新潟市で百姓一揆(7月11日)

コメを守れ! 命を守れ!残されている時間はない

 新潟県で昨年に引き続き「令和の百姓一揆inにいがた」が7月11日に開催された。農家をはじめ約150人近くが県下から新潟市に集まり集会、その後トラクター2台、軽トラ40台とともに市内中心街をデモ行進した。
 集会を企画した新潟百姓一揆実行委員会の森委員長は冒頭の挨拶で次のように檄を飛ばした。「昨年は令和の百姓一揆のせいかどうかは分からないが、三十数年ぶりに米価が上がり、今年は、早場米の鹿児島県で昨年から2割近くの概算金増額が発表された。新潟県では、今まで通りにお盆過ぎの8月20日ごろに概算金の発表があると聞いている。しかしながら、政府の農業政策の失敗の影響で今年はまた大幅な米価のダウンが心配される状況だ。そうした状況下、今日は新潟の地で集会およびトラクター・軽トラによるデモ行進に多くの方に参集いただいたことに敬意を表したい」と、この集会・デモの意義を強調した。

物価高の中で苦闘する
消費者から

 続いて、消費者の立場から新潟市から参加した西さんが発言した。
 消費者としては、特に食料については価格が安いということと安全を求めること、この二つが重要だと思う。健康のためには安全を第一にしたいところだが、やはり安価が第一となっているのが現実となっている。いま店頭で目に入る商品は全て値上げされている。全ての商品の値段が上がっている中で、毎日商品を手に取っては値段と量をにらめっこしながら買い物しているのが日常だ。中にはもう買うことができないというような、生活に困窮されている方もたくさんいる。
 子ども食堂や食卓支援、そのあたりは非常にいい取り組みだと思う。しかし、このような事態にまでなっているのだから県全体でこうして食を支えていくことが大事になっている。これから対策して労働環境の改善や、子どもたちが安全に安価で食べられるよう食料の増産などといった根本的な対策が必要だと、食料品価格高騰の中で消費者の立場から対策の必要性を訴えた。

自給率の低さこそ問題

 さらに西さんは「昨年の令和のコメ騒動では、新潟のような米どころでもコメが足りないということがあった。政府などではコメの供給不足の問題しか取り上げられなかったが、こうした危機が現実のものになったことを考えれば、そもそも食料自給の低さこそが問題にされるべきだろう。また、食料が不足するような事態に陥らないため、こうした危機に備えて食料を確保しようというのが備蓄米の意義だ。ところがコメ不足が深刻になって市場や消費者に影響が大きくなるまで放置している政府の姿勢に対して危機感を感じている。そのような中、私たち自身に何ができるのということを改めて考えているところだ」と述べた。

消費者と生産者の連携を

 さらに消費者と生産者との関係について触れ次のように述べた。
 本来食料は第一義的に、安全性を追求すべきだと考える。食料によって私たちは生きているのだから、子どもはもちろんのこと、子どもだけではなく大人もシニア層に至るまで安全なものを食べることは本当に大事なことだと思う。そのために消費者も、安いものならなんでも良いという意識を変えていかなければいけない。
 そのための一つとして、これはどこで作られて誰がどんなふうに作っているのかを考える、それが分かる農産物、食料品であることが出発点ではないか。そういう視点を持って消費行動を取れるよう、改めてしていきたい。
 そうした消費者の姿を農家の方々にも考えてほしい。消費者もその生産者たちのことを考えるというような、互いに支え合うという形を追求していきたい。農家の人たちだけが頑張るのではなくて、消費者も農家の方たちが安定して農業を続けられるように努力する。
 そして、「個人だけではなく、やはり大きな枠組みを変えていくことが大変重要だと思う。農家の方たちにとっても、消費者にとっても良い形に、流通も含めて食の安全が確保を実現できるような、政治を選んでいくことが私たちの義務ではないか」と訴えを結んだ。

植えれば植えるだけ赤字

 こうした提起も受けて農家代表の秋山さんが決意表明した。
 私たちは長年コメを作っているが、やればやるだけ赤字が増える。安い米のおかげでかなりの仲間が農業を辞めていくという負の連鎖を断ち切れない状況だ。
 その分を残った農家が栽培を引き受け、面積は増えたものの、収入が上がるどころか植えれば植えるだけ赤字が増えるというのが実態だ。この安い米の価格で百姓を追いつめ農業を辞めさせようという現在の農政を許すことはできない。
 われわれはこういう現状に対して何とか変えようと声を上げた。この間、連合新潟や各地域の農民組合などのいろんな人たちと意見交換を重ねて声を聴き、行動を起こして闘いを進めてきた。本当に皆さんのおかげだと感謝を申し上げたい。

あと5年もしないうちに農地は荒廃する

 実行委員会の佐野さんは次のように呼びかけた。
 現在、県内で農業の担い手はほとんど70・80代で高齢化が進んでいる。この後の世代は今のところいないのが現状だ。私たちがこれまで地域の農地を守り、農業水路や農道を守ってきた。だがこのままでは、これらを次の世代に引き継いでいくことができない。そういう状況に置かれている。
 生産者米価が安過ぎて、他方、農業資材が高騰するという状況では、本当に地域の農業を守ることができない。こういうことが現実になってからすでに30年もがたとうとしている。
 もうこれ以上は待てない。今の状態が続けば、あと5年もしないうちに農地は荒廃する。
 「本日参集した皆さんの大きな力で、新潟市民に農業再生をアピールし、運動をさらに広げていこう」と結んだ。

全国代表の菅野芳秀さんからメッセージ

 体調不良のため参加がかなわなかった「令和の百姓一揆」全国実行委員会の菅野芳秀代表からのメッセージが代読された。
 「昨年は政府の失態で米の高騰を招いたが、今年は一転してどこまで下がるのかという事態になっているのが現実だ。私たちはいつでも米作りをやめることができる。そうなれば誰が食糧を作るのか。大規模農家や法人が作るのであれば、そうすれば良いだろう。しかし、農村現場では大規模農家もこれ以上参入できる状況ではない。そうした状況を踏まえれば、百姓が消費者の皆さんと連帯して田んぼのコメを、そして農村を守る闘いをするしかない。残されている時間はないが、私も先頭に立って闘うことを誓う」
 力強い決意表明のメッセージが会場の参加者たちに伝えられた。
 集会を終えた後、トラクターを先頭に軽トラと参加者たちは新潟市内をデモ行進した。街頭の人たちに「農業に所得補償を」「農業守ろう」「みんな立ち上がれ」などのシュプレヒコールで農業の現状や危機を訴えた。
 昨年に立ち上がった令和の百姓一揆は確実に全国各地に拡大している。