食料農業 ■ 広島の百姓一揆

令和の百姓一揆ひろしま 第1弾in北広島町

  トラクター10台、軽トラ10台、70人がデモ行進

 広島県北部の北広島町で7月21日午後3時より「令和の百姓一揆ひろしま 第1弾in北広島町」として集会とトラクターのデモ行進が行われた。
 集会の趣意書では次のように切実な思いを伝えた。
 〈私たち農業者(百姓)は、安全でおいしい農作物をつくるために、日々土を耕し、家畜を養い、自然と向き合い農業を営んできました。また、農業生産を通して、地域の共同体を維持し農村の集落を守ってきました。環境を守り、生態系を維持することにも努めてきました。
 しかし、残念ながらこのような農業を続けていくことが困難になってきました。村も農民も農の現場から締め出されようとしています。戦後農地解放によって生み出された470万の自作農が、日本農業の基礎を築いてきましたが、その急激な瓦解の中で、今や風前の灯になろうとしています。
 全国の村々から農民たちから「農じまい(農終い)」のため息が聞こえてきます。果たしてこの国から、農民が消えてもいいのでしょうか? 村が消えてもいいのでしょうか? これから未来にわたって日本で暮らしを営む人たちのためにも、私たちは、農、食、地域を支えていきたいと決断しました。
 次代に「タスキ」を渡したい!途切れさせてなるものか! こんな地域の百姓が集まりました。持続的に安全な農産物をつくりたいと思いをよせる農業者(百姓)が何か行動を起こせないかと立ち上がりました。…〉

強い思いがあればつながる

 この行動は3月に東京で行われた「令和の百姓一揆」の集会を受けて全国各地でこの運動を広げようという呼びかけに応えて広島県では初めて開催された。炎天下、帽子をかぶり、「令和の百姓一揆」とデザインされたうちわを持って参集、会場には暑さ対策のジュースなども用意され、氷も配られた。会場となったJAひろしま千代田支店には尾道、三次市や安芸太田町など広島県内全域から約70人が集まり、トラクター10台、軽トラ10台が集結した。
 主催した令和の百姓一揆ひろしま実行委員長の西原美和さんは、「暑い中集まっていただきありがとうございます。思いを一つにして今日は行進できたらと思います。体調には無理されないように、思いだけ強くあったらすべてがつながると思います」と力強くあいさつされた。
 東京から駆けつけた令和の百姓一揆実行委員会の高橋さんは、「ここに来る時、豊かなきれいな田園風景を見て、これを絶対になくしてはならないと強く思いました。私たち消費者のために土を耕し作物を作っていただき感謝の気持ちでいっぱいです。今日は広島、同じ日に静岡、つい先週は鳥取、京都で集会がやられました。東京で集会をやるんじゃなくて、やっぱり農業現場で農家さんの人たちの気持ちを多くの人たちに伝えて、農業大事だよ、命が大事だよ、食べるもの大事だよという気持ちを伝えていきたいと思います」と述べた。
 資金援助の「樽募金」を前に参加者は、心をひとつに、思いをひとつに手をつないで円陣を組んだ。農業者を代表して尾道の因島から駆けつけた宮地さんが、「命をつなぐ食は大事にしなくてはならんよ、今この太陽よりもっと熱く燃えています。今日は浜松の方でものろしが上がっています。全国47都道府県、毎日食べているこの食物、これ大事にせにゃならんです。誰かがしてくれるんじゃなく、ここにいる一人一人が小さな声を上げながら、のろしを上げながら食を大事にしていただきたい。農家さんと消費者が一つになって日本を守るんだ、命を守るんだと思っています。日本の食と農を守るぞ!エイエイオー」と気勢を上げた。

11月22日は広島での
第2弾の行動

 その後、「農家に補償を!」「所得の補償を!」「欧米並みの!」「所得の補償を!」「農業を守ろう!」「農村守ろう!」「国産守ろう!」「お米を食べよう!」「牛乳を飲もう!」「野菜を食べよう」「果物食べよう!」「未来の子供に!」「国産、残そう!」「限界超えてる!」「農家を守ろう!」「今、動かなくちゃ!」「農業守れない!」「みんな立ち上がれ!」「今が正念場!」と皆でコールの練習、デモに出発した。
 まず、トラクター10台が先頭を切り、「すべての農民に所得保障を」「日本の食と農を守ろう」と書かれた幟旗などで装飾された軽トラ10台が続いた。その後に横断幕を持った人たちが熱中症対策の救護車の後ろに並び約1・2キロを練り歩いた。
 デモ行進が終わり、安芸高田市議の浅枝久美子さんが、今日の集会に広島の各地から70人が集結したことを報告、「市町を超えて思いを一つにできた」と暑い中広島各地から参加された労をねぎらい今後の闘いの決意を述べられた。
 集会の終わった後、浅枝さんは今後の闘いへの思いを、「東京で知り合った広島の人たちが広島でもやろうと計画した。参院選があって、農繁期に入る前、と言ってももう入ってはいるんですが、真夏の暑い日ではあるが今日という設定になった。今日の集会に集まった人たちがさらにネットワークの輪を広げて11月22日の第2弾の広島での集会を成功させたい」と熱く語られた。(井原一則、記)

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