「沖縄を再び戦場にさせない」市民の集いin大阪を取り組んで

「新しい風を政治へ 想いをつなぐ―」に込めたもの

広範国民連合・大阪 運営委員 澁谷 文孝

 昨年のことになるが、広範な国民連合・大阪は10月28日、「沖縄を再び戦場にさせない」大阪市民の集いを開催した。南城市議会議員瑞慶覧長風さんの講演が中心だった。
 瑞慶覧長風さんの講演のタイトルは「沖縄の自由と平和を求めて」「新しい風を政治へ 想いをつなぐ―」である。

「沖縄の自由と平和を
求めて」

 地域の在り方を決めるのにその地域の人たちの意思が尊重されるのは当然である。でも沖縄では民意を示しても、政府は無視し続けている。つまり沖縄では命や財産にかかわることさえ自分たちの自由にはできない。
 沖縄は琉球王国時代からアジア貿易の中継地として栄え「万国津梁=世界の架け橋」と自らをそう称した。長風さんの話にもあったが琉球は武器を持たない国としてザビエルら宣教師は驚きをもって本国に伝えたという。そのような平和な琉球王国を武力で支配したのは薩摩であり、大和(日本)なのである。そして今もまた沖縄に武器を持ち込んで平和を台無しにしようとしている。
 それに対し沖縄県は「万国津梁」にこそ今後の発展があるとして自治体外交を活発化させている。玉城デニー知事を先頭に中国、韓国など近隣諸国・地域に訪問し成果を出してきている。長風さんは沖縄には世界に誇れる芸能文化がある、これを基に平和外交で豊かな沖縄を創っていくと語った。

「新しい風を政治へ」

 「新しい風を政治へ」とは、長風さんに代表される沖縄での若い人たちの活動に注目していたからである。
 長風さんの講演の中で平良友理奈さんが11月23日の集会に向け提案した「争うより愛しなさい」というスローガンが採択されたことについての顚末が語られた。このスローガンは「怒りや闘い」という言葉に塗り固められた集会には行きづらさ感じる若い人にとって、参加したくなる集会はどのようなものかと考えて生み出されたものらしい。
 それを聞いたとき、われわれ年配者は戸惑った。
 沖縄を戦場にしてはいけないという思いや、中国を仮想敵国とする戦時体制を敷こうとしている政府や米国に対する怒りが私たちの活動のモチベーションになっているし、そうした権力に対しては闘う必要があると確信している。
 大阪で11月23日に呼応して行われた集会・デモ行進でも、「闘うぞ!」というシュプレヒコールが中心で、「愛しましょう!」という声はついぞ上がらなかった。
 そのスローガンを採択したときのわれわれ世代はどう思っていたのだろうか? 「若い人たちの自主性を重んじよう」なのか。「若い時はいろいろ試していい。でも現実を知れば権力とは相いれないことがわかるよ」なのか。いや「気づかされた。これからはこれで行こう」なのか?
 振り返ってみてわれわれの「闘い」の経験はどうなのだろうか? 権力に対し勝利したこともなく、参加者の人数ジリ貧である。最近の集会は年配者ばかりの同窓会のようである。
 集会の在り方に発想の転換が必要ではないか? 今までの集会は訴えることが中心で、参加者についても何人集まったかが重視されていた。万人が参加したくなるような集会、参加して楽しくなる集会にしてもいいのではないか?
 私たちの沖縄に連帯する活動は戦争反対、基地反対ばかりだった。もちろんそれは大切であるが、それだけでなく豊かで世界中から万人が楽しみに集まる沖縄を創ることの手助けも大事ではないかと実感した。