コロナ第2波と大災害に備えを

安全保障とは国民の命と安全を守ること

「日本の進路」編集部

 75年目の8月15日がやってくる。アジアで何千万の人びとの命を奪い、日本人も何百万人が命を落とした日本のアジア侵略戦争と太平洋戦争。そして沖縄地上戦と米軍の原爆投下による広島・長崎の惨禍。莫大な犠牲の上に今日の日本がある。
 コロナ禍が加速し浮き彫りにした歴史の転換点で、過去の歴史をしっかりと振り返り未来を選択しなくてはならない。戦争をしない、させない政治、何よりも国民の命を守る政治。安全保障とは国民の命と安全を守ること、そして国際の平和を守り、諸国の共生を実現し、諸国民の命を守ることだ。
 安倍首相は口を開けば、「国民の生命、安全を守る」、そのため「強い国」をつくると言う。ところが、その政権の下で、他国の攻撃によってではなく国民の命が次々と奪われている。これは人災、いわば政災だ。 続きを読む


[コロナ危機どう闘うか] 感染症と戦争の人類史から、ポストコロナ政治を構想する(2)

参議院議員、前滋賀県知事、
元日本環境社会学会会長 嘉田 由紀子

 コロナ対策をめぐる日本政府の対応、その日々の動きを国会議員として近くで見ながら、安倍政権のちぐはぐさを前稿で示してきた。ポイントは、これまで新型コロナウイルスは「感染率は低いが、致死率は高い」といわれ、それに合わせて「封じ込め」「社会分離」政策がとられてきた。しかし欧米各国との比較で見ると死亡率は2~3桁少なく、「感染率は高いが、致死率は低い」という病の部類になるのではないか。となると、ここまで全国の学校を3月以降休校にして、日本中に経済・社会的活動制限をした政策に正当性があったのだろうかという疑問がわく。 続きを読む


[若手新人議員の鼎談] 激戦の沖縄県議選を終えて

再来年は復帰50年、新しい沖縄をめざして

基地をなくし、沖縄の無限の可能性を拓く

那覇市・翁長 雄治さん、宜野湾市・玉城 健一郎さん、うるま市・山内 末子さん

司会・山内末子さん
 今日は、宜野湾市の玉城健一郎さん、それから那覇市の翁長雄治さん、そして、私、山内末子の3人で県議選を振り返りながら話し合いたいと思います。
 6月7日に投開票となった今回の沖縄県議会議員選挙、お二人は初めてのチャレンジで初当選、まずは、おめでとうございます。私は4期目ということで、初心を忘れず頑張りたいと改めて決意しております。よろしくお願いします。
 最初に玉城健一郎さんに発言をお願いします。 続きを読む


[コロナ危機] コロナ禍と労働者

雇用と生活を守るJAMの取り組み

JAM副書記長、組織・政策部門長 川野 英樹

未曽有の緊急事態宣言

 JAMは、機械金属産業の中小企業・ものづくり製造業を中心とした約1900単組、38万人が加盟する産業別労働組合である。
 その特徴は、何といっても中小企業単組の構成比が高いということ。300人未満の単組が85%、100人未満の単組が60%を占めており、中小企業単組の「雇用と生活の維持と確保」に焦点を当てた運動が中心とならざるを得ない。
 もう一点は、構成企業の大半が中小・サプライヤー(中小部品供給会社)であり、大幅な景気変動時には発注メーカーから一方的なキャンセルや納入停止が多発する。また、原材料調達が困難で納期遅延が発生した場合は、ペナルティー(違約金)が発生するなど、公正取引慣行の確立が主要な政策課題となっていた。 続きを読む


[コロナ危機] コロナ危機の時代をどう生きるか

武器ではなく人、子育てや教育こそ最重要

日中友好協会会長 元駐中国大使
伊藤忠商事名誉理事 丹羽 宇一郎

 新型コロナウイルスの感染拡大について、「パンドラの箱が開いた」とよく言われるが、この中から出てきた新型コロナウイルスの正体はいまだにハッキリ分からない。いわゆる「専門家」といわれる人たちが口にするのは、感染者数や亡くなった人数など、すでに終わった話ばかりで、どうなるのかは誰も言ってくれない。
 また、この新型コロナの感染拡大を防ぐために、「『3密』を避けましょう」と言われています。しかし、毎日電車通勤をしなければいけない人たちや、買い物をする人、そうしたところで働く人たちにとって、この「3密」を避けるのは大変難しいことです。
 これからは「ウィズコロナ」です。「コロナと共に」にということです。ワクチン開発の成否も分からないなかでは、新型コロナウイルスに対する免疫を高めるしかありません。そうして免疫を高めた世界でコロナと共生・共存していかざるを得ない時代が確実にきます。 続きを読む


[イージス・アショア撤回] 安倍首相の代案は「敵基地」先制攻撃

自主・平和へ踏み込む時

編集部

 イージス・アショア問題の核心は、どんな意味でもわが国の安全保障ではなく、安倍首相によるアメリカ(トランプ大統領と米軍需企業)のための計画だった。
 しかし今、安倍政権の財界のための対米従属政治は問題噴出、国民的な批判の高まりの中で政権は末期症状。秋田、山口の県民の抵抗を前に防衛当局と安倍政権は計画停止を余儀なくされた。
 こうして安倍政権と戦後の対米従属路線そのものの限界がまた一つあらわになった。次は、辺野古をやめさせる番だ。 続きを読む


[イージス・アショア撤回] 歓迎するが、沖縄から見るとちょっと違和感が

参議院議員 伊波 洋一

 基本的には歓迎しています。秋田にしても山口にしても、まったく地域住民のことを考えないで配備計画を進めていたわけです。やはり民意は反対です。
 トランプにどれだけ忖度するかとの兼ね合いでしょうが、今後1兆円もかかるカネの問題でもあり、自民党的に国内政治を優先させたということでしょう。日本にとってメリットもないことを安倍首相がトランプに忖度してやっていたわけです。
 今回の決定で、安倍政権の盤石さが消えつつあると感じます。さまざまな不祥事、コロナ対策のその場しのぎの取り組み等、内閣支持率もかなり落ち、政権への国民の信頼の揺らぎも見えてきています。自民党としても次の総選挙への対応の必要性を感じているはずです。 続きを読む


[イージス・アショア撤回] 国策に向き合った地方自治と住民運動

イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会
萩市議会議員 浅井 朗太

 河野太郎防衛大臣が、イージス・アショア配備計画のプロセス停止を発表した。この計画は、2年半前の17年12月に、当時の防衛大綱にも中期防にもなかったにもかかわらず、閣議決定で導入が決まったものだった。国策と言える防衛政策が停止するという事態は極めてまれである。
 さて、ここに至るまでに、この国策に向き合わざるを得なかったのが地元住民であり、地元自治体であった。 続きを読む


[イージス・アショア撤回] ミサイルが飛んでこないようにするのが最良の選択

対米従属の安全保障路線、「武器爆買い」の破綻

国際地政学研究所理事長
元内閣官房副長官補、元防衛省 柳澤 協二

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画を停止すると河野太郎防衛相は表明した。理由として挙げられたのは、迎撃ミサイルを発射するブースター・ロケットの燃え殻を自衛隊演習場内などに確実に落とすようにするには膨大な費用と年月を要することが判明したからだという。
 いつでもどこでも、過ちを認めるには勇気が必要だ。その勇気は評価したいが、問題は、「なぜ今まで放置していたか」と、「なぜ今決めたか」という二つの面から検証したい。 続きを読む


[コロナ危機] コロナ禍で問われる税収の空洞化

不公平な税制をただす会共同代表・税理士 菅 隆徳

 コロナ対策では、政府が閣議決定した(第1次)補正予算だけでも25・7兆円の国債の追加発行が予定されている(その後第2次補正は全額国債で賄われ、31・9兆円 編集部補足)。さらに政府案にはない「賃金・収入の8割補償」や「イベント中止への補償」、医療・検査・介護などへの支援策の拡充などを実現するためには、さらに多くの費用が必要となる。
 コロナ危機対策で各国は巨額の財政支出に踏み切っている。財源負担をどうするか、税の集め方、使い方が問われる。感染防止のための財政出動を契機に、公平・公正な税負担を実現することが、強く求められている。 続きを読む


[コロナ危機] 傷つく人々を全力で支援 費用負担は応能で

財源負担問題の国民的議論を

『日本の進路』編集部

 第1次に続いて第2次補正予算が成立し、通常国会は閉じた。
 一般会計歳出は当初予算と合わせ総額160・3兆円、過去最大だった19年度(104・7兆円)の1・5倍に。補正の財源は全て国債で今年度の国債発行額は90・2兆円となる。
 未曽有の国民的危機にはあまりにも「遅すぎる」「少なすぎる」対策だが、大企業や大銀行、大金融資産家には十分すぎる財政・金融支援であろう。しかも、給付金事務に大企業が食いつき利益を貪り、パソナのような白アリも集っている。
 他方、傷つく人々や、頑張っている医療関係者や社会インフラを支える人々への支援は「雀の涙」、それもまだ多くは届かない。 続きを読む


東京都知事選挙にあたり都民の皆さんに呼びかけます

「国際金融都市東京」はいらない。都民の生命と生活を守る都政を実現しよう

 東京都知事選挙が7月5日に行われます。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除されてまだ間がなく、多くの都民が生命と生活の不安の中にあります。

 前回2016年の選挙で現職の小池百合子都知事は、「東京大改革」「都政の透明化」をかかげ圧勝しました。しかし、知事となった小池氏はなにをしてきたでしょうか。 続きを読む


貴方の偉業は世界(記憶)遺産、ノーベル賞を超える

中村哲君を偲んで

元福岡県教職員組合委員長 中村 元氣

突然の訃報に

 「凄まじい温暖化の影響――とまれ、この仕事が新たな世界に通ずることを祈り、来る年も力を尽くしたい――中村哲」と冒頭に書かれた文章を含む「ペシャワール会報」(NO142号、12月4日発行)が、2019年12月4日に私の手元に届きました。まさか、その日の朝、中村哲君(と、高校時代からの呼び方で書かせてください)が、ジャララバードの宿舎を出て車で作業現場に向かっている途中、何者かに銃撃され、同乗していたドライバーと4人の護衛の方々とともに亡くなられるとは思いもしませんでした。 続きを読む


コロナ禍、米中冷戦激化の中 日米安保条約60年

自主・平和、アジア共生の進路こそ急げ!

『日本の進路』編集部

 6月23日、現行日米安保条約発効60年を迎える。安倍晋三首相は、祖父である岸信介元首相が60年前条約に調印した1月19日、「100年先まで、日米同盟を堅牢に」とアメリカに誓った。
 日米安保条約に基づく日米同盟と米軍駐留は、日本の国家主権を著しく損ない、国民のいのちと安全を脅かしアジアの平和の脅威となってきた。日米同盟に組み込まれた自衛隊は、湾岸戦争やイラク侵略戦争、いま中東や南シナ海などへと、派兵が常態化している。 続きを読む