広範な国民連合「対中国外交の転換を求める」共同集会開催

中国は「敵」ではなく大切な隣人 「原点に戻れ」

 「自主・平和・民主のための広範な国民連合」が呼びかけ、「緊急共同『対中国外交の転換を求める』」と銘打った集会が、10月9日、東京で開催された。感染症対策で席数制限された会場と、同時にオンライン配信され福岡、熊本などではサテライト会場も開設され、全国で約200人が参加した。
 「台湾有事」が煽られ、隣国との外交が事実上途絶え、「抑止力強化」一辺倒の今日の事態はあまりに異常。来年の国交正常化50周年に、「原点」を確認するとともに新時代の両国関係をめざさなくてはならない。両国政府間の約束である「習近平主席国賓来日」を実現できる政府間、国民間の友好と協力の関係構築が急がれる。岸田新政権が成立し首相所信表明演説の翌日の、そして衆院解散・総選挙を目の前にしたこの取り組みは、国民世論を促す一歩となったに違いない。そうした国民運動の努力を共にすることが確認できた共同集会となった。


 集会冒頭、広範な国民連合代表世話人の角田義一(元参議院副議長)が、「日中間で絶対に再び戦争をしてはならない」と、集会の趣旨を簡潔に提起した。
 問題提起は、鳩山友紀夫元内閣総理大臣が、「中国は『敵』ではない――国交正常化の原点に戻れ」、続けて谷野作太郎元駐中国大使も「日中両国は国交正常化の原点に戻れ」と発言。こうして「対中外交転換」の基調は、両国が1972年、日中戦争と戦後の敵視・敵対から和解を確認し、国交正常化に踏み切った「原点」に戻ることだと方向づけられた。
 さらに、柳澤協二元内閣官房副長官補、羽場久美子青山学院大学名誉教授、猿田佐世新外交イニシアティブ代表、丸川知雄東京大学教授、伊波洋一参議院議員(ビデオ参加)の各氏がそれぞれのテーマで専門的角度から発言した。
 最後は、西原春夫早稲田大学名誉教授(元同大学総長)が、「国家間の『対立』は解決が難しいことが多い」「対立しているものの両方を含む共通の分母(共通の利益、時には共通の『仮想敵』)をつくり出せばよい」「(最大の安全保障は)『敵をつくらない』、国際政治、外交」と提唱し、8人の問題提起の全体をまとめた。
 集会には、日本青年団協議会大﨑博士副会長のビデオメッセージと屋良朝博・衆議院議員、水岡俊一・参議院議員(立憲民主党参議院議員会長)、有田芳生・参議院議員、舟山康江・参議院議員、吉田忠智・参議院議員、野田国義・参議院議員(行政監視委員長)、高良鉄美・参議院議員(沖縄社会大衆党委員長)はじめ多数の文書メッセージが寄せられた。また、集会の半ばで歌舞音楽集団『荒野座』の江村結さんが、90年前の満州事変を歌った中国の抗日革命楽曲「松花江のほとり」を熱唱した。
 最後に、広範な国民連合代表世話人の西澤清(元日本教職員組合副委員長)が、お礼と閉会あいさつを述べた。その中で西澤代表は、「『台湾有事』の報道が頻繁になされる状況で本日、私たちは有識者の貴重なご意見を伺い、『戦争は絶対に避けるべきである』という意思を固め、そのためにそれぞれの立場で努力することを決意した」「1972年の日中国交正常化時に日本政府は、『台湾が中国の領土の不可分の一部であることを理解し、尊重する』ことを確認した。しかし、今年4月の日米首脳会談で菅首相は、この確認をほごにして台湾問題に踏み込んだ。直ちに原点に戻らなければなりません」「中国と真摯な態度で場を設け、対話を重ねるべき。その際に大切なことは、『小異も大異も残して』『大同』で一致すること。『大同』とは『戦争をしないこと』です」と提唱し締めくくった。

(以下、見出しともに文責編集部)