沖縄をハブとする東アジアの平和ネットワークをめざす国際シンポジウム(続) ■ 楊 伯江

アジアを分断しない
新たな政治的枠組みをつくること

中国社会科学院日本研究所所長 楊 伯江教授

 私は3点申し上げたいと思います。
 まずこのシンポジウムの観点に賛成します。今後アジアの平和な発展に向けまして、沖縄はハブとして役割を果たしていただきたいと思います。特に地域の平和交流の中でハブ的な役割を果たしていただきたいということです。
 2点目は、鳩山先生がおっしゃった7つの観点について賛成します。私たちは根源から問題分析をして、戦争を阻止しなければいけません。たとえば台湾有事という話題ですが、1971年の国連総会での2758号決議は「一つの中国」という原則であり、世界には一つの中国しかありません。


 1979年の中米国交正常化のときにそのことも共有されました。しかしアメリカは現状を変えようとしています。2000年に米国が一方的につくりあげた台湾関係法を、中米の三つの共同コミュニケよりも優先しています。そして今年5月に「一つの中国」との表現をこっそりとインターネットから外しました。中国と日本の間では1972年、78年、2008年など四つのコミュニケの中に、台湾は中国の一部という内容が含まれています。日本の福田元総理が人民大会堂で中国の指導者と話をしたときに、台湾問題でのこの立場を明言しました。
 しかし今になって明らかに変化が見えています。AUKUS(米英豪の軍事情報同盟)であろうとIPEF(インド太平洋経済枠組み)であろうと、これらの枠組みは中国を対象にしています。中国を追い込み、中国を抑圧する意図が明らかです。
 全体的な情勢で緊張感が高まっています。特にペロシ米下院議長が台湾を訪問しましたが、対抗した中国を非難しています。その考え方には大きな間違いがあります。因果関係を真逆にしています。台湾は中国の一部です。しかしペロシ議長が台湾を訪問したことによってどういう結果をもたらすのか予想できます。皆さんが大事にしなければいけないのは、その結果ではなくて現状をきちんと分析することだと思います。根源的なことを最もきちんとしないといけません。
 3点目、アジア太平洋地域とくに東アジア地域で、現在とくに重要視しなければいけないことは、アジア各国が平等に参加できる、アジアを分断しない新たな政治的枠組みをつくることです。71年前のサンフランシスコ体制は時代に遅れています。
 では中日関係はどういかなければいけないかというと、4つの政治文書に基づかなければなりません。その中では、お互いにパートナーとして脅威にならない、お互いに平和的に協力するという重要なコンセンサスを実践してきました。
 お互いに約束をちゃんと守れば、東アジアはきっと平和で協力的な関係を保つことになるでしょう。
 以上、私のまとめでした。ありがとうございました。