TPP参加阻止の一大国民運動を!

東京で3千人集会

 菅政権は11月9日の閣議で、環太平洋経済連携協定(TPP)で、「関係国と協議を開始する」ことを決めた。これに対して、11月10日東京の日比谷野音で「TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る緊急集会」が3千人を結集して開催された(写真)。
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 主催は、JAグループ、JF全漁連、生活クラブ生協など14団体による実行委員会。
 会場は「農民いじめるのはやめろ」「国民の食卓を守れ」「食料自給率50%はどうなった」などと書いたムシロ旗やゼッケン、「TPP交渉参加断固反対」の鉢巻きの参加者で緊迫した雰囲気に包まれた。

 実行委員長の茂木守JA全中会長は「TPP関係国との協議参加は全く遺憾であり、絶対に認めるわけにはいかない」「TPP参加国のアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドは農産物輸出大国であり、日本はすでに十分に国を開いている、これ以上の自由化を求められるいわれは全くない」と冒頭のべると会場から「そうだ!」と拍手が起きた。「国民各層と連携して断固として反対を貫く」と決意表明と各層への連携を訴えた。
 情勢報告で、全中の冨士重夫専務は怒りを込めてTPP交渉を進めようとしている菅首相の姿勢を批判。「食料自給率目標50%とTPPの両立は不可能」と述べ、TPP参加阻止の国民運動への結集を訴えた。
 決意表明で、服部郁弘・全漁連会長は「政府のTPP基本方針に全国の漁業者は強い不満と怒りを抱いている」「わが国の水産物はすでに十分に開放されおり、安い外国産のために漁業者はぎりぎりまで追い詰められている。国はわれわれにどこまで我慢しろと言うのか。日本を守るため最後までたたかう」と述べた。
 中司哲雄・北海道議会農政委員長は「北海道議会はTPP交渉への参加しないことを求める意見書を決議した。農業や漁業団体だけでなく、経済界や消費者団体も含めて北海道はTPPに断固反対だ。国民の生命を危険さらすTPPは許さない」と怒りを込めて訴えた。
 森義久・鹿児島県商工会連合会長は「TPP参加は農林水産業の崩壊はもちろん、商工業者の生活や関連産業、地域経済に深刻な影響を与える死活問題だ。地域経済を守るため一体となってTPP参加に断固反対する」と決意を述べた。
 齋藤昭子・宮城県生活協同組合連合会長は「組合集会で食の安全性確保と食料自給率の向上を求める組合集会決議を採択した。TPP参加で自給率は14%に低下する。政府は国民に約束した50%を守るべきだ。今こそTPP反対の声を上げ、行動しよう」と訴えた。
 政党あいさつで、歯切れの悪い民主党・郡司彰前農水省副大臣には激しいヤジが飛んだ。国民新党の亀井静香代表や野党代表が「TPP参加には絶対反対する」と態度表明すると、ひときわ高い拍手と「頑張れ」という声が上がった。
 集会後は「わが国の食料・地域を壊滅させるTPP交渉への参加断固反対」の横断幕を先頭に国会へ向けてデモ行進に移った。外務省前では前原外相発言に抗議して「農民は怒っているぞ」と怒りをぶつけた。

各地で集会やデモ

(約1千名規模以上を紹介。農林漁業団体、経済団体、労働組合、消費者団体など各層が連携した集会やデモが全国に拡大。写真は、11月26日、JA青壮年部九州ブロックのTPP参加反対の熊本市内デモ)
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《北海道》◆11月9日、空知管内農協組合長会と空知農民連合が岩見沢市で1千人の集会。上川地区では400人が結集してTPPへの参加を認めない決議を採択し抗議デモを行う。◆11月28日「TPPから食卓と地域社会を守る十勝大会」管内の農業者や商工業者ら約4千人が「TPP阻止」を訴えた。大会アピールを採択した。◆12月11日、釧路地区農協組合長会と釧路地区酪農対策協議会が総決起大会を釧路市内で開催。農業関係者を中心に経済団体や消費者などから約1千人が参加。
《宮城》12月15日、JA宮城中央会は仙台市で「TPP交渉参加に反対し農業と地域を守る宮城県民集会」を開催。県内の農林水産団体など1500人が参加。集会後、市内をデモ行進しTPP交渉参加反対を訴えた。
《山形》11月8日、JA山形中央会と県農協農政対策本部が「TPP交渉参加断固阻止」の山形県JA代表者緊急決起集会を開催、3千人結集。内をデモ行進。吉村知事(代理)や県生協連合も参加。
《栃木》2011年1月にJA栃木中央会は宇都宮市で3千人で、「TPP交渉への参加に反対し、日本の食と地域経済を守る県民集会(仮称)」を予定。県内の商工関連団体との意見交換会も開催する。
《奈良》12月10日、TPP交渉への参加反対を政府へ要請する緊急集会(実行委主催)が橿原市で開かれ、県農業協同組合中央会などJA関連の12団体の関係者約1千人が参加。
《福岡》11月11日、福岡農政連の久留米地区協議会が「TPPへの交渉参加を阻止し、日本の食を守る緊急集会」開催、生産者と久留米地区8JA役職員ら1200人が結集。県選出国会議員に1万枚のTPP反対要請のハガキ運動なども決定。
《大分》12月6日大分県内の7つの農林漁業団体が「大分県環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加阻止共闘会議」を結成。参加団体県内JAと連合会でつくる大分県農協農政推進本部と県林業団体協議会、県漁業協同組合、県農業会議、県農業共済組合連合会、県土地改良事業団体連合会、県酪農協の7団体。第一次産業を担う団体が揃ってTPP反対で共闘組織を立ち上げるのは全国で始めて。4月末までに15万人を目標に署名運動を展開、3月に2千人規模のシンポジウムを開く。
《宮崎》12月5日、JAグループ宮崎は宮崎市で「TPP交渉への参加阻止とみやざきの食と暮らしを守る緊急集会」を開催。農業関係者以外の中小企業者など約1千人を含めて3500人が参加。県選出国会議員、東国原知事、県市長会、県町村会、県議会の代表、県商工会議所会頭、県漁協女性部連絡協議会代表らが出席TPP反対の決意表明した。集会後、ムシロ旗やプラカードを掲げてデモ行進(写真提供、JA宮崎)。
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《鹿児島》11月14日、「貿易自由化のTPP参加を阻止し、ふるさとを守る緊急総決起大会」を県内5カ所で同時開催。合計約2500人が参加した。約600人が参加した鹿児島市役所前の集会では、同市中心部約2キロをデモ行進した。
《沖縄》12月17日、八重山市町、八重山市町議長会とJAおきなわ八重山地区本部など八重山経済5団体がTPP参加阻止・八重山郡民大会を石垣市真栄里公園で開催した。行政、経済団体、消費者と農林水産業者など800人が参加した。八重山経済5団体は、JA地区本部、漁協、観光協会、商工会、建設産業団体で構成。

全国で高まるTPP参加反対の声

【地方議会・道県議会】
 北海道、愛媛、長崎、佐賀、大分、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄で政府に対してTPP参加に「反対」もしくは「慎重に」するよう求めた意見書を採択(11月段階。12月定例会では多くの自治体議会で同意見書が採択予定、熊本県では全市町議会で意見書が採択された)。

【全国町村会】
 11月、藤原忠彦会長(長野県川上村村長)が農水省の筒井信隆副大臣にTPPへの参加検討の撤回を求める緊急決議を手渡す。12月1日全国町村会大会(1800人参加)で再びTPP参加反対を決議。

【労働組合】
 フード連合、全国農団労、全農林、連合北海道などがTPP参加に反対や慎重な対応を求めて政府や国会議員への要請行動などを行ったり談話を発表した。

【全漁連】
 JF全漁連は、道府県の漁連・信漁連の会長、全国水産物輸入対策協議会の合同会議を開催「TPP参加に断固反対する」との決議を採択。

【酪農政治連盟】
全国の酪農政治連盟代表100人が参加してTPP参加阻止に向けて意思一致を行う。

【JA全青協】
 大西雅彦会長が農水省へ要望書反対要請。同日、中国、四国地区農協青壮年組織協議会が緊急集会開催、9県から320人が結集。11月25~26日、熊本市内で九州ブロックの大会開催。500人でTPP参加反対の集会とデモ。

【JA全国女性協】
 12月8日 全国JA女性理事等研修会、参加者一同で「TPP交渉参加の断固阻止」との緊急申し合わせを行う。2011年1月開催のJA全国女性協大会で同決議を行う予定。

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