主張 ■ 日本政治の最大の争点

中国といかなる関係を結ぶのか

『日本の進路』編集部

 衆議院の解散総選挙。「高市首相を引きずり降ろす」結果を期待しているが、いずれにしても2月8日には審判が下る。そして政治の再編が本格的に進むことになる。
 いま、国民生活も国の平和と安全も、文字通り危機的である。政治再編の中では、なによりも国民の要求と真の国益を最優先すべきだ。
 世界は根本から変わった。とくに戦後世界の支配者米国はすっかり衰退した。焦った米国はベネズエラの国家主権に乱暴にも介入し資源強奪を画策する。ジャングルのような世界に戻りつつあるかのような様相である。
 だが、長らく欧米日の「先進国」に抑圧されてきた中国とグローバルサウスが力強く発展し、世界の政治経済の主導権を握りつつある。
 米国依存一辺倒でやってきたわが国の従属政治は持続不可能である。発展する大国・中国をはじめアジアとどのような関係を結ぶのか。それは経済でも死活的だが、防衛、安全保障でも厳しく問われる。
 ところが昨年11月、高市首相の「台湾有事存立危機事態」発言を契機に、日中関係は敗戦直後以来最悪となっている。

変わる国際環境・立ち遅れる政治

 どのような政権、どのような政治状況となろうが、発展する中国・アジアという現実世界は変わらない。
 中国といかなる関係を結ぶのか。これは本来、この総選挙の最大の政策論点であり、真の争点のはずだ。
 だが、高市首相の側は、「中国の脅威」をいちだんと叫び立て、いかに平和と発展を確保するかは関心外だ。むしろ外に危機と「敵」をつくり、高市首相と「強い日本」を売り込む狙いが見える。
 残念ながら与野党どの党からも責任ある方向は提起されず、国民的議論とならない。
 高市首相と自維与党は別にしても、なぜ野党各党も日中関係に冷淡なのか。SNSやマスコミにつくられた「中国脅威論」に気後れしたか。
 大企業など財界も国民大多数も、日中関係の安定と発展を求めている。それが文字通りの国益だ。
 米国の中国問題専門の戦略家は「国家力の真の源泉は技術力である。米国は技術的に中国に後れを取り、経済的にも中国に依存し、軍事的に敗北するリスクを負うことになる。その結果、中国の世紀が到来する」と指摘する。
 世界の変化は動かしがたい。この世界で日本は生きていかなくてはならない。だが日本の政治家たちの頭は、完全に立ち遅れている。与野党ともに。
 この時期に結成の中道改革連合は、その基本政策に「中国に対する懸念への毅然とした対応」を謳った。いったい何のための新党か。
 歴史的に日中関係を重視し国交正常化など重要な役割を果たしてきた公明党を含む新党だから可能性を期待したい。だが、いまのスタンスでは自維与党と変わらない。

再び道を誤ってはならない

 高市首相ら反動派は、あくまでも米国依存路線を維持しながら、独自の軍事力強化を進める。米国の力も利用しながら、「世界の真ん中で咲き誇る」大国日本を夢想する。高市らが進めるのは中国に敵対し、力でアジアを支配しようとする道である。そのために今年中に国家安全保障戦略に関わる「安保3文書」の改定も準備している。核武装も想定範囲内だろう。
 だがこれは時代錯誤も甚だしい。かつても道を誤ったが、再び同じ道を歩むのか。二度目は茶番ではすまない。文字通り国家的民族的破滅であり、間違えば地球を滅ぼしかねない。
 世界が新たな秩序形成期に入ったいま、発展するアジアに生きる日本を選ぶときだ。
 そのためには米国に縛られない「自立の日本」でなければならない。中国やインド、ロシア、韓国・ASEAN諸国をはじめとするグローバルサウスの国々との関係強化を図る必要がある。
 そうした歴史的選択の時期に直面している。
 石破茂前首相は11月下旬の講演で「(日本が)中国との関係を大事にし、中国と米国の関係も意識しながら外交を展開するのは、当たり前のことだ」と述べ、さらに「食料の輸入、レアアースもそう。薬でもそう。中国との関係なくしてわが国は成り立つのか」と喝破していた。
 まったくの正論で、わが国の活路を示していた。こうした方向が自民党を含む政治家、国民の中で広がることを期待する。

歴史の深い反省が不可欠

 元首相の福田康夫さんはもっと根本的に提起する。要旨を紹介する(「毎日新聞」1月16日)。
 「日本にそのつもりはなくても、実は中国にとって最も戦争をしやすい国は日本だと思うんです」
 「先の戦争の中国人の死者は少なくとも1000万人超といわれます。中国が日本に攻め込んできたのではありません。日本が中国に攻め込んだのです。今は中国の政治家も国民も、その事実や恨みを忘れたような態度をとってくれています。でも日中関係が険悪になれば、話は違ってきます」
 「中国の人々が恨みをすっかり忘れたと考えるのは早計です。何かの拍子で日中関係が悪化すれば、過去の記憶が呼び覚まされ、14億の中国人は奮起しますよ」と。
 われわれ加害者の日本はこうした歴史を背負っていることを忘れている。被害者の側は忘れない。
 最後に福田さんは念押しのように、習近平主席が南京大虐殺紀念館の展示を改装させたのを見て「日本人の心情に配慮した」と思ったと感想を述べ、「中国は、日本との関係悪化を決して望んでいない」と断言する。だがしかし、次のようにも言う。
 「でも、今のような状況が続くと、習主席は日本とはもう付き合えないと思うかもしれない」と。習主席が、14億人の中国民衆の歴史的怒りと奮起に逆らうことはあり得ない。
 そうした厳しい局面に日中関係はあることを日本の政治家は自覚しなくてはならない。
 しかし最後に福田さんは「この80年、これだけの経済力がありながら戦争をしなかった国は日本くらい。これは今の憲法があったから。平和憲法の力は偉大」と締めくくっている。
 今年7月で90歳になられる自民党員・元首相福田康夫さんの、すべての日本国民へのメッセージと受け止めた。

一歩を踏み出そう!

 心して「日中不再戦」の政治実現へ奮闘しなくてはならない!
 昨年12月末、「中国は危険だ」という大合唱の中で、沖縄県選出の参議院議員、伊波洋一氏と高良さちか氏、それに前参議院議員で沖縄社会大衆党委員長の髙良鉄美氏は北京を訪問し、中国の各方面と友好を深めてきた。本誌に報告が掲載されている。沖縄では対中国戦争のミサイル配備など軍拡が進み、「再び戦場か」の危機感も高まっている。そうした中での訪中だった。
 南西諸島だけでなく全国いたるところで、長距離ミサイル配備など戦争準備が進む。「再び対中国戦争はしない」の世論形成を進めるとともに、中国との友好交流を発展させよう。昨年は全国の若者たちが、ハルビンの七三一部隊罪証陳列館を訪問するなど日本の中国侵略の歴史を学ぶとともに、日中不再戦を誓う訪中を実現した。
 今年はそうした旅をもっと広げたい。自治体議員など各界の人々が中国を訪問し、今の中国を知ることが友好と平和の一歩になるにちがいない。国会議員の中にも「日中不再戦」の動きが広がることを確信する。
 一歩を踏み出そう! われわれもそのために今年は奮闘したい。