世界経済一覧

「対中国外交の転換を求める」問題提起 丸川 知雄

中国をめぐる経済外交への提言

東京大学教授 丸川 知雄

 私からは中国をめぐる経済外交を3点に絞ってお話ししたいと思います。
 日本のメディアでは米中貿易戦争がずっと続いていると報道されています。トランプ政権下の2018年7月の301条発動からどんどんエスカレートして、ファーウェイといった特定の企業をターゲットにしてアメリカ市場から追放し、そればかりでなくファーウェイと付き合うような企業も追放だと。敵の味方も敵だ、みたいなかなり徹底した封じ込めをやっている。トランプ政権の最後、2020年1月には第一段階の合意というのがあって、中国がアメリカから財・サービスの輸入を2000億ドル増やすから、もうこれ以上貿易戦争の戦線を拡大しないという合意がなされた。それで一安心と思ったら、新型コロナがそこから始まって、米中関係が非常に悪くなって、バイデン政権でもそのまま続いていると理解しております。

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米中激突の国際情勢とわが国の進路

以下は、広範な国民連合「第3回全国世話人会議への報告と提案」の中の、「激動の国際情勢見通し、展望」の部分に議論を踏まえて若干加筆したものである。今日の情勢をより深く歴史的に評価するうえで重要と考え編集部の責任で紹介する。

衰退したアメリカは、新興する中国を軍事力を使ってでも抑え込みドルと覇権を維持しようと画策し、世界を破局の瀬戸際に追い込みかねない。世界の国々は小国も大国も「アメリカ第一主義」の世界支配に反発を強め、アメリカの戦後世界支配に代わる新しい時代が近づいている。 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(下)

山本 正治(本誌編集長)

(3)安倍政権が進める地方政策、その批判的ポイント

 今年の安倍首相施政方針演説(1月22日)の構成は、「明治150年」にふれた「はじめに」から始まり、「二 働き方改革」「三 人づくり革命」「四 生産性革命」等々と「改革」「革命」が続き、その後に「五 地方創生」で、最後が「六 外交・安全保障」であった。これらが、安倍政権が当面とくに重視する政策ということであろう。 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(中)

山本 正治(本誌編集長)

3 安倍政権の国内政治、地方政策のポイント、批判的検討

 2012年12月、政権に復帰した安倍晋三首相は翌年1月28日、政権復帰後最初の国会所信表明で「危機的な状況にあるわが国の現状を正していく」と大上段から振りかざした。具体的には、「日本経済の危機」「東日本大震災からの復興の危機」「外交・安全保障の危機」、それに「教育の危機」の4つの危機を正すとした。 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(上)

山本 正治(本誌編集長)

 安倍首相は今も「アベノミクスの成果を地方に」などと欺いている。日本経済は「緩やかな成長」が言われるが、国民は貧しく家計消費は伸びず、需要は海外依存、大企業の海外収益依存度は5割を超える。
 主要先進国は、どこもリーマン・ショック前の成長を超えることはない低成長傾向が続くが、なかでも日本は先進国の中で最低の成長にとどまっている。国内の需要は乏しく、バブル崩壊後の「失われた20年」を脱していない。
 安倍政権のアベノミクスで、大企業と資産家は極度に豊かになったが、地方はますます疲弊し、貧困化と格差が拡大し持続可能性が問題となっている。 続きを読む


米国新政権でも止まらぬ一層の国益譲歩

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘suzuki-tpp

「儲かるのは一部企業の経営陣のみで我々の暮らしはもっと苦しくなる。これ以上ごめんだ」と、国民の「格差是正」「自由貿易見直し」の声が巨大な「うねり」となり、直接選挙だから、大統領候補もすべてTPP(環太平洋連携協定)反対と表明し、TPP破棄を主張したトランプ氏が勝利した米国のみならず、日本とニュージーランド(11月15日に61vs57で可決)以外の参加国は、1国としてTPP関連法案を可決していない。つまり、各国の市民の力が「やはりTPPは悪い」と証明しつつあるのに、我が国だけが「バラ色」としか言わず、不安の声を抑えつけ、多くの懸念事項について、国会決議との整合性も含め、納得のいく説明は得られないまま、数の力で最後は強行採決すればよいとの姿勢をあからさまにしてきた。このような非民主主義的な国は日本だけである。誰のために政治・行政をやっているのか、このような手続きは日本の歴史に大きな禍根を残す。見え透いたウソとごまかしが平然と繰り返され、まかり通ってしまう、この国は異常である。 続きを読む


「戦争」の前に「経済」でつぶされる安倍首相の日本

広範な国民連合全国世話人、元外交官 天木 直人天木直人

 

 

 1月30日の新聞は永久保存版にしておく価値がある。後で振り返った時、あの時が日本滅亡の日だったのか、と思い出させてくれるものになるかもしれないからだ。
 「戦争が起きる事を心配する前に、経済政策の失敗をおそれよ。われわれは政府によって戦争で殺される前に、生活苦で殺される」。これは、私が戦争と平和の議論をするときに、改憲論者を前にして反論する時に使うセリフだ。

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