日米地位協定の
抜本的見直しを求める意見書が採択
鳥栖市議会議員 牧瀬 昭子
「沖縄だけの問題ではない」
この言葉を、どれだけ自分の中に落とし込めていたのだろうか―そう問いかけながら、私は今回の意見書作成に取り組みました。
沖縄の皆さんが長年にわたって受けてきた数々の理不尽。米軍基地からの騒音、事故、汚染、そして繰り返される性暴力事件。
その多くは、日本本土に住む私たちが「沖縄に押しつけてきた」現実でもあります。
私自身、これまでその苦しみに対して、どれだけ向き合ってきたのか。意見書の作成を通して、あらためて自分の無関心や無力さを突きつけられました。
だからこそ、今回の取り組みは「反省から始まる政治」でなければならないと強く思いました。
多くの意見を入れて意見書作成―1票差で可決・採択
意見書作成の過程では、多くの市民の方、専門家、仲間たちから意見をいただきました。一つ一つの言葉に耳を傾けながら、地位協定の構造的な不平等さや、主権国家としてのあるべき姿について、深く考えさせられました。
私たちの国がいまだに、米軍の活動に対して日本の法律を適用できないという現実。環境問題や人権侵害に対して、地域の自治体や住民の声が届きにくいという構造。これらは、地方に生きる私たちにとっても無関係ではなく、主権・人権・自治という、社会の根幹に関わる重大な課題です。
3月の議会。意見書提出に対する賛否は真っ二つに割れ、最終的には10対11の1票差で可決されました。採択が決まった瞬間、傍聴席からは大きな拍手が鳴り響きました。それは単なる「賛成」の喜びではなく、「声を上げたことが、届いた」という実感から生まれた拍手でした。
政治はすぐに答えが出るものではありません。
でも、問い続け、関わり続けることで、私たちは変わっていける。沖縄の方々に対して、これからどう生きるかで、私たち自身の責任と姿勢が問われていると感じています。
食料自給の確立を求める意見書も採択
あわせて今回、「食料・農業・農村基本計画に関する食料自給の確立を求める意見書」も採択されました。
気候危機や戦争、国際情勢の不安定化によって世界中が深刻な食料危機の時代に突入しています。
日本の食料自給率は38%。この異常な低さは、農業者だけでなく、私たちすべての暮らしと命に関わる危機であり、農業政策の抜本的な見直しが急務です。
私たちは今、「命を守る政治とは何か」という根源的な問いを突きつけられています。安全保障も、食料も、どちらも外に依存しては守れない。どちらも、「暮らしの土台を内側から立て直す」という視点が必要です。
どちらの意見書も、「声を上げなければ守れない」現実に対して、地方からの問いかけとして国へ届けられたものです。
どちらも、私たちが今ここから何を選ぶかを問う、スタートの一歩です。
最後に、意見書の作成にあたり、意見を寄せてくださった皆さん、傍聴に駆けつけてくださった皆さん、何より、自分の声を信じてくれたすべての方々に、心から感謝申し上げます。
ここが始まりです。これからも、一緒に考え、声を届けていきましょう。