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[新春メッセージ]大久保 明義

持続可能な食料・農業・農村政策確立へ運動を強化

北海道農民連盟委員長 大久保 明義

 令和6年の新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
 さて、昨年の本道農業を振り返りますと、全道的に春の雪解けは順調に進み、播種や植付け作業などが遅延無く推移しましたが、夏の記録的な猛暑の影響により多くの農産物で被害が生じました。米については北海道の作況指数は104となったものの、猛暑で白未熟粒等が増えたことで、1等米比率が87・3%と前年を大きく下回るなど品質・収量の低下が見受けられました。また、畑作物においては、麦は暑さでの品質の低下、豆類は変形やカビ、二次成長などによる収穫時期の遅れなどによる品質低下、てん菜に至っては収量減少や低糖分に見舞われたほか、酪農においても乳量や繁殖機能の低下などの影響が出ています。
 そうした中、ウクライナ情勢など世界情勢を大きく揺るがす状況変化によって、輸入依存度の高い穀物やエネルギー価格の高騰を発端として、食料品や電気料金などが相次いで値上がりし、国民生活に多大な影響を及ぼしています。農業においても、生産に必要不可欠な肥料、飼料、燃油など生産資材価格が高騰し、ウクライナ情勢の長期化や円安傾向などで価格が高止まりしています。このため、生産コストの上昇で農業経営が圧迫され、営農継続が見通せない状況にあり、今後の食料安定供給にも甚大な影響を与えかねません。
 さらに、コロナ禍で低迷していた農畜産物需要は、経済活動の回復で徐々に取り戻しつつありますが、依然として、米や砂糖、乳製品等の在庫滞留が続いていることから、国の財政支援による消費拡大対策が求められています。
 こうしたもと、政府は農政の根幹である「食料・農業・農村基本法」について、制定から20年以上が経過し、世界的な食料情勢の変化に伴う食料安全保障上のリスクの高まりや、地球環境問題など我が国の農業を取り巻く情勢に対応する必要があるとして、2022年から法改正に向けて検証・見直しの議論が行われてきました。今年の通常国会で改正法案が提出される見込みですが、私たち農業者が将来にわたって安心して営農ができるよう、生産現場の声を基にした実効性ある施策が求められています
 このため、今こそ生産現場主義を貫く農民組織の本領を発揮し、組織が掲げる「真の農政改革」に基づき、食料自給率向上を図る国内生産の基盤強化、所得補償政策の充実や備蓄制度の強化など、持続可能な食料・農業・農村政策が確立されるよう、更なる運動を強化していく所存です。
 最後になりますが、本年が皆様とともに健やかに過ごせますことを心よりご祈念申し上げ、年頭のご挨拶と致します。