台湾有事を煽り、「闘う覚悟」を求める麻生太郎発言への抗議文

自主・平和・民主のための広範な国民連合 事務局

 麻生太郎自民党副総裁は過日、台湾を訪問し、中国を念頭に「台湾海峡の平和と安定には強い抑止力を機能させる必要がある」、そのために「日本とアメリカ、台湾には『戦う覚悟』」が求められるなどと主張しました。「内閣と打ち合わせの上だ」と同行の自民党政調副会長が断言しています。公明党の北側一雄副代表も発言に理解を示したと報道されています。

 驚くべき発言で、中国内政への乱暴な干渉、戦争挑発に他なりません。

 「戦場」とされる沖縄では13日の日曜日に緊急の抗議行動が計画されているなど危機感と怒りが高まっています。日本全体の課題です。全国で沖縄に続き、発言を撤回させるよう政府に迫るとともに、日中平和友好条約45周年にふさわしく日中関係強化への外交を求めようではありませんか。

 広範な国民連合は代表世話人の連名で添付のような抗議文を首相宛に今朝ほど発信いたしました。

 全国で抗議文を広めていただけるよう要請します。

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抗 議 文

 麻生太郎自民党副総裁は 8 月 8 日、 訪問先の台湾で講演し、中国を念頭に「台湾海峡の平和と安定には強い抑止力を機能させる必要がある」、そのために「日本とアメリカ、台湾には『戦う覚悟』」が求められると主張した。これは驚くべき発言である。

 これは専守防衛を逸脱し、中国を挑発するものであり、この挑戦的発言を断じて許すことはできない。自民党総裁でもある岸田文雄内閣総理大臣に次を糾したい。

1.麻生氏は、自民党副総裁の責任ある立場である。事実、同行した鈴木馨祐自民党政調副会長は 8 月 9 日夜の BS フジの番組で、麻生副総裁が日米や台湾に戦う覚悟が求められているとした発言に関し、「自民党副総裁の立場での講演だ。当然、政府内部を含め調整をした結果だ」と述べた。

 総理は事前にこの発言を許容していたのか。 そうであるならば総理の責任は極めて重大で、即刻、この発言を撤回させるべきである。

2.台湾は中国の不可分の一部であるという原則は、国際的に承認された法理であり、日本も日中共同声明など 4 つの基本文書で確認してきている。とりわけ今年は、日中平和友好条約締結 45 周年の節目の年であり、政府はこれを尊重し、武力ではなく、外交により両国関係の改善に努力すべきである。「台湾有事問題」は、あるとしても中国の内政問題である。

 総理は、あらためてこのことを国際社会に宣言すべきである。それは東アジアと世界の平和に貢献することにもなる。

3.憲法9条に基づいて日本は一貫して非戦・平和の立場を貫いてきた。この立場から、万一、台湾有事が発生したとしても日本は参戦しないことをアメリカに通告し、国際社会に宣言すべきである。

4.政府は、昨年末の「安保3文書」にあるような、敵基地攻撃能力の取得と南西方面への配備、日米同盟の強化など、対中国戦争の準備を直ちに中止すべきである。

 総理は、今回の麻生発言につき、日本の国是とも言うべき以上の点を明らかにして、自らの立場を明確にして国民に説明すべき責任があり、その実行を強く求める。

2023年8月11日

自主・平和・民主のための広範な国民連合

代表世話人 角田義一 西澤清 原田章弘 佐野慶子 佐々木道博 中村住代