第1分科会討議および政府要請の報告

「平和と共生」は、自治体こそが主体性を発揮すべき課題である

第1分科会座長・金沢市議会議員 森 一敏

 私は、第1分科会「アジアの平和・共生の声を自治体から」で、鎌倉市議上野学さん、鳥栖市議牧瀬昭子さんと共に座長を務めました。40人余りの自治体議員と一般参加者により、活発に討議がなされました。
 最初に私が座長団を代表し、分科会討議の趣旨を以下のように提起しました。
 1、極度に冷え込んだ日中関係をどう認識し、日中友好の再構築から日中不再戦・東アジアの平和共存関係をいかにして構築するか?
 沖縄・南西諸島から全国に広がる軍備拡大・敵基地攻撃能力保有による戦争準備政治をどう認識し、人間の安全保障の道をいかに切り開くのか?
 2、世界的なグローバリゼーションの進展と労働力不足などを背景に、地域社会で増加する外国人市民と共に、いかにして国籍や民族の垣根を超えて多文化共生を築き上げるか?
 3、国境・民族を超えて平和のうちに共に生存するため、地方自治体、自治体議会、自治体議員はいかなる役割を果たしていくのか?
 分科会討議は、羽場久美子城西大学特別栄誉教授のコメントから、平和構築の主体としての自治体の行動と、国際的な自治体連携が鍵となるとの課題意識を共有しました。

分科会討議の概要について

1、情勢認識
 その基礎として、軍事拠点化が進む沖縄県からの報告を山内末子沖縄県議から受けました。「台湾危機」が扇動され、それを奇貨に沖縄・南西諸島は急速にミサイル要塞化を強要されています。地域が標的とされることを前提とした九州各県・山口県への住民避難訓練までもが実動化しています。しかし、辺野古新基地建設のための大浦湾軟弱地盤の埋め立ては、住民の粘り強い抵抗で思惑通りには進捗していません。
 さらに、辺野古新基地完成後も滑走路の長さが足りないことを理由に、普天間飛行場は返還されず、継続使用が既定路線であることが明らかになり、県民総ぐるみの決起が呼びかけられています。その最重要の闘いが9月の玉城デニー知事の再選にあることを確認しました。
2、分科会討議
■テーマ1「日中不再戦 国民生活最優先 全方位に友好な国際関係の構築」
 事例報告は、座長団でもある牧瀬議員から、第2次九州自治体議員訪中報告を受けました。中国黒竜江省ハルビン市の「侵華日軍第731部隊罪証陳列館」参観で初めて触れた日本の戦争加害犯罪に衝撃を受け、市民との交流で、歴史認識こそが、平和と友好の基礎になることを深く学ぶことができたとの報告でした。
■テーマ2「地域住民の安全と人権を保障するための日米地位協定の改定」
 ここでの事例報告は、神奈川県で進む日米軍事同盟の強化の問題を越川好昭綾瀬市議会議員、また県内の地位協定改定を目指す運動を座長団の上野議員、日米地位協定改定を求める意見書採択の取り組みを網島麻実南足柄市議会議員からそれぞれ報告していただきました。
 全国で機能強化が進む米軍基地から、市民の人権と平和的生存権を守るための自治体議会の当事者性を持った取り組みの重要性を共有しました。
■テーマ3「地域住民の生活のための多文化共生」
 昨今の排外主義の高まりを受けて、久留米市が取り組む多文化共生の取り組みを石田眞一郎久留米市議会議員から事例報告されました。外国人市民を住民市民として位置づけ、日常生活や就労におけるコミュニケーションを支援し、多様な文化の相互体験、防災上の支援を通じ、地域コミュニティーにおいて、日本人市民と外国人市民が共に生きる関係性を醸成している取り組みは、自治体ならではの役割であることを共通認識できました。

 こうした積極的で多面的な事例報告を受け参加議員が一般参加市民と共に地域における課題や取り組みについて、活発に討議が展開されました。
 なかでも訪中交流による歴史認識の共有、日中を戦争の関係にはさせないとの意思表示、信頼醸成に粘り強く取り組むことは、日中関係が困難な情勢の今日こそ、諦めずにやり続ける決意を確認しました。
 日米地位協定の対米従属的な内容は国際比較でも際立っており、その差別性を許さない意思を自治体として両国政府に直接伝える協議の場を政府に求めることも確認しました。
 多文化共生社会の構築に向け、既に自治体では、日本語修得支援、地域コミュニティー醸成の仕組みづくり、防災対策への外国人市民の位置付けなどで施策が始まっています。事実に基づかないヘイト、排外的言動を検証し、国籍や民族の違いで差別が起こらないよう、人権の相互尊重の立場に立つこと。これこそ、国籍・民族を問わず住民・市民に対し、最も近い行政としてその基本的人権を確保するという基礎自治体の役割であることを確認しました。
 まとめの全体集会では、集会アピール案についての多角的な討議が行われ、総意となりました。
【政府交渉について】
 23日は、参議院議員会館に出向き、外務省、防衛省ならびに法務省に対し分科会討議に基づき、要請行動を行いました。
 要請事項は次の通りです。
、国民生活の最優先、国際相互依存を前提とした全方位に友好な国際関係の構築
 ①日中関係の早期修復のための具体的行動を取ること
 ②アメリカ・イスラエルとイランの国際紛争に対して平和的解決に向けて取り組むこと
 ③国際法が遵守されるよう国際社会に対して主体的に行動すること
 ④東アジアの緊張緩和により国防予算を増加させず、国民生活に直結する予算を充実させること
 ⑤非核三原則を堅持すること
、地域住民の安全と人権を保障するための日米地位協定の改定
 ①在日米軍について日本国内法の原則適用を実現すること
 ②軍事作戦での在日米軍基地使用について日本政府の事前同意を必要とすること
 ③在日米軍基地について、日米両政府に加えて、基地所在地方自治体を加えた協議の場を設けること
、地域住民の生活のための多文化共生
 ①難民の申請、在留許可の更新・変更に係る手数料の引き上げを行わないこと
 ②外国人の在留資格については、地域社会・地域経済の担い手であることを考慮して、過度な負担を求めないこと
 ③外国人の継続的な在留について、政府の責任において、各自治体の地域多文化共生施策に対する財政的支援を充実すること

 答弁において、「上司に伝える」を繰り返す若い官僚たちに対し、官僚の矜持を持って政治家を諫め、教育することを求めました。「悪しき政治主導になるな」と。