戦後80年、若者が語る中国訪問の学び

 沖縄報告会

広がる日中友好の輪

若者訪中団員 坂槙 優

世代と国境を越えた交流

 報告会は10月5日、那覇市・沖縄青年会館で開かれた。会場には国会議員や県議などの自治体議員、沖縄在住の華僑、華人関係者など、報告者含めて34人の参加者が詰めかけた。
 冒頭、上地エリサさんによる二胡の演奏でスタート。沖縄県を管轄する中国駐福岡総領事館の楊慶東総領事から寄せられた「両国関係のより良い未来を作るために青春の力を発揮されることを心より期待しています」とのメッセージが代読された。
 報告会では訪中団に参加した琉球大学、沖縄大学、県立芸術大学の学生が盧溝橋・中国人民抗日戦争紀念館や第七三一部隊罪証陳列館など訪れた場所についてそれぞれ説明を行った。
 また報告会に訪れた髙良さちか参院議員、伊波洋一参院議員の各氏などから、あいさつが行われた。

歴史の現場が語る暴力と支配の重さ

 報告会で私は東北烈士紀念館(偽満州国哈爾浜警察庁旧址)について報告を行った。ここは日本が中国東北部に満州国を樹立し、統治した際に警察庁舎として実際に使われていた場所である。現在は、強い信念を持ち、正義や国家のために犠牲となった「烈士」を称える場として整備されているが、その空間にはかつて植民地統治を行った「重さ」が確かに残っていた。
 建物のエントランスでは、警察の象徴である五芒星の照明が来館者を出迎え、再現された独房や拷問室が植民地統治の苛烈さを物語っていた。また人体実験を行ったことで悪名を馳せた七三一部隊において、実験体にされた人間、通称「マルタ」を集めていたのもここで働いていた警察官である。
 また紀念館に付された「偽満州国」という初めて出会った言葉は、単なる歴史上の呼称ではなく、虚構の国家を支えた暴力への痛烈な批判の表現である。そこには、「正義」と「国家」の名の下に人を支配し、命を奪った歴史をどう記憶し、顧みるかという、今を生きる私たちへの問いが込められているように思う。
 報告を通じて、過去を「遠い歴史」としてではなく、現在の私たちの社会のあり方を照らし返す鏡として捉え直す必要を感じた。