迎えた際、ワイツゼッカー連邦大統領(当時)が演説で述べたものであり、これがこのテーマにおいての答えであると私は思います。この有名な言葉は、「問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません」に続くものであり、まさに同じ過ちを二度と繰り返さないようにするためであり、危害を加えてしまった国の方々と今後もつながっていくための大前提であるから、加害も学ばなければならないと思います。
しかし、現在の日本では、日本が持つ加害の歴史を学ぶ動きが活発になることはなく、むしろ歴史を修正する動き、戦争を美化するような動きが出てきてしまっており、「歴史」になってしまっているように思われます。どのように戦争が起き、誰が戦争を起こし、戦争とはどのような世界なのか、人間が人間でなくなってしまうことが学ばれていない現状があり、教科書の中の歴史、概念としての戦争になってしまっているのではないかと感じてしまいます。繰り返しになってしまいますが、真摯に過去と向き合わなければ同じ過ちを繰り返しかねませんし、他国と手を取り合うこともできません。「知る」という責任を全うしなければならないと私は思います。
2、共同するために
私は、「地球市民」という考えを共有していくことが一番大切だと思います。地球市民という考えを共有するためには互いを学ぶ、自分たちのことを知ってもらうためにはまずは相手を「知る」ことから始まるのだと思います。
このような考えに至ったきっかけとなった出来事があります。それは、6月23日が沖縄慰霊の日であること、在沖縄米軍基地について、またそれによる弊害が沖縄県外ではほとんど知られていなかったことです。「知らない」ということが分断を生み出し、知らないことで知らず知らずのうちにその溝を深くしているのだろうなということに気づかされたという一種のカルチャーショックのようなものを体験しました。
このような無意識的な分断を深めないためにも、日本が相手方に何をしたのかを知らなければなりません。
3、他のシンポジストの
意見を聞いて
ほかの5人のシンポジストの皆さまの意見はどれも説得力があり、おのおのが活躍しているフィールドからの意見、提案で非常に勉強になるものばかりでした。「平和活動」といっても幅広い活動があり、パレスチナ問題に注力している方もいれば、「平和×ビジネス」を軸に活動されている方もおり、平和活動をしている私自身刺激を受け、非常にいい機会になったなと感じております。
また、会場にお越しいただいた方からも鋭いご質問をいただきました。私へのご質問ではなかったのですが、それに対する私なりの回答をうまく言語化できませんでした。今回感じた未熟さを、今後の活動や研究を通じてうまく言語化できるように精進していきたいと思いました。
最後に
サークルK長崎は本格的に活動を始めて2年目のまだまだ若い団体で、まだまだ活動を模索している段階です。
しかしその中でも、今回のような平和活動に長い間注力されている方々と一緒に意見を発信できる機会を提供していただいたことに非常に感謝しております。
これからも私たちは、「子ども×平和」「平和を語り合えるものに」をテーマに長崎で平和活動を行っていきます。私たちの活動を通じて日常にある平和に気づくキッカケを作っていけたらなと思います。