処理費用約1億円を日本政府が負担、これで独立国か
沖縄県議会議員 玉城 健一郎
自民党の総裁選告示日の翌日、地元紙の一面は自民党総裁選と「米軍PFOS(ピーホス)日本が処分 普天間汚染水費用9200万円負担」(琉球新報)、「普天間汚水日本が処分 PFOS含有費用9200万円負担」(沖縄タイムス)だった。
米軍は7月、普天間飛行場内で泡消火剤などに使われたPFOSを含む汚染水を厚生労働省の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)に処理した上で公共下水道に流したいという意向を日本政府に伝えた。これに対して、地元である宜野湾市、沖縄県は焼却処分を求めていた(宜野湾市議会においては汚水の適切な処理を求める意見書決議まで出した)。それにもかかわらず米軍は8月26日、PFOSを含む汚染水を公共下水道に放出。これに対して、沖縄県議会は9月10日、宜野湾市議会は8日に意見書と抗議決議をそれぞれ全会一致で採択した。そのような中で今回の日本政府の対応である。
さらなる放出は防げたが、本来であれば米軍が出した汚染水は米軍が責任を持って処理するべきであり、それをわれわれ日本の税金で処理するという悪しき前例をつくってしまった。しかも、今回の合意の中には日本の負担で航空機格納庫の補修も行うことも入っている。米軍関連になると米軍の行動も予算の使われ方も問題にしない風潮、国家主権などあるがなきがごとしの状況が日本にはあるが、本当にこのままでいいのか。
普天間飛行場がある宜野湾市や嘉手納飛行場周辺、キャンプ・ハンセンのある金武町の地下水からは暫定指針値を超える高濃度のPFOS等が検出されている。沖縄県や地元自治体は原因究明のための基地内への立ち入り調査を米軍に求めているが、いまだに実現していない。
わが国の領土でありながら、調査することすらできない現状は、皆さんの目にはどう映りますか? 私は、わが国の主権と地方の自治権を脅かされている行為であり、右左のイデオロギーや党派関係なく抗議するべき問題だと思う。ぜひ、全国の皆さんも一緒になってこの問題を考え、声を上げてほしい。
去る8月26日午前9時5分頃、在沖海兵隊は普天間飛行場に保管していた有機フッ素化合物(PFOS等)を含む汚染水を浄化したとして下水道へ放出した。汚染水の処理方法については、日米両政府間においても協議が続く中、一方的かつなし崩し的に当該水の放出を強行したことに県民は激しく反発している。PFOS等は、国際的な規制や国内での使用・製造が原則禁止されているが、県内では令和元年12月及び令和2年4月の普天間飛行場におけるPFOS等を含む泡消火剤の漏出・飛散事故や、今年6月のうるま市の陸軍貯油施設からのPFOS等を含む汚染水の流出事故が発生しており、県民に大きな不安を与えている。地元の不安を解消し納得できるような説明もないまま、当該水の放出を強行したことについては断じて容認できるものではない。よって本県議会は、県民の生命・財産を守る立場から、今回の米軍によるPFOS等を含む水の放出に対して厳重に抗議するとともに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要請する。
1 今回のPFOS等を含む水の放出に踏み切った経緯及び判断根拠等を明確にし、公表すること。
2 在沖米軍施設で保管するPFOS等を含有する汚染水については、米軍の責任で焼却処理すること。
3 在沖米軍施設におけるPFOS等の保管状況とその管理及び処理計画を把握し公表すること。
4 普天間飛行場及び嘉手納飛行場の周辺調査でPFOS等が検出されていることから、両飛行場への立入調査を許可すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。