農業一覧

[持続と循環の食料自給経済へ]高松 幸彦

「改正漁業法」―― 沿岸漁業でも農業とまったく同じ攻撃が

 

全国沿岸漁民連絡協議会共同代表(北海道北るもい漁業協同組合所属) 高松 幸彦

 

 私自身は先生のご講演を聞かせていただいたのは今回で2度目です。最初は自分が共同代表として所属する「JCFU(全国沿岸漁民連絡協議会)」が開催した〝改正漁業法に関する勉強会〟でした。
 安倍政権下での、漁業法の「70年ぶりの改正」というわりには浜を対象にした説明がほとんどないに等しい状態で、国会審議においても衆参両院合わせてもわずか約21時間余り、「数の論理」による乱暴な国会運営でした。このため法案を通してから水産庁の担当者が説明に各地を回るというお粗末なありさまです(改正漁業法は、2018年12月成立、20年12月1日施行)。いまだに大多数の漁業者が法改正の中身を理解できてない状況です。これは当事者である漁民を愚弄し、〝漁業人口の94%にあたる家族漁業経営体を軽視〟していることの表れにほかならないと思います。まさに農業改革で農協の弱体化を狙った時と構図的には似たものがあります。 続きを読む


[持続と循環の食料自給経済へ]三角 修

生産者と消費者は「運命共同体」

JA菊池組合長 三角  修

 JA菊池の三角です。お世話になっています。鈴木先生のお話、久しぶりに「鈴木節」を聞かせていただきありがとうございました。
 先生がおっしゃられましたようにですね、私は農協というのは地域環境を守るという大きな仕事もあると思います。また片方には当然、食料を、日本人の胃袋を満たすという大きな仕事もあると思っています。そのへんにつきましては今日最後の方で、生産者と消費者は「運命共同体」なんだということをおっしゃっておられましたけど、私もまさにそのとおりだと思っております。

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[持続と循環の食料自給経済へ]藤本 好彦

農を土台とした地域の文化と風土を、次の世代につなげたい

山梨県議会議員(南アルプス市園芸農家) 藤本 好彦

 

急がれる!健康な土づくり

 山梨県は、果樹農業が盛んであるため、圃場では窒素・リン酸・カリウム等の資材の堆積が目立ち、果樹の順調な生育を阻害したりするなど、病気も増えています。栽培規模の拡大、機械化、栽培作物の単一など、効率化を推し進めたことで、土壌の成分の偏りが危惧され弱体化が懸念されています。
 県は農業者が不要な化学肥料の施用を防止し、おいしさや栄養価を高め、環境に与える負担を軽減し、適正な施肥を行い健康な土づくりを通じて健康な農作物を育てられるよう、1979年度から、県内約120地点の主要農地において、土壌診断を進め地力に関する調査を実施しています。 続きを読む


[持続と循環の食料自給経済へ]浄慶 耕造

「企業農業」ではなく「中山間地の有機農業」の全国発信をめざす

養父市議会議員 浄慶 耕造

 

 鈴木先生のお話、非常に明快でかつ「怖い」話でしたので、心の中にずっしりと響きました。
 われわれの養父市、話がありました「国家戦略特区」に2014年、最初の5地区のなかの一つとして「農業特区」に指定されました。当時市長は、「中山間地の革命児」などと多くのメディアで持ち上げられました。
 養父市はどういうところかといいますと、2004年に平成の大合併によって市になったわけですが、当時の人口が3万人弱、現在は2万2千人で高齢化率39%の少子高齢化の地域です。かつて経済は、鉱山、林業、養蚕の山村経済の上に商業の隆盛を誇った地域でしたが、ベースの産業の衰退と「大店法」の廃止に伴う郊外店の進出によって「ひっそり」とした中心市街地になってしまいました。 続きを読む


[持続と循環の食料自給経済へ]北口 雄幸

農業参入の「ワタミ」が20年もたたずに撤退

北海道議会議員 北口 雄幸

 北海道からはですね、いわゆる国の「規制改革会議」などで農地に民間企業が参入できるようにして、農業に民間企業が参入しやすくする規制改革が進められたわけですが、参入した民間企業が早くも撤退した事例などについて少しご報告をさせていただきたいと思います。
 全国的な居酒屋チェーンの「和民」があります。この「和民」は「ワタミファーム」をつくって、全国で11カ所、そのうち北海道では3カ所、農場を展開し、野菜や卵、それから牛乳などを生産しております。全国の農地面積は630ヘクタールというふうに聞いております。
 そのうち北海道のせたな町、道南の方の瀬棚農場でありますけれど、平成16年度から国の「構造改革特区」を活用し、ワタミは外食産業向けの有機野菜や有機乳製品の生産を目的に設立、参入しました。ところが、この3月末をもって閉鎖、撤退をするということであります。 続きを読む


■ 安全な食料自給。農林漁業を核とする持続可能な地域循環経済へ

 

「日本の未来は守れるか」  鈴木宣弘東大教授の問題提起   
――命・環境・地域・国土を守る食と農林漁業の明るい未来を築くには?

 

広範な国民連合は3月28日、鈴木宣弘東大教授を講師に「農林漁業を核にした地域循環経済の形成へ」講演と討論の会をオンラインで開催した。以下は、鈴木教授の講演の結論部分の要約と各地からの報告要旨である。  文責、見出しとも編集部

 

 「飢餓の危機は日本人には関係ない」は誤っている。2035年時点で、日本は飢餓に直面する薄氷の上にいる(詳細は本誌4月号、鈴木論文)。世界も同様である。
 「Go To トラベル」事業の議論の根本的誤りは、経済社会の構造そのものをどう転換するか、という視点が欠如していることである。都市人口集中という3密構造そのものを改め、地域を豊かにし、農林漁業を核に地域経済の循環構造を確立する必要がある(詳細は本誌2月号、鈴木論文)。 続きを読む



農業政策は国民の命を守る真の安全保障政策

「飢餓の危機は日本人には関係ない」は誤っている

東京大学 鈴木 宣弘

 

2050年ごろに起きるかもしれない渋谷駅頭の暴動(21年2月7日、NHKテレビ画像)

 

 

 先日、NHKスペシャルが2050年ごろに日本人が飢餓に直面する危険性に警鐘を鳴らした。画期的である。だが、その危険性はもっと早くに迫っているかもしれない。下の表はその可能性を示唆している。 続きを読む


農村活性化の「地域政策」の役割がポイント

家族農業など多様な経営体の共存・共生

北海道農民連盟書記長 中原 浩一

 北海道農民連盟の昨1年間の運動の柱は、「基本農政対策」、「米・水田農業対策」、「畑作・野菜対策」、「酪農・畜産対策」、「税制対策」等であった。一昨年からの継続課題を整理しつつ、新たな方針のもと活動してきた。 続きを読む


国産食料を増やすように生産者がもっと発信していく

人と人の出会い・交流が一番の強み、
それを結びつけるのが青年部

全国農協青年組織協議会(JA全青協)会長
田中 圭介 さんに聞く

 私は高校まで水泳に熱中しており、農業を継ぐつもりはなく、学校の教員になりたいと思っていました。兄、姉の3人きょうだいの末っ子でしたが、高校2年の時、農業大学校を途中まで行った兄が民間企業に就職し、自分が継ぐのかという状況になりました。 続きを読む


東京で新規就農 ■ 都市農業に取り組む若者たち(1)

農業を「新しい生活スタイル」に

東京NEO-FARMERS!世話人代表
松澤 龍人 さん
(一般社団法人 東京都農業会議 業務部長)

東京都の非農家出身新規就農者の集まり、東京NEO-FARMERS!の松澤龍人さんと就農者の大塚聖子さんに話を聞いた。大阪でも、同様の組織が立ち上げられた。コロナ禍で、過密都市問題と食料自給への関心が高まっている。農林業就業と地方移住の希望者が増加している。都市と地方の結びつき強化は重要である。

 まず、東京都の農地についてですが、面積と生産量ともに、23区と多摩地域、伊豆諸島を合わせても、埼玉県の深谷市と同規模くらいですね。深谷市は農地面積が多いところですが、それにしてもひとつの市と同じ程度です。 続きを読む


東京で新規就農 ■ 都市農業に取り組む若者たち(2)

大塚 聖子さん(相模原市、つくいマルせい農園)の話

 

 農園の場所は、相模原市の山の中の津久井地域の寸沢嵐です。東京に適当な農地が見つからなくて松澤龍人さんにお世話になって就農することができました。「東京NEO-FARMERS!」の相模原グループということで一緒にやらせてもらっています。

8月18日から21日の11:00~18:30、JR新宿駅南口徒歩4分にあるJA東京アグリパークでマルシェを行う。

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食料・農業問題 ■ 本質と裏側

種苗法改定をめぐる3つの論点~国民的議論の必要性

東京大学教授 鈴木 宣弘

種苗法改定の内容

 種苗法改定をめぐってさまざまな議論がなされており、多くの懸念も表明されている。
 種苗法とは、植物の新品種を開発・育成した人の権利を守る法律で、一般の商品の特許、本などの著作権にあたる。
 今回改定しようとしている内容は、登録品種の利用に国内限定や栽培地限定の条件を付けられるようにすること、登録品種の種や苗を無断で自家採種(増殖)するのを禁止することである。
 改定の背景は、例えば、日本のぶどうの新品種シャインマスカットが海外に持ち出され、栽培が広がっている。多額の国費を投入して開発した品種が海外で勝手に使われ、それによって日本の農家の海外の販売市場が狭められ、場合によっては、逆輸入で、国内市場も奪われかねない。この事態に歯止めをかけることが改定の目的とされている。
 種苗法改定をめぐるさまざまな懸念に応えるためにも、農家も消費者も、国民全体で、情報を共有して十分に議論することが必要である。ここでは、3つの論点を提示する。 続きを読む


特集■「自立日本の総合安全保障を考える」農は国の本、国家安全保障の要

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 

 国民の命を守り、国土を守るには、どんなときにも安全・安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠であり、まさに、「農は国の本なり」、国家安全保障の要である。そのために、国民全体で農林水産業を支え、食料自給率を高く維持するのは、世界の常識である。食料自給は独立国家の最低条件である。 続きを読む