アジアの平和と未来をひらく若者訪中団

長崎の記憶を胸に、中国と向き合った訪中体験

団員 長崎純心大学学生

中国で向き合った
日本の加害の事実

 今回の訪中は、戦後80年という節目の年に、歴史を学び未来のあり方を考えることができた、私にとって忘れられない経験となりました。訪問先では資料館の見学や現地の方々との交流を通じて、多くの学びや気づきを得ることができました。
 まず第七三一部隊罪証陳列館を訪れた際には、大きな衝撃を受けました。事前学習を通して七三一部隊について知ってはいましたが、現地で直接展示や説明に触れると、想像をはるかに超える現実が突きつけられました。私は長崎県出身で、幼い頃から戦争や原爆被害の歴史について学ぶ機会は多くありましたが、日本が加害者として行った歴史について学ぶことはほとんどありませんでした。そのことに気づき、強い申し訳なさを感じると同時に、日本人としてこの事実を直視し、理解することがいかに重要かを痛感しました。また、こうした事実を知らないままでいることが、日本人として非常に恥ずかしいことだとも感じました。
 次に、盧溝橋近くの中国人民抗日戦争紀念館では、その規模の大きさと展示資料の豊富さに圧倒されました。日本国内の資料館とは比べものにならないほど充実した展示を通して、日本が中国に対して行ってきた加害の歴史についてより深く学ぶことができました。
 特に「百人斬り」に関する記事は強烈な印象を残しました。人を殺すことが勝敗の基準とされていた事実は、当時の社会において命がいかに軽んじられていたかを示しており、胸が締め付けられる思いがしました。また、戦争が再び起これば人は容易に同じ思想に流されてしまうのではないかという恐怖も覚えました。この見学を通じて、戦争は絶対に繰り返してはならないと改めて強く感じました。
 さらに今回の訪中は、歴史の学びに加えて、中国の人々の温かさに触れる機会でもありました。私は以前にも一度中国を訪れたことがありますが、改めて現地の方々の優しさに触れ、中国に対してさらに親しみを持つようになりました。
 確かに日中双方には互いに否定的な感情を持つ人もいます。しかし、それ以上に相手の文化を理解し、好意を持って接している人が多くいるのだと実感しました。随行員の方々、ホテルや資料館の職員の方々、さらには街中で出会った人々までもが、私が困っているときに親切に助けてくださり、そのたびに温かい気持ちになりました。こうした経験は、国と国との関係を考える上で大きな気づきとなりました。
 また、一緒に訪中した同世代の仲間たちからも大きな刺激を受けました。彼らはそれぞれに活動や目標、志を持ち、自分なりの思いをもってこの交流に参加していました。その姿に触れることで、私自身も自分の将来について改めて考えさせられ、学びを深めるきっかけとなりました。

中国を訪れた
私たち若者の使命とは

 訪中を終えた今、私が強く感じているのは、「ニュースや先入観にとらわれず、自分の目で見て、人と直接触れ合うことでこそ、国と国との本当の姿が見えてくる」ということです。互いを尊重し、理解し合おうとする人々は確かに存在しています。今回の訪中で出会った多くの人々の姿が、そのことをはっきりと示していました。私は今後、この経験を周囲に伝えるとともに、日中の相互理解を深めるために自分にできることを考え続けたいと思います。そして、この学びを社会に広めていくことこそ、私たち若者の使命であると強く感じています。