食料農業 ■ 鳥取の百姓一揆

生産者と消費者が連携して、食と農、地域を守ろう

 トラクター10台と160人が参加

 石破首相の地元・鳥取市内で7月13日、トラクター10台と生産者消費者160人の参加で「令和の百姓一揆 鳥取」が開かれた。第1弾は「生産者・消費者合同集会」だ。

「つぎは、広島です」と引き継ぐ?鎌谷一也さん(右2)。広島の二人(右4、浅枝久美子安芸高田市議、右1、西原美和広島実行委員長)

全国で大きなうねりを
つくる

 主催者あいさつで、鳥取百姓一揆の実行委員長である鎌谷一也さんは次のように呼びかけた。
 〈3月30日東京での百姓一揆をスタートに、全国へ展開し、大きなうねりをつくる。その一環で、鳥取での取り組みを企画した。一揆の目的の一つは中小を含めた農家への所得補償制度の確立である。
 これ以上、低米価・農政の無作為が続けば日本の農業、農村は崩壊する。規模拡大や生産性向上などの政府の政策では、鳥取県の農業、中山間地が救えない。県下の19市町村を回り、町長とも意見交換をした。人がいなくなれば田舎はもたない。規模に関係なく今頑張っている人を支援する所得補償制度の確立だ。
 2点目は、国民の生活が苦しくなっている中で消費者のために、コメの安定的な供給と万が一の備蓄システムを確立すること。3点目は、鳥取の生産者と消費者が手をつないで、地域の農業と暮らしを守る自給圏的な地産地消、何があっても安心できる地域を確立していくこと。地域や子どもたちの将来のことも考えて行動する一日にしよう〉
 続いて、鈴木宣弘・東大特任教授による「生産者が安心して生産し、消費者が安心して食べられる世の中を」と題するビデオ講演が行われた。

JA全農や生協代表も報告

 講演の後、3団体から報告が行われた。JA全農鳥取県本部長の小里司さんは、「生産コストをまかなえない低米価が長く続き、後継者も少なく農業の生産現場は限界に来ている」「鳥取の農家の96%は1ヘクタール前後です。今年秋に農家に生産費払いとして2万2千円(60キロ)を払い、相場動向を見て7000円程度になるかどうかわかりませんが、上乗せを来年夏に支払う。全農の手数料は5キロで15円、農協の手数料は60円です」「今回から一部を生協や直売所に、生産費など原価をすべて公開して販売する予定です。生協と連携した米価の見える化です」「生産者の方と消費者が一緒になって食と農を変えていきたい」と連携を訴えた。
 2年前から株式会社One Seed Farmを設立、稲作61ヘクタールを5人で運営している西根祐輔さん(稲作農家)は、「真剣に農業をやりたい、食料生産したいという若者がたくさんいます。地元の農産物を買ってほしい。制度面でも経済面でも支援してほしい。活用できない農地を貸していただきたい。若い農業者を応援してください」と訴えた。
 鳥取県生協理事長の井上約さんは、「これまでも生産者と連携してきた。産直活動でも、生産者と生産地が明確であること、組合員と生産者が交流できること、生産者と適正な価格を交渉し持続可能な事業を3原則にしている。水田は社会的共通資本、消費者も一緒になって日本の水田・生産者を支える取り組みを行っていく」と報告した。

第2弾は、デモ行進

 この日の鳥取の最高気温は37度。鳥取駅前までの約1・5キロを、トラクター10台を先頭に、生産者・消費者が「お米を食べよう」「農家に所得補償を」などと声を上げながら行進した。解散地点で「生産者と消費者は共同して、日本の食を守ろう、頑張ろう」と三唱した。
 生産者と消費者の連携が特徴の熱気ある行動だった。

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