うるま市での陸自訓練場開設断念

住民挙げての闘いの勝利、報告集会開く

 沖縄・うるま市での「自衛隊訓練場設置計画の断念を求める会」は5月11日、同市で報告集会を開催、150人近くの市民が駆けつけた。開催あいさつに立った伊波常洋共同代表(元自民党県議)は保革を超えた運動の広がりが訓練場の設置断念の大きな力になったと強調した。


 経過報告を行った伊波洋正事務局長は冒頭、「勝利の喜びとともに、この闘いが県民のみならず、国民に与えた希望と勇気の大きさに、運動を担った当事者として大変驚いている。今回の闘いがこれほどまでに空前の規模に発展したのか、その要因を検証し、これを県民、国民の共有財産として明らかにしていくことがどうしても必要ではないかと思った」と述べ、今回の報告集会の開催意義を強調した。そして、突如として計画が明らかになった昨年12月から地域や世代を超えて反対の声が広がったことを紹介、「党派やイデオロギーを超え、閑静な住宅地に自衛隊訓練場をつくることを認めない」という一致点を最重視したことが重要であったと振り返った。
 続いて、「闘いを振り返って」と題して次々と登壇、発言をした。
 陸自訓練場の計画地側にある石川青少年の家所長である石原昌二氏は「青少年の家は青少年教育施設で、青少年の健全育成、社会教育の振興を目的に設置されている。訓練場が設置されれば、この施設を楽しみにして訪れ、たくさんの思い出をつくり成長していく子どもたちに大きな影響を与えることが容易に推測される」述べ、突如として計画が報じられたときに受けた衝撃と懸念の思いを口にした。そして、計画の断念を受けて、「子どもたちと多くの県民が心地よく安心して楽しんでいただける青少年の家をめざしてこれからも頑張っていこうと決意を新たにしている」と訴えた。
 石川福音教会の重元宗子さんは計画が報じられた新聞記事を読んで、「太い腕で喉元をつかまれたように苦しい感覚に襲われた」と当時の思いを吐露した。そして、防衛省が行った地元説明会の様子を振り返り、「用意されたプリントをただ読み上げるだけ。これは『住民説明会を行った』という既成事実をつくるだけに過ぎないと実感した」と述べた。そして、2020年に山口、秋田両県でのイージス・アショアの配備断念の理由として「住宅地に近い」「地元の反対が根強い」が挙げられたことを知り、「この前例があるなら無謀な闘いにはならないと思った。市民が強い意思表示をすることで道が開けたと実感した」と語った。
 若者代表として発言に立った玉城愛さんは「地元で生まれ育った。地域の皆さんと(断念を求める)スタンディングを行ってきた。地域の人たち、そして他地域の人たちとつながりが持ててよかった」とこの間の闘いを振り返った。そして、学生時代から辺野古新基地建設や高江でのヘリパッドの反対運動に足を運んだことに触れ、「住民の人たちが複雑な気持ちで、あらゆる立場の人が関わっていることを改めて感じた。自分自身にもこうしたことが突きつけられた期間だった」と振り返った。
 集会は最後に「計画断念」を勝ち取ったことを祝い、参加者一同の万歳三唱で締めくくられた。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする