日米地位協定の抜本改定へ

神奈川県知事に要請書を提出

逗子市議会議員 中西なおみ

 私たちは7月24日、「日米地位協定の抜本改定の実現を目指す要請書」を、渉外知事会の会長でもある黒岩祐治神奈川県知事に提出しました。日本の主権と地方自治を確立するために、日米地位協定の抜本的な見直しを求めるものです。要請文は、石郷岡(厚木基地爆音防止規制同盟委員長)、畑井陽子(綾瀬市議)、中西なおみ(逗子市議)、神谷扶左子(時を見つめる会)の4人で手渡し、中西逗子市議が読み上げました。参加者は20人で、県は舘野基地対策部長が対応しました。

イラン攻撃出撃拠点に

 今年2月、米国とイスラエルによるイランへの攻撃によって中東で戦争が発生するなど世界情勢はこの上なく不安定になっています。原油価格をはじめ世界経済にも大きな影響が及んでいる他、県内の横須賀や厚木の米軍基地がイラン攻撃にも使用されており、遠い中東情勢といった人ごとでは全くいられない状況です。
 イラン攻撃に横須賀や厚木から米軍が出動しているように日米地位協定では他国への攻撃に米軍が在日米軍基地を使用することを制限しておりません。要望書提出の後に行われた神奈川県の基地対策部との意見交換においても指摘されていましたが、自国への攻撃に使用された基地を軍事目標とすることは国際人道法上において自衛権の行使として認められています。停戦があいまいになっている今、イランは横須賀や厚木の米軍基地を攻撃することが可能な状況です。いくら今の爆撃が精密だからといって、「米軍基地内なら爆撃されても大丈夫」と思えるでしょうか?
 意見交換の場では他にも、米軍機の墜落、米軍関係者による事件・事故、騒音や低空飛行など基地をめぐる問題や、PFAS(有機フッ素化合物)による河川や地下水の汚染が疑われる場合であっても、基地内の調査が十分にできないため、原因究明が進まないことなどが活発に発言されました。中には逗子市民の方もおり、2022年に逗子市内で起こった米兵による暴行事件についての発言がありました。私は6月に逗子市議会が全会一致で「米兵による傷害事件の謝罪と賠償を求める意見書」を国と米軍、米兵に対して送付することを決めたことを申し上げました。

テレビでも報道 反響大

 その日、テレビ神奈川が18時のトップニュースで要請の様子を報道し、要請文を読み上げる大役をいただいた私も映りました。それを見た市民の方から何件か連絡が入り、その中には「最近低空飛行が気になっている」という声がありました。つい最近私自身も、見たことがない飛行機が低空で飛んでいるのを見かけ、「変わった翼の形だけど軍用機かな?」と思ったこともあり、要請行動の参加者の方とその話をしました。隣町である葉山町在住のその方も最近低空飛行が気になったということですが、軍の飛行実績などは開示されないことが多く、実際のところを私たちは確認することができません。
 要請文でも触れていますが、アメリカ本土では米軍機は住宅地上空を低く飛ばないよう、明確な高度・空域管理がされています。その一方、日本の住宅地の上空では「人口密集地に配慮する」という合意があるものの、厳密な高度設定は存在せず、基地周辺の市民による目撃情報が後を絶ちません。このようなことからも、現行の日米地位協定の不平等さを基地周辺の市民は意識せざるを得ません。
 現在の日米地位協定は1960年に結ばれてから、補足協定で修正が行われたことはありますが、改定は一度も行われていません。一方、お隣の韓国では2001年に地位協定を大幅改定、その後2012年にも改善し、重大事件を起こした米兵の身柄引き渡しと拘束が韓国サイドで可能になり、国外への逃亡を止める制度が明確化しています。
 1960年から65年以上経過した現在、日本と米国、そして世界情勢は当時と大きく変化しています。日米地位協定を現況に応じて改定し、米軍基地の受け入れ国としての主権と司法権をしっかりと確立することこそが、アジア地域の平和を守っていくことにつながるのではないでしょうか。


神奈川県知事 黒岩祐治 殿

日米地位協定の
抜本改定の実現を目指す要請

2026 年7 月24 日 要請者団体・個人一同

 アメリカがイスラエルと共にイランへ攻撃し戦争になり、停戦文書の調印がありますが、中東情勢はまだ見通せません。原油由来の世界経済が不安定となり、日本も翻弄されています。
 この戦争でイラン攻撃のために、神奈川の横須賀と厚木の米軍基地が使用されていますが、本来なら日米安保条約に基づいて事前協議が行われるべきですが、事前協議もない。
 そもそも今回の攻撃は、国連憲章や国際法に反して行われた先制攻撃で、我が国政府が在日米軍基地を使用しないように求めるのが筋です。日米地位協定には、他国への攻撃に米軍が在日米軍基地を使用することを制限していないことも、大きな理由になっています。
 これまで、神奈川県内での米軍機やヘリの墜落・不時着などの事案、米軍構成員による性暴力や暴行事件などの刑事事件や交通事故などの事例が、たえず発生しています。また、河川や地下水でPFAS(有機フッ素化合物)汚染の疑いがあっても、米軍基地内の調査が出来ないため、原因究明に至っていないという事案も挙げられます。このように日米地位協定が大きな壁となり、わが国の法令が適用されない状態で解決に至っていない事例がほとんどです。
 日米地位協定では、全国が米軍基地となる可能性があり、米軍がここは米軍が使用すると言えば、どこでも我が物顔に使用できることになっています。全国で低空飛行訓練を行っているのは、この協定が根拠になっているためであり、自国では住宅地の上を米軍機が飛行することが禁じられているにもかかわらず、日本では堂々と行われています。
 わが神奈川県の黒岩知事は、渉外知事会の会長の職を兼ねておりますので、他の首長にもまして「できること」があり、「やるべきこと」があるはずです。
 県民とともに、知事会の先頭に立って、国に対して日米地位協定の抜本改定を求める世論づくりを推進し、上記の様な状況を是正するため、地位協定を日米ともに平等なものにすることを要請します。