地域に食料安全保障推進議員連盟をつくり政府を動かす
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
広範な国民連合第25回全国総会(昨年11月20日)で鈴木宣弘東京大学教授は、食料・農業危機打開、食料安全保障確立の政策を提起され、地域に食料安全保障推進議員連盟をつくり、政府を動かす運動を提唱された。統一地方選への重要な問題提起である。(見出しとも文責編集部)
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
広範な国民連合第25回全国総会(昨年11月20日)で鈴木宣弘東京大学教授は、食料・農業危機打開、食料安全保障確立の政策を提起され、地域に食料安全保障推進議員連盟をつくり、政府を動かす運動を提唱された。統一地方選への重要な問題提起である。(見出しとも文責編集部)
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
一昨年に比べて肥料2倍、飼料2倍、燃料3割高、と言われるコスト高でも、十分に価格転嫁ができない農畜産物。政策も動き始めたが、酪農については「追い討ち」的な乳雄子牛価格の暴落などで現場の苦境は深刻化している。
そうした中、ついに、酪農家さんの自殺という最悪の事態に接し、無念と無力感にさいなまれる。政府の緊急補塡、乳製品による人道支援、急いでほしい。皆一丸となって国産乳製品を買おう。酪農家さん、踏ん張ってください。
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
ただでさえ食料価格の高騰と日本の国際社会での「買い負け」懸念が高まってきていた矢先に、ウクライナ危機が勃発し、小麦をはじめとする穀物、原油、化学肥料原料などの価格高騰が増幅され、食料やその生産資材調達への不安は深刻の度合いを強めている。シカゴの小麦先物相場は本年3月8日、ついに2008年の「世界食料危機」時の最高値を一度超えてしまった。
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
平凡社新書の『農業消滅』が話題を呼んでいる。まだお読みでない本誌読者の皆さんに向け、著者の鈴木宣弘氏に頼んで、この間マスコミなどに掲載された書評や著者インタビューに触れながら、本書の〝読みどころ〟を紹介していただいた。(編集部)
鈴木宣弘著『農業消滅 農政の失敗がまねく国家存亡の危機』(平凡社新書、2021年7月発行、968円)
広範な国民連合は3月28日、鈴木宣弘東大教授を講師に「農林漁業を核にした地域循環経済の形成へ」講演と討論の会をオンラインで開催した。以下は、鈴木教授の講演の結論部分の要約と各地からの報告要旨である。 文責、見出しとも編集部
「飢餓の危機は日本人には関係ない」は誤っている。2035年時点で、日本は飢餓に直面する薄氷の上にいる(詳細は本誌4月号、鈴木論文)。世界も同様である。
「Go To トラベル」事業の議論の根本的誤りは、経済社会の構造そのものをどう転換するか、という視点が欠如していることである。都市人口集中という3密構造そのものを改め、地域を豊かにし、農林漁業を核に地域経済の循環構造を確立する必要がある(詳細は本誌2月号、鈴木論文)。 続きを読む
3月28日、鈴木宣弘先生のオンライン講演と討論の会「農林漁業を核に持続可能な地域循環型経済の形成へ」が開催されました。
オンライン講演会を以下に公開します。
東京大学 鈴木 宣弘
2050年ごろに起きるかもしれない渋谷駅頭の暴動(21年2月7日、NHKテレビ画像)
先日、NHKスペシャルが2050年ごろに日本人が飢餓に直面する危険性に警鐘を鳴らした。画期的である。だが、その危険性はもっと早くに迫っているかもしれない。下の表はその可能性を示唆している。 続きを読む
東京大学 鈴木 宣弘
「Go To トラベル」事業の議論の根本的誤りは、経済社会の構造そのものをどう転換するか、という視点が欠如していることである。「Go To トラベル」は都市部の3密構造をそのままにして、感染を全国に広げて帰ってくるだけで、都市部の3密構造を転換するという視点がない。 続きを読む
東京大学 鈴木 宣弘
この7年8カ月、一言でいえば、一部の利益のために農民、市民、国民が食いものにされる経済社会構造が徹底された。手法的には、「人事、カネ、恫喝」を駆使して、「見事に」正論を黙らせていった。
種子法の廃止、農業競争力強化支援法、種苗法、漁業法、森林の2法、水道の民営化、などの一連の政策変更の一貫した理念は、間違いなく、「公的政策による制御や既存の農林漁家の営みから企業が自由に利益を追求できる環境に変えること」である。「公から民へ」「既存事業者から企業へ」が共通理念である。 続きを読む
東京大学 鈴木 宣弘
新型肺炎の世界的蔓延への対処策で、物流の寸断や人の移動の停止が行われ、それが食料生産・供給を減少させ、買い急ぎや輸出規制につながり、それらによる一層の価格高騰が起きて食料危機になることが懸念されている。このような中で、その解決策は一層の貿易自由化であるかのような議論が国際機関から出てきていることは看過できない。まさに、災害資本主義、「火事場泥棒」的発想である。 続きを読む
篠原孝さん
皆さんは、「安全保障」って聞くと当然、軍事面の安全保障が最初に頭の中に浮かんでくるでしょう。今の日本の状況、安倍首相が典型ですが、その軍事面ばかりが突出しています。しかし、エネルギー、食料、それから平和外交などトータルで日本の安全を確保しなければいけないんです。ですから、食料の安全保障はものすごく大事な問題ですが、日本では軽視され続けています。
こうした点についてずっと発言してきている鈴木教授にお願いいたします。
こんにちは。鈴木でございます。 続きを読む
東京大学大学院教授 鈴木 宣弘
国民の命を守り、国土を守るには、どんなときにも安全・安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠であり、まさに、「農は国の本なり」、国家安全保障の要である。そのために、国民全体で農林水産業を支え、食料自給率を高く維持するのは、世界の常識である。食料自給は独立国家の最低条件である。 続きを読む
東京大学教授 鈴木 宣弘
日米FTA交渉をめぐって、多くの報道で農産物の開放を「TPP水準にとどめた」かのように強調されているが、これは間違いである。
①そもそも、TPP水準が大問題だったのだから、TPP水準にとどまったからよかったかのような報道が根本的におかしい。
②加えて、米中貿易戦争で行き場を失った米国農産物の「はけ口」とされ、トウモロコシなどの大規模な追加輸入の約束がセットで行われたのだから、これは明らかな「TPP超え」だ。 続きを読む
東京大学教授 鈴木 宣弘
規制改革、自由貿易の名目で、公共的・共助的なルールや組織を破壊し、日米オトモダチ企業に地域を食い物にさせる動きが止まらない。農業での最近の象徴的「事件」はH県Y市の農業特区である。突如、大企業が農地を買うことができるようになった。その企業はO社(M前会長)の関連会社である(民有林・国有林の「盗伐」合法化も木材チップのバイオマス発電を手掛けるO社への支援である)。そしてO社の社外取締役に就任しているのは、人材派遣大手会長T氏とLファームを展開したN氏である。政権と結びついた「利益相反」で地域を食い物にしている「常習犯」の、たいへん有能なMTNの3人だ。あまりにもわかりやすすぎる。 続きを読む