社会学者 大澤真幸さんに聞く
「苦境の今こそ、21世紀最大の課題である『国家を超えた連帯』を実現させるチャンスだ」と喝破される大澤真幸さんに伺った。見出しを含めて文責編集部
グローバル資本主義の負の産物
——大澤真幸さんは、感染症のパンデミック、コロナ・ショックと言われるような状況を、「『グローバル資本主義』という社会システムの負の側面が顕在化した」と捉えておられます。ここが現状認識として最も重要なところだと思います。
「資本主義は、貨幣(マネー)と商品と人間をグローバル化し、それらを、国境を越えて運動させます。これら三つの中で、最も速いのが貨幣で、最も遅いのが人間です。人間は、貨幣や商品に引っ張られるようにして、国境を越えていきます。ということは何を意味するかというと、資本主義の下では、人間は、他者に対する自然な関心やコミュニケーションへの欲求によって移動した場合よりもずっと速く、広く拡散していく、ということです。もっとわかりやすく言えば、資本の利益に駆り立てられているとき、人間は、異常に速く、世界の隅々にまで移動していくのです。このことが、新型コロナウイルスの拡散がたいへん速かった原因になっています。14世紀のペストがユーラシア大陸の全体に広がったように、資本主義など未発達でも感染症は流行するのですが、今回のウイルスが瞬く間に世界中に行き渡ったのは、明らかに、私たちがグローバル資本主義の時代を生きているからです。もっと具体的に言えば、中国共産党の『一帯一路』の構想で、中国とヨーロッパのつながりが強くなっていたことが、アダになったと推測されます」 続きを読む




今年は安保改定から60年の節目にあたるが、安倍政権のもとアメリカに追従しながら「戦争のできる国」への動きが加速している。安倍政権は違憲である集団的自衛権の行使を強引な解釈改憲によって容認した。専守防衛の原則を捨て、集団的自衛権の行使などにより、自衛隊が海外で米軍の補完戦力として参戦できるための安保法制つまり戦争法制も整備した。憲法9条を変えて自衛隊を明記し、実質的に戦争ができる軍隊に変えることも企てている。
沖縄県にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設計画をめぐり、名護市辺野古の沿岸部を埋め立てることについて賛否を問う県民投票が2019年2月24日に投開票され、反対票が投票総数の7割を超えた。玉城デニー氏が18年の県知事選で当選した際に集めた過去最多の得票をも超えており、辺野古への移設に反対する県民の強い「民意」を改めて示したこの県民投票は全国のマスコミでも取り上げられた。 

