高良沙哉参議院議員から学んだ

  高良沙哉参議院議員から学んだ

「地方から平和をつくる力」

松戸市議会議員 岡本 ゆうこ

 先日、横浜にて開催された「第22回全国地方議員交流研修会in横浜〜地方から政治を変える〜」に参加しました。全国各地から地方議員が集い、熱い議論と学びの時間が繰り広げられた研修会でした。
 一日目の研修を無事に終え、岡本ゆうこの中で特に深く心に残り、大きな学びとなったのが、沖縄選挙区選出の参議院議員である高良沙哉さんのお話でした。
 高良沙哉さんのお話をこうしてじっくりと聞かせていただくのは、今回が初めてのことでした。前職が大学の憲法学の教員であられた高良議員の言葉は、学術的な深い知見に基づきながらも、現場の切実な声と温かい情熱に満ちており、一言一言が強く胸に響きました。
 「この素晴らしい講義と学びを、しっかりと記録に残したい」「松戸市議会議員として、地方から政治や平和を考えていく糧にしたい」そんな強い思いから、高良議員のご講演内容を振り返り、この記事にまとめさせていただきました。

沖縄が直面する現実〜大きな力に翻弄される場として〜

 講演の冒頭、高良議員は「地方から政治を変える」という研修会の全体テーマを受け、「沖縄という場の可能性」について語り始められました。
 沖縄は美しい自然と独自の豊かな文化を持つ島ですが、安全保障や国家政治の最前線に置かれ、常に大きな力に翻弄され続けてきた歴史と現在進行形の課題を抱えています。
 高良議員が示されたスライド『翻弄される場としての沖縄』では、以下のポイントが強調されていました。
◯広大な在日米軍基地の存在
 アメリカ政治の動向や不透明さに直接的な影響を受けやすい。
◯国際紛争の影響
 過去のアメリカによるイラン攻撃の際にも、在沖米軍から米兵が派遣されるなど、「沖縄が巻き込まれ、反撃されるのではないか」という恐怖に常にさらされている。
◯日本防衛の最前線化
 日本の安全保障政策において、沖縄が防衛の最前線として位置付けられている。
◯政治の不安定化と危機感
 政府高官や政治家による「台湾有事は存立危機事態になり得る」「戦う覚悟」といった発言がなされるたび、台湾と近いところでは110㎞で接する沖縄の現場には強い恐怖と緊張が走る。
 国境の島々で暮らす人々にとって、「有事」や「軍拡」は決して遠い国の話でも抽象的な議論でもありません。生活の場そのものが脅かされる現実の脅威なのです。
 高良議員は、「大きな力に翻弄されないために、どう自律的に沖縄という場を切り拓いていくか」「沖縄からどうやって平和をつくっていくか」を主体的に考えていかなければならないと強く訴えられました。

日本政治の危うさと憲法の原則〜真の平和外交とは〜

 大学の憲法学者(憲法学研究者)であった高良議員は、憲法の本質的な原理に立ち返りながら、現在の日本政治が抱える「危うさ」について言及されました。
◯憲法が示す本来の原則
 本来、日本国憲法の原則に従うならば、平和を構築するために最も優先されるべきは「絶え間ない外交努力」であり、「諸外国との相互信頼関係の構築」です。これこそが平和国家としての基本であり、最優先の課題でなければなりません。
◯現在の安全保障議論の歪み
 しかし、現在の国の安保関連3文書などの議論では、「外交を行う」と言いつつも、その背景に「強大な防衛力・軍事力」を推進・誇示することが前提となっています。その結果、外交努力よりも「防衛力の強化」ばかりに偏重してしまっているのが現状です。
 高良議員は、この防衛力強化のあり方にも鋭い問いを投げかけます。
 現在の安全保障政策は、本当に日本の安全を主軸に置いたものなのだろうか。むしろ、アメリカの戦略的分析(いわゆる「第1列島線」)の中で、日本や沖縄が〝盾〟となって戦うためのものではないか。
◯演習と基地強化
 日米合同軍事演習が繰り広げられ、軍事機能が強化される沖縄。
◯戦場化の想定と避難計画
 有事の際には「沖縄の島々が戦場になる」ことを前提とし、「住民は九州へ避難せよ」といった国民保護計画が進められている。
 「戦争を回避するための外交」ではなく、「戦争が起きることを前提とした計画」が先行している現状。ここにこそ、現代の日本政治が陥っている大きな危うさが端的に表れているのだと実感させられました。
 このような厳しい状況の中だからこそ、高良議員は「国に対して声を上げること」だけにとどまらず、沖縄という現場から主体的に動く「地域外交(自治体外交・草の根外交)」の重要性を呼びかけました。
 会場の基調講演等でも触れられた「地域主権」や「対話による相互理解」という考え方。沖縄県では玉城デニー知事を筆頭に、「対話による外交」を大切にし、平和を主体的に作り出す取り組みを進めています。
 高良議員ご自身も、軍事的緊張が高まる中で手をこまねいているのではなく、自ら行動を起こされています。
 昨年12月、沖縄選出の参議院議員(伊波洋一参議院議員、髙良鉄美前参議院議員)他とともに中国を訪問し、中国政府へ政策提言を行う影響力を持つ「中国社会科学院」の研究者や関係者らと直接対話を行いました。
 会場で映し出されたスライド『中国研究者との意見交換』には、以下の柱が掲げられていました。
◯琉球・沖縄だからこそできる関係の構築
◯歴史的な関係を踏まえた地域外交
◯民間交流の促進
◯互いを「知る」ことによる信頼構築、衝突の緩和
 日本国内にいると、どうしても日米の視点や報道からの情報が中心になりがちです。しかし、高良議員は実際に中国を訪れ、中国側の視点や政治状況に直接触れることで、多くの気づきがあったと言います。
◯経済発展の重視
 中国側も現在は紛争よりも経済発展を重視している側面があること。
◯「核の先制不使用」の方針
 中国側は「核の先制不使用」方針を掲げているが、それが日本や国際社会に正しく伝わっていないと感じていること。
◯国際法の遵守と発言の重み
 政治家の「有事発言」が相手国に与えるインパクトは極めて深刻であり、事務方レベルの小手先では解決できない外交的課題を生んでいること。
 決して中国側の主張をすべて鵜吞みにするということではありません。大事なのは、「相手がどう考えているかを直接対話によって『知る』こと」です。相手を知り、こちらの懸念も率直に伝える。この絶え間ない相互理解のプロセスこそが、衝突を緩和し、真の信頼関係を築く唯一の道なのではないでしょうか。
 沖縄(琉球)には、古くからアジア諸国や中国と活発な交易を行い、友好関係を築いてきた「万国津梁(世界の架け橋)」としての歴史と文化があります。
 国の外交が硬直化し、軍事的緊張が高まる時だからこそ、歴史的背景を持つ沖縄が「地域外交」の先頭に立ち、対話の窓口であり続けることの意義は計り知れません。

地方議員としてできること

 高良沙哉議員のお話は、時に優しく、時に鋭く、そして未来への希望に満ちていました。
 学術的な裏付けを持つ知性と、市民・県民の命と暮らしを守ろうとする揺るぎない情熱。お話しされる立ち姿や言葉選びの一つひとつから、人間としての誠実さと温かさが溢れ出ていました。
 今回、初めて高良議員のお話を本格的にお聞きすることができ、心から感動すると同時に、私自身が松戸市議会議員として果たすべき役割について、深く考えさせられました。
 一見すると、「外交」や「安全保障」は国の専権事項であり、松戸市という一地方自治体の議員には関係がないように思われるかもしれません。
 しかし、決してそうではありません。
 国家の政策が引き起こす影響を最終的に受けるのは、いつだって「その地域に暮らす市民・住民」です。戦争や危機が起きたときに真っ先に脅かされるのは、私たちが日々守ろうとしている市民の穏やかな日常生活にほかなりません。

平和があってこそ

 高良議員が「国の働きを待つだけでなく、地域だからこそできる努力がある」とおっしゃったように、私たち地方議員もまた、自分のまちから平和の尊さを発信し、多文化共生や草の根の相互理解を広げていく責任があると考えています。
 平和であってこそ、福祉も、教育も、まちづくりも成り立ちます。
 松戸市においても、市民一人ひとりの人権が尊重され、誰もが安心して暮らせる社会をつくること。
 そして、国に対して正しく現場の声を届けていくこと。それこそが、地方から政治を変えていく力になるのではないでしょうか。
 「第22回全国地方議員交流研修会in横浜」の一日目は、私にとって忘れられない学びのスタートとなりました。
 高良沙哉参議院議員からいただいた「対話の大切さ」「現場から平和をつくる情熱」というバトンを胸に、私も松戸市議会議員として、しっかりと足元を見つめながら活動を続けてまいります。
 国政がどれほど混迷し、危うい方向へ進もうとも、私たち地方議員が地域でしっかりと根を張り、市民の皆さんと対話を重ね、平和と暮らしを守る姿勢を持ち続けること。それが必ず、大きな政治を動かす原動力になります。
 高良沙哉さん、素晴らしいお話を本当にありがとうございました!

 (本稿は、岡本ゆうこさんが「メモ書きと記憶の中でご講義の内容を振り返らせていただきました。岡本ゆうこ視点の報告とさせていただきます」とFacebookに紹介されたものです。了解の上に転載いたします。編集部)

議員交流研修会の全体はホームページにあります
https://localassemblymember.net/1stdayzentaikai/