国内情勢・政治一覧

[パンデミックと経済危機] 感染症拡大――「日本の底力」失う危機

産別、ナショナルセンターが役割発揮を

安河内 賢弘・JAM会長 に聞く

■昨年段階ですでに景況感は悪化―本当の危機はこれから

 昨年4月、加盟組合に行った景況調査で、景況感が大幅に悪化していました。続く9月の調査ではさらに景況感は悪化しました。
 これには10月の消費増税の影響が入っていません。米中の貿易摩擦の影響で、中国経済が減速した点が大きいと思います。そして、それに消費増税が追い討ちをかけました。さらにそれが今回の感染症の世界的拡大でさらに落ち込むのではないかと見ています。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 「国民の命と暮らし」を守る政治を

パンデミックと経済危機、緊急対処が迫られる

『日本の進路』編集部

 新型コロナウイルスはパンデミック(世界的な大流行)に。公衆安全上の危機にとどまらず、100年に一度といわれた2008年の金融危機を上回る世界危機が避けられないと見られる。国民の生命と安全、健康を守り、急ブレーキがかかった経済混乱、間近となったバブル崩壊と引き起こされる恐慌から国民生活を守るために全力を挙げなくてはならない。
 しかし、こうした危機の時ほど、貧困層を中心に国民に犠牲がしわ寄せされ、大企業や大銀行が肥え太る。「危機対策」で覆い隠されるが、危機の時ほど利害対立は最も熾烈となる。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] マスク不配布問題と日本人社会に潜む差別

心の深くに沈殿するヘドロ

広範な国民連合代表世話人 西澤 清

 新型コロナ感染症の流行は、現在はヨーロッパを中心に猛威を振るっている。広範な国民連合は20年2月8日の全国世話人会で、「世界・日本中に起こりつつある『民族差別』を警戒し、差別を排除する運動に取り組む」と確認した。案の定、欧米からは、アジア人に対する差別が多くなり暴力行為も起こっており、アメリカでは銃砲店に身の危険を感じた購入者が殺到していると報じられた。 続きを読む


[寄稿] コロナと世界社会共同

2020年3月29日 羽場久美子

 コロナウイルスが世界に急速に拡大している。アメリカが中国、イタリアを追い抜きそうになっても全くメディア報道がない中、おかしいと思っているうち、アメリカはここ1日2日で感染者が2万人ずつ幾何級数的に増えて、中国、イタリアをあっという間に追い抜き、感染者12.4万人を超え、世界第1位の最前線を走っている。もうすぐ中国の2倍に膨れ上がりそうな勢いだ。
 日本も数少ないながら、この2、3日、昨日の倍々で増え始めたので、2000、3000を超すのも時間の問題かもしれない。 続きを読む


[パンデミックと経済危機] 角田 義一

「晋は国家なり」 安倍首相退陣求め、国民のレジスタンスを

広範な国民連合代表世話人 角田 義一(元参議院副議長、弁護士)

 私は、つねづね「安倍晋三総理は亡国の宰相」であると言って、その退陣を強く訴えてきました。
 今回、コロナウイルスを巡る事態で総理が小中高の一斉休校を要請した事態に鑑みるに、われわれは「暗愚の宰相」を頂いていると暗澹たる気持ちを抱くに至りました。常識ある政治家ならば、これだけの事態を決定するにあたり、少なくとも財務、文科、経済各閣僚と合議の上決断するでしょう。彼は何の科学的根拠もなく「政治決断」と称して断行したのです。その結果、学校現場はもとより、関係する産業をはじめ社会的・経済的混乱を挙げれば枚挙にいとまはありません。その後の総理の対応を見れば、責任を痛感している様子は全く見えません。 続きを読む


特集■「自立日本の総合安全保障を考える」軍事化ではなく、中国や韓国・朝鮮との関係正常化こそ国益

伊波 洋一 参議院議員

 安倍政権は、2014年の解釈改憲による「集団的自衛権の行使容認」の閣議決定を契機として、15年9月、平和安全法制整備法(〝戦争法〟)を成立させ、日本の軍事化を急速に進めてきた。
 自衛隊の「南西シフト」、すなわち島嶼防衛を名目に南西諸島での戦争を想定した長崎県佐世保市相浦駐屯地への島嶼奪還部隊・水陸機動団3000人の創設、戦闘機(F35A)6機、新空中給油・輸送機(KC46A)、オスプレイ17機と水陸両用車52両等の米国からの購入、南西諸島の島々へ陸上自衛隊駐屯地を建設して対艦ミサイル部隊・対空ミサイル部隊および警備部隊を配備、等々である。 続きを読む


特集■「自立日本の総合安全保障を考える」農は国の本、国家安全保障の要

東京大学大学院教授 鈴木 宣弘

 

 国民の命を守り、国土を守るには、どんなときにも安全・安心な食料を安定的に国民に供給できること、それを支える自国の農林水産業が持続できることが不可欠であり、まさに、「農は国の本なり」、国家安全保障の要である。そのために、国民全体で農林水産業を支え、食料自給率を高く維持するのは、世界の常識である。食料自給は独立国家の最低条件である。 続きを読む


特集■「自立日本の総合安全保障を考える」環的中日本主義の勧め

SDGsの実現のため分際をわきまえた国家を目指す

 

篠原 孝 衆議院議員

 

 安倍政権は明らかに大国を目指している。一番の願いは軍事大国である。だから、執拗に自衛隊の加憲による憲法9条の改正にこだわり続けている。国民はその必要性を感じていない。世論調査も58%が反対し、62%は安倍政権ですることはないと警戒心を持っている。国民の健全性を示している。 続きを読む


「韓国は敵ではない。共同すべき大切な味方である!」

東アジアの対立をあおり紛争を待望する同盟国アメリカ

青山学院大学教授 羽場 久美子

本稿は、羽場久美子青山学院大学教授が、「韓国は『敵』なのか」緊急集会(8月31日、東京都内)での発言に大幅に加筆したものである。(一部タイトルは編集部)

 集会のタイトルは「韓国は『敵』なのか」ということですが、私は、「『敵』ではない、共同すべき大切な味方である!」という立場で話させていただきます。私は元々ヨーロッパ研究の国際政治学者ですが、21世紀に入って足かけ20年にわたり、東アジアの地域協力について研究してきました。 続きを読む


被災者の安心を最優先に日常を取り戻す支援を急げ

台風豪雨の甚大災害 求められる検証と抜本対策

編集部

 記録的な豪雨で東日本を中心に甚大な被害をもたらした台風19号の被災地では、今なお(10月24日現在)約4000人の住民が避難生活を強いられている。被災された方々に心からお見舞い申し上げるとともに、救助、救援、復旧などで奮闘されている自治体職員やボランティアの皆さん、消防や警察、自衛隊員の皆さんにもお礼を申し上げたい。 続きを読む


日本の国のかたち/防衛・安全保障の在り方

米軍・「核の傘」に依存しない安全保障・防衛の対抗軸をめざす

NPO国際地政学研究所 理事 林 吉永

1 ニコラス・スパイクマンの筋書き

 英国国会議員であり、オックスフォード大の初代地理学院長を務めたハルフォード・マッキンダー(1861~1947)は、英国の海洋覇権を脅かす「ユーラシア大陸のピボットに位置する『ハートランド』のパワー・ポリティックスが、『クレッセント(ユーラシア大陸外縁三日月地帯)』に進出する脅威」に警鐘を鳴らした(『民主主義の理想と現実』1918年)。
 米国の地政学者スパイクマン(1893~1943)は、マッキンダーの示唆を発展させ、「America’s Strategy in World Politics: the United States and the Balance of Power」(1940年)において米国の「西進戦略」推進に必要な原則を謳った。 続きを読む


自立した日本外交・安全保障へ向けて(上)

英 正道(はなぶさ・まさみち)

 1933年東京生まれ。58年に外務省入省、経済協力局長、外務報道官、ニューヨーク総領事、駐イタリア大使を務めた。

本論は、英正道氏が最近グッドタイム出版から刊行した『回想の外交官生活』のエピローグ「自立した日本外交・安全保障に向けて」のほぼ全文である。編集部は、本論の執筆時(昨年末)からさらに国際情勢の緊迫度が急速に進んだので加筆修正を筆者に要請したが、秋まで余裕がないとのことであった。そこで元のままの論文を筆者了解のもとに掲載する。日本の安全保障政策をめぐる議論に重要な一石を投じていると確信する。編集部

 国際社会の激変はまだまだ終わることなく続いている。残念ながら日本の国力も相対的に低下している。しかし変化し続ける一つの社会として、すでに日本が世界の中で最も素晴らしい国の一つになっていることも事実である。日本が国際場裏でどのような地位を占め、どのような役割を果たせるかという問題については、これからの日本人が取り組む必要がある。私は楽観主義的な性格もあり、舵取りを間違わねば日本は大丈夫と思っている。 続きを読む


変質する「日米同盟」と「専守防衛」

失われた専守防衛の時代精神と同盟の抑止力

NPO国際地政学研究所理事長 柳澤 協二

以下は、柳澤協二氏が理事長を務める国際地政学研究所主催で7月17日に行われたシンポジウム「失われた専守防衛の時代精神」での氏による基調講演の一部である。
柳澤氏は冒頭、国際情勢についておおむね次のような認識を話して論を展開された。
「今の時代は米中の『新冷戦』と言われています。しかし、私は『冷戦』というよりは、自分の勢力圏をまあ、昔のようになかなか地理的に画然と分けられないにしても、自分の勢力圏を囲い込もうとしている意味の争いです。『冷戦』というよりは、第二次世界大戦前夜のような状況に似てきているような感じを受けています。ただ、第二次大戦前と違って、このまま戦争になだれ込むようなことにはなっていないと思いますが。世界秩序をどうするかということよりも、自分の国の利益をどうやって最大化するかということを大国が考える時代なってしまったということだと思っています」 文責・編集部 続きを読む


特集■米軍・「核の傘」に依存しない、安全保障・防衛の対抗軸をめざす

 日本の安全保障問題の局面は急展開している。戦争の策源地米軍に依存しない真の安全保障確立へ国民的議論が必要である。
 米軍は今年に入って毎月、南シナ海での「航行の自由作戦」を実施し、地域の軍事緊張を煽っている。「南シナ海の軍事衝突は時間の問題」と題して元米海軍大将・元NATO(北大西洋条約機構)欧州連合軍最高指令官のジェームズ・スタブリディス氏が、「一時的な措置により、21世紀初めの2つの大国による海洋をめぐる争いという根本まで解決することはできない。今後10年の主要なリスクになるだろう」と発言した(6月1日付「日本経済新聞」)。この中で氏は、「米国は現在、同盟国との対抗策を主導している。具体的には英国やフランス、オーストラリアの海軍と日本の海上自衛隊が人工島周辺の巡視を計画・実施している」と、すでに自衛隊が介入していることを公にした。 続きを読む