原子力空母の横須賀母港化問題 住民投票の実現への支援を 横須賀市議会議員 原田 章弘

自主・平和・民主のための広範な国民連合 月刊『日本の進路』2007年2月号

原子力空母の横須賀母港化問題

住民投票の実現への支援を

横須賀市議会議員  原田 章弘

米空母が米軍横須賀基地を空母化したのはベトナム戦争末期の一九七三年です。「ミッドウェイ」「インディペンデンス」「キティホーク」へと引き継がれたが、米国本国以外での空母の母港化は横須賀だけです。
 現在の「キティホーク」が二〇〇八年退役、後継に原子力空母を配備するという報道は相当に前からありました。「原子力空母の母港問題を考える市民の会」(呉東正彦・共同代表)が反対署名を開始したのは一九九八年です。その後、原子力空母母港化に反対する「全国連絡会」「神奈川実行委員会」も結成され、合計で五十万人分の反対署名を市と県に提出、市・県・外務省に要請してきました。

 こうした反対の声を背景に二〇〇五年二月の市議会で「原子力空母配備に反対する決議」を全会一致で採択。それでも米軍関係者からは「後継は原子力空母」という発言が相次ぎました。二〇〇五年六月の市長選で「後継空母は通常型」を公約にした蒲谷・現市長が当選しました。また両政府合意報道を受け、十一月の臨時市議会では「原子力空母の配備合意撤回を求める意見書」が全会一致で可決されました。
 二〇〇六年四月、一部市議会の代表者と地元経済界が友好都市視察のため訪米、直後に自民党市議団が配備容認に転換しました。さらに麻生外相が市を訪れ、「原子力空母は安全だ」と圧力をかけ、蒲谷市長は選挙公約を覆し、母港化の容認発言をしました。
 こうした事態に何をすべきか、バースの延長工事の差し止め訴訟、市長リコール、原子力空母配備を問う住民投票など議論になりました。そして、市長や市議会だけで決めるのではなく、市民自身が決めよう、住民投票条例を制定しようと決めました。市民団体、労働組合などが加わった「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」を発足させ、昨年十一月から十二月の一カ月間、住民投票条例を求める直接請求に取り組みました。結果は、請求に必要な有権者の五十分の一(七千百十四人)をはるかに上回る四万人の署名を集めました。
選挙管理委員会で有効と認められた三万七千八百五十八人の署名を添えて、一月十七日、市長に対して直接請求しました。二月五日からの臨時市議会で条例制定をどうするか議論されます。保守系の議員が多い議会の構成からすれば、条例制定は容易ではありません。しかし、「原子力空母は危険だ」「大事な問題なので市民で決めるべきだ」など署名してくれた四万人の声を実現させなければなりません。
 時間がありませんが、首都圏あるいは首都圏以外からも、横須賀市議の皆さんに条例実現の声を届けてほしい。原子力空母母港化の問題は、横須賀だけの問題ではありません。原子炉事故が起これば、首都圏一帯が深刻な被害にあいます。「安全性」の問題だけでなく、米軍再編強化の一環としての原子力空母は認めないという声を届けていただきたいと思います。
(談・文責編集部)

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