35歳のシングルマザー、平和運動に〝新風〟

「争うよりも愛しなさい」

東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センターYouFO  平良 友里奈

 「争うよりも愛しなさい」、このタイトルは、5月23日に沖縄テレビの夕方のニュースの特集で放送された時に付けられたものだ。私は、沖縄を戦場にさせない「2・26緊急集会」そして「5・21平和集会」の司会を務めさせていただいた。この集会のスローガン「争うよりも愛しなさい」、これを提案したのは、私であった。


 この言葉は、沖縄の若者に人気の有名なラッパーRude-α(ルードアルファ)という26歳の若者が歌う「うむい」(想い)という曲の歌詞の一節である。ぜひ皆さまにも聴いていただきたい。沖縄の若者の切なる願いが込められている歌である。若者の心にも響く言葉をと提案させていただいたこのスローガンは今でも賛否両論いろいろあるが、この言葉が確実に若者の心に届き、平和集会に初めて足を運んだ方が何人もいたのは事実だ。
 2・26緊急集会では、1600人が参加し、5・21平和集会では、2100人が参加した。私たち運営委員会は、当初3000人から5000人が集まる集会にしたいと力を入れていたので、前回から500人は増えているものの、まだまだだなぁと、残念な気持ちもあったのは正直なところだ。
 だが、メディアにとても注目され、「沖縄タイムス」(5月23日付)の社説にも「平和運動に新風」と取り上げられ、会場の雰囲気は柔らかく、主張も分かりやすい、平和を強調し世代を超えて多くの人たちが参加しやすい雰囲気をつくったと評価された。社説にまで取り上げられるのは異例のことのようだ。
 実際に、デモという言葉を平和行進と呼び、デモに抵抗を感じる若者たちにも参加しやすいようにと工夫した。
 当日、若者や子育て世代や子どもたちが前列に立ち、手を振り笑顔でデモ行進した。私も息子と一緒に横断幕を持ち先頭に立った。
 若者たちが参加しやすいようにと、マルシェのようにキッチンカーや飲食ブース、ミサイル配備写真展、PFAS学習ブース等も用意した。
 平和行進で使う「プラカードを一緒に作ろうコーナー」は特に雰囲気が良く、子どもたちがたくさん集まり、笑顔があふれるコーナーとなった。
 若者のアイデアをたくさん取り入れてくださったシニア世代や先輩方には心から感謝したい。
 もちろん最初は、この提案もシニアとヤングで何度もぶつかり、そのたびに議論が重ねられ、進められた。
 一部の人たちからは、この集会のスローガンや若者の発言等、かなりの批判を浴び攻撃されているのも事実である。先日の運営委員会では、若者たちをネットでの批判的な言葉からどう守るか?というテーマで話し合いも行われた。しかも、本来なら共に平和をつくる仲間うちからの批判的な声なのだ。
 いろんな意見があることは受け止める。
 だが、私たち運営委員会が真剣に考えていることの一つ、それは、10代、20代の若者たち、そして子育て世代にどうしたら今の危機的状況を知ってもらえるのか?ということである。平和集会に参加する年齢層や窓口を広げることを目的とし、参加しやすいものにと試行錯誤しているのである。
 シニア世代は今までずっと子や孫たちを想い、沖縄の未来を真剣に考え行動されてきた。若者にも気付いて参加してほしいと願いつつも、そうでなかったのが事実である。
 それは日本全国の課題だと思う。では、沖縄でそれができつつあるのはなぜなのか。
 それは、運営委員会のシニア世代や先輩方が私たち若者の意見をいつも受け止めて聞いてくださるからなのだ。私たちも安心して自分たちの意見を出すことができる。何度も対話を重ね、シニアと若者の意見どちらも取り入れつつ試行錯誤しながら開催しているのである。
 今の日本の現状を変えるには、シニアのパワーと若者のエネルギー、老若男女問わずみんなの力が必要なのだ。想いを一つに大きな愛のエネルギーをつくりだそう。愛こそ一番強いエネルギーなのだ。