国際情勢・政治一覧

民主主義サミットなるもの

〝米の民主主義〟って、本物?

 

広範な国民連合代表世話人 原田 章弘

 〝民主主義〟という言葉を聞いた時、それは、18、19世紀の「市民革命」で、封建専制政治を倒し、市民が勝ち得たものというイメージだ。では、アメリカは?
 多くの人が知る通り、アメリカは独立戦争を経て「自由・平等・民主主義」を旗印に建国された。この理念は、アメリカ人にとって誇りであり、国をまとめる力であり、宗教的とも言える大きな意味を持ち、軍隊を外国に派遣する時にも、常に「錦の御旗」とされている。では、アメリカこそが、人類の求める究極の民主社会と言えるのか?

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社会学者 大澤 真幸さんは語る [2]

資本主義の限界露呈の下での米中激突
戦争の危険を遠ざける長期策と当面の策(下)

 

社会学者 大澤 真幸さんは語る

構成
(前文)
コロナが突きつけた資本主義の本当のこと
「2種類の資本主義」
基本的な仕組みを全体的に再構想する
(以下、本号)
米中戦争をさしあたって避ける
 どっちつかずの日本は不可能
 拒否できない日本でよいか

(21年10月号から続く)

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 西原 春夫

「対立超克理論」の提唱

早稲田大学名誉教授(元総長) 西原 春夫

 ご紹介をいただきました西原でございます。
 私どもは、「東アジア不戦宣言」というプロジェクトを進めております。『日本の進路』誌の2020年9月号に詳しく紹介されています。この行動の背景には、実は私ども独特の考え方があります。その考え方には、ひょっとすると皆さまにとって参考になるところがあるかもしれません。そこで、この背景となる考え方についてまず話をさせていただきます。それは「対立超克の理論」です。

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 伊波 洋一

今、対中国外交の転換を、
どうして政府に求める必要があるのか

参議院議員(会派「沖縄の風」代表) 伊波 洋一

 ご参加の皆さん、参議院議員の伊波洋一です。本日の取り組みに会場参加したかったのですけれども、衆議院総選挙に向けた取り組みの中で、今先島の方に来ております。あらかじめレコーディングして皆さまに私の方から沖縄の報告をしていきたいと思います。沖縄の現場からは、今日の集まりの課題になっております「対中国外交の転換」がなぜ必要かということがよく見える状況です。

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 丸川 知雄

中国をめぐる経済外交への提言

東京大学教授 丸川 知雄

 私からは中国をめぐる経済外交を3点に絞ってお話ししたいと思います。
 日本のメディアでは米中貿易戦争がずっと続いていると報道されています。トランプ政権下の2018年7月の301条発動からどんどんエスカレートして、ファーウェイといった特定の企業をターゲットにしてアメリカ市場から追放し、そればかりでなくファーウェイと付き合うような企業も追放だと。敵の味方も敵だ、みたいなかなり徹底した封じ込めをやっている。トランプ政権の最後、2020年1月には第一段階の合意というのがあって、中国がアメリカから財・サービスの輸入を2000億ドル増やすから、もうこれ以上貿易戦争の戦線を拡大しないという合意がなされた。それで一安心と思ったら、新型コロナがそこから始まって、米中関係が非常に悪くなって、バイデン政権でもそのまま続いていると理解しております。

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 猿田佐世

Don’t make us choose
米中いずれかを選ばせるな

新外交イニシアティブ代表 猿田佐世

 新外交イニシアティブ(ND)代表の猿田佐世(弁護士)です。
 新外交イニシアティブは先ほどお話しされた柳澤協二さんも評議員として参加してくださっている団体で、日本にあるさまざまな声を外交に届けるという活動をしています。例えば、大変名誉なことですが、鳩山先生が総理大臣を引退してから公式に訪米されたときにも私どもが訪米日程のアレンジをさせていただきました。最近ですと枝野幸男立憲民主党代表のアメリカ訪問の際のアレンジを担当させていただきました。

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 羽場 久美子

相互信頼と発展が日中関係の基礎
――戦争を避けるために――

青山学院大学名誉教授 羽場 久美子

 

 

 私からは、少し情報過多になるかもしれませんが、事実から、近隣国の相互信頼と発展が日中関係の基礎になるということを提起したい。それが戦争を避けるための基本になるというお話をさせていただきたいと思います。

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 柳澤 協二

『台湾有事』は人ごとではない

国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二

 

 

 私は防衛官僚でしたが、軍事の専門家でも中国問題の専門家でもない。しかし、戦争というのは別に軍事だけでやるものではなく、軍事と政治と経済・社会と、そういうものの総合的作用として戦争があることははっきり言えます。

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 谷野 作太郎

日中両国は国交正常化の原点に戻れ

元駐中国大使(元内閣外政審議室長) 谷野 作太郎

 

 

 いただいたテーマが「対中国外交の転換を求める」という大変大きなテーマ、それを短時間でお話しすることはなかなか難しいんですが、時計を見ながらお話ししたいと思います。鳩山先生のお話の中の「日中両国は国交正常化の原点に戻ろう」という点についてはお手元に配布されている資料の中に、同じテーマで私が書いたもの(谷野作太郎著・東洋経済新報社2017年刊『中国・アジア外交秘話』第5章の一部、「日中両国は45年前の関係正常化の原点に帰れ」32ページに要約を掲載)がありますのでここでは省略します。

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「対中国外交の転換を求める」問題提起 鳩山 友紀夫

中国は「敵」ではない
国交正常化の原点に返れ

東アジア共同体研究所理事長(元内閣総理大臣) 鳩山 友紀夫

 お集まりの皆さん、ご苦労さまです。
 久しぶりに「角田節」を聞かせていただいて、角田さんご健在だなと、大変うれしく思った次第です。
 「問題提起をせよ」ということで、結論だけ先に申し上げたいと思います。1972年の日中国交正常化の共同声明、ここに日中間がようやく平和になったという周恩来総理と田中角栄首相の会談での合意がありますが、この1972年のこの共同声明の線に、日本と中国は戻れと提起したい。

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資料――マスコミでは伝わらないアフガンの人々の実情

 故・中村哲さんと、元駐アフガニスタン大使が語るタリバン

 

【編集部】アフガニスタンの首都カブールが8月15日陥落し、米軍は命からがら撤退した。20年にわたるアメリカを中心とする〝民主主義国〟によるアフガニスタン侵略戦争は人民の歴史的勝利に終わった。1975年4月、ベトナム戦争での米軍敗退、サイゴン陥落で米軍の世界支配の終わりは始まったといわれる。それから46年、カブール陥落は〝アメリカの時代〟の終わりを世界中に劇的に知らせた。アフガン人民はついに外国侵略者を追い出し、完全な独立を達成した。前途に困難も予想されるが、アフガン人民の前進を確信できる。 続きを読む


社会学者 大澤 真幸さんは語る [1]

資本主義の限界露呈の下での米中激突
戦争の危険を遠ざける長期策と当面の策

 

構成
(前文)
 真に信じなければいけないことがある
コロナが突きつけた資本主義の本当のこと
 経済が急停止し地獄を見た
「裸の王様」
「2種類の資本主義」
 生き延びるとしたら「中国型」を不安がる米国
基本的な仕組みを全体的に再構想する(本号ここまで)
米中戦争をさしあたって避ける
 どっちつかずの日本は不可能
 拒否できない日本でよいか

 

 ちょっと変な話からですが、普通、人は予想していなかったことや知らなかったこと、未知のものとかが起こったりすると驚くわけです。それは当たり前です。しかし最近僕は、人はあらかじめ予想していたりある程度知っていたりしたことが起きても驚くことがあるということに改めて気がついた。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-9

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

 

日中共同声明と平和友好条約は基礎

 

伊波 洋一

 

 台湾有事での戦争というのは日本が関与しなければ、アメリカはできないということができると思います。だから、集団的自衛権として日本が台湾有事に関与しないことを、大事にしないといけないと思います。
 先ほどの沖縄の島々からのロケット砲の発射や、中距離ミサイルを日本に展開させ、そこから発射することは、日米安保条約の事前協議の対象なので、日本が了解したことになり、その時点で中国と敵対することになります。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-4

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

宮古、八重山地方の状況

沖縄県議会議員 國仲 昌二

 今日の先生方のお話を聞いてですね、台湾有事、あるいは米中対立ですね、非常に危機感を強くしています。
 逆に言えば、こうした問題について、日本全体の認識がまだまだちょっと甘いのではないかとも感じています。
 先ほどから話にありますように、台湾有事が起きますと、宮古、八重山は必ず巻き込まれるという危機感を持っています。 続きを読む