日米政府に対策を強く求める
意見書採択をめざす
筑紫野市議会議員 春口 あかね
降伏文書に調印した1945年9月7日から72年5月15日の返還まで沖縄は、戦後27年間日本国憲法からも守られることなく、「沖縄に行けば無法地帯だ」と言われていた悲しい歴史がある。返還されたにもかかわらず、沖縄で繰り返される米兵・軍属らによる犯罪は、復帰から2022年までの50年間で6163件あり、年間で計算すると123件、毎月10件もの米兵・軍属らによる犯罪が起こっている計算となる。
自分の子どもが、孫が、愛する人が同じことをされても、された側が悪いと言えるだろうか。年間約123回行われているこの性犯罪の数は、明るみになっているのがこの数なだけで、中には言いたくない人もいただろう。
たとえその数が1回だとしても、傷付いているのは本人であって、犯罪を肯定すること、ましてや隠蔽、このようなことは断じて許されない。
私たち議員は市民、国民の代表者として常に当事者意識を持ち、率先して人権を守っていくことが倫理であり、責務である。
女性と市民の代表として、この問題を全国に呼びかけるとともに、私たち自治体議員が行動し、今後政府の信頼回復と、独立国家であることを主張し、強く意見しなければならない。
日本は戦後79年がたち、実際に戦争を経験した人が少なくなっているなか平和を築いていくためにも、本来基地の撤去が話し合うべき課題である。だが、今後ジェンダー平等の実現や女子差別撤廃条約の批准に向けて、党派を超えて賛成しやすいよう、百歩譲って今回は女性の権利侵害についてのみ意見するようにした。
意見書案
昨年12月、沖縄県嘉手納基地所属の米空軍兵が、16歳未満の少女を車で誘拐し、性的暴行を加えたとして、那覇地検がわいせつ目的及び不同意性交等犯罪で3月に起訴していたことが、6月25日の報道で明らかになった。
また、5月にも不同意性交致傷の疑いで県警に逮捕され、その後起訴されていたことが6月28日、捜査関係者への取材で判明している。更に今年1月から5月にも3件の米兵による不同意性交容疑での逮捕があったことも判明。昨年の誘拐・暴行事件を速やかに県に報告・公表していれば、以後の事件は防ぐことができたと思われる。
沖縄で繰り返される米兵・軍属らによる犯罪は、沖縄の日本復帰から2022年までの50年間で6163件あり、うち、強制性交や殺人などの凶悪犯罪は584件に上る。特に繰り返される女性への性暴力は許し難いものである。
1997年に日米合同委員会で、米軍に関わる事件については日米間で共有し、正確かつ直ちに地域社会に対し提供することが重要と、沖縄県及び市町村に通報することが合意された。にもかかわらず、平和外交で力をつくすべき外務省による情報隠しは、基地による被害に苦しみ続ける沖縄の人々を重ねて蹂躙するものである。
日米両政府はこうした事件が戦後70年余も幾度となく繰り返されている事態を重く受け止め、これ以上の沖縄県民の犠牲を断ち切るべく、実効性ある抜本的な対策を講じるべきである。
筑紫野市は人権都市を標榜しており、当市議会は、国民の人権、生命、財産を守る立場から、今回の事件に関し厳重に抗議するとともに、下記の事項を早急に実現されるよう強く要請する。
1 外務省は、日米政府が被害者に謝罪と充分な補償を遅滞なく行うように、責任をもってあたること。
2 一連の事件の情報を速やかに沖縄県と共有しなかった理由と責任を明らかにし、詳細に説明すること。
3 日米両政府は、米軍人・軍属の綱紀粛正と人権教育を徹底的に図ると共に、実効性のある、抜本的な再発防止策を講じ公表すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。