不再戦の想い 初めての訪中記
福岡市議会議員 森 あやこ
南京大虐殺記念館で
2024年4月23日から27日(私は28日に所属する会の総会など動かせない予定があり1日早く帰国し、団は28日まで)まで、「九州自治体議員平和友好訪中団」として、北京・南京を訪問してきました。
私は、今回初めての中国訪問でした。経済大国の中国です。アジアでの協力関係は、経済力を落としている日本にとって大事なことです。
「台湾有事は日本の有事」などと政府は国民を煽り、大切な税金を防衛費に使う口実にして、南西諸島や大分、佐賀に基地建設や弾薬・オスプレイ配備など、軍需産業に多額の税金を流しています。博多港も特定利用港湾として、海上保安庁や自衛隊が訓練しやすい港にしています。
争うための準備ではなく平和のために交流をし、友好関係を強固にすることが重要です。以前、中国北部黒竜江省のハルビンに日本人のお墓があると聞いていました。日本ではほとんど知らされてないことなのですが、ただのお墓ではなく、戦後帰国できなかった日本人も戦争による被害者として中国で亡くなった方々のために「友人の墓」という意味合いで中国が国として建てたお墓です。まさに友好のシンボル的な深い意味がこもっている地で、中国に行く機会があればぜひ行きたい場所の一つでした。
自分の目で見て聞きたい
今回の行程では距離的に厳しかったのですが、そんな思いもあって実際に中国の地に行って、自分の目で見て聞いてきたい、特に南京大虐殺が記されている記念館にはぜひ行きたいと強く思っていました。1日早く帰国することもあり、旅行社の担当の方や当会事務局の方々、訪問先の方々のおかげをもって、団の皆さんとは別に26日に記念館をじっくり訪問視察させていただくことができました。お世話になった皆さまには心から感謝申し上げます。
前日の北京の中国人民抗日戦争記念館でも、残虐な写真などたくさんありましたが、南京の記念館は実際の遺骨の展示もあり、さらに詳しく当時の様子がわかる展示がたくさんありました。残虐すぎて吐き気もあり、倒れそうにもなりました。
恨みを残すためではない
印象深いことは、妊娠7カ月の女性が日本兵に襲われ、抵抗したために38カ所も刺され、自分の命は辛うじて助かったもののおなかの赤ちゃんは死んでしまった。しかし、その女性は国家レベルでの公祭および記念行事で次の時代を担う若者たちに向けて、「事実や歴史は記録するべきだけど、恨みは残してはいけない」と、戦争を体験したからこそ永久の平和を求める大切さを語られています。習近平国家主席も同じことを国民に向けて語っています。
また、記念館の一角に紫金草の花を持った少女の像があり「むらさき花だいこん」(紫金草物語)の絵本と平和を唱える歌があることを教えていただきました(上段写真)。陸軍薬剤科少将であった山口誠太郎さんが、廃墟の間に力強く咲く紫色の花に心引かれ、種を日本に持ち帰り広げたことが絵本や歌につながっています。平和を願い日中両国をつなぐいのちの種とその物語を、私も伝えていきたいと思っています。
中国の町は緑多い町でした。大気汚染の改善のために計画的に緑を増やすことを決め、大気・水質の検査をしています。日本の議会に当たる江蘇省人民代表大会常務委員会では、委員会として国のチェックをする機能をしっかり働かせる民主的な運営がされている一端もうかがえました。
ここに書ききれないことがまだまだあります。今回訪問して体験・実感してきたことを、今後も広く伝えていきます。