ミサイル配備に揺れる国境の島・与那国の声 崎元 貴文

中国を刺激して何になる

建設業・崎元組 崎元 貴文

 与那国で生まれ中学校を出て、高校がないんで沖縄本島の高校に進学、大学進学で内地の方に行ってまた帰ってきました。今25歳、3年前に帰ってきました。
 自衛隊が来て、島で知らない顔がやっぱり増えますね。元々自衛隊には半分は反対していたんですね、こっちの人は。その対立がなくなれば島も落ち着くと思っていたのですが、それを逆なでするかのようにミサイル配備の問題が出てきています。


「ミサイルまでは話が違う」

 当初、自衛隊に賛成した方でもミサイルの話が出て、そこまでは話が違うだろうという意見をちょくちょく聞きます。個人的には自衛隊、ましてやミサイルなんかはいらないんじゃないかと思います。建設業なので仕事が増えるのはありがたいですけども、そういう仕事の増え方はあんまり好ましくはない。
 いや、絶対よくはないと思います。そういうのを止めないと、この島はよくはならないんじゃないですか。個人的な意見ですが、戦争がしたいのかなんなのか、島に自衛隊を入れ、ミサイルを配備して、わざわざ刺激して何になるの?と思いますね。
 町長をバックアップした議員たちも、あからさまじゃないけど、「聞いてないよ、これは」という意見が結構多いらしいんですね。議員さんも年がいっている人も結構多いんで、自分なんか若い者がちゃんと行動しないといけないという思いもあります。
 個人的な意見ですけど、基地を造ることによって中国を刺激し戦争になれば標的にされるだけだと思うんです。「備え」も大切かもしれないですけど、備えといって基地を造ってミサイルを配備しても、中国もそれを見ているわけですから。
 しかも、今からシェルターを造るとかそういう話もあるじゃないですか。それもあるに越したことはないかもしれませんが、いざミサイルが飛んできましたって、こっちは逃げるところもない。そうなったらもうどうしようもないんです。シェルターを造らないでよいように、外交で、政府が話し合いをしていけばいいと考えます。
 ミサイルが入ってくるのを見て、若い人はたぶん島に帰ってくるってあまり言いづらいんじゃないか。わざわざ戦場になるところに帰ってきても、何も良いことないだけでなく命の危険です。

若い人も政治に関心は高い

 業者の立場から言ったら結構な工事の金額で、生コン業なので生コンもいっぱい出るんでいいはいいんですが。でも基地があっても結局意味がないんじゃないですか。ミサイル撃ったって知った頃にはもうどうしようもないんじゃないと思うんです。
 自分なんかも聞きたいですよ、何考えてこういうことを進めているのか、と。町議会もYouTubeとかで流してくれたら、若い人たちも結構興味があるから見る人も多いと思うんです。投票率もいいように、若い人も政治に関心が結構あるんですよ。基地だ、ミサイルだという話題になっているんで、なおさらどういう議論が行われているのかというのは一町民として知りたいです。
 あんまり台湾、台湾ってかばい過ぎてもそのせいでこっちにミサイルを撃たれたら元も子もない。わざわざ刺激を与えることはないと思う。工事現場で3時休憩なんかでもそういう話に結構なります、「大丈夫かなって」。自分たちの生活に直結してくるので、余計政治への関心が高いのかなと思う。
 町長には、政府と話をしているんだったら、ちゃんとみんなに公表してほしいですね。こういう話し合いをしているからと。そういう話が公に出ていたら今ごろミサイルってことにはなってなかったろうと思います。
 自分は建設業なんですが、どんどん人手不足になってきています。基地やミサイルではなく、若い人が帰ってきたくなる島にしたい。町も、自衛隊に力入れするのではなく、いろんな産業支援に力を入れてほしい。