沖縄選挙区タカラさちか 必勝へ

プロフィル
髙良沙哉(タカラさちか)
沖縄大学人文学部教授(ジェンダー・憲法学)
1979年1月生まれ(46歳)、那覇市出身、北九州市立大学大学院博士後期課程(博士〈学術〉)。
2006年から県内の大学や専門学校で憲法、法学を教え始め、11年から沖縄大学人文学部福祉文化学科所属、19年より教授職。家族は夫と子2人。
沖縄大学教授で昨年の「12・22県民大会」実行委員会共同代表の髙良沙哉さんが5月10日、参院選沖縄選挙区に立候補を表明。18日、那覇市内で支持母体の事務所開きを行い、決意を語った。
玉城デニー知事があいさつ。「県民の思いは決してぶれていない。80年前に生きられなかった方々への追悼の念も含めて、髙良さんに私たちの強い信念、願い、思いを預けていきたい。この選挙は必ず勝ちにいこう」と激励し、連合沖縄の仲宗根哲会長も激励のあいさつをした。支持母体は「『生きる』を政治の真ん中に!県民の会」で、選挙対策本部共同代表に沖縄関係野党国会議員の赤嶺政賢、新垣邦男、屋良朝博、伊波洋一、髙良鉄美の5氏が就任。伊波氏は「力を結集し、なんとしても押し上げよう」と力強く呼びかけた。
広範な国民連合は5月11日、全国世話人会議で髙良さんの推薦を決定し、全国から全面的な支援を呼びかけている。
憲法の研究者から、行動する実践者へ
髙良 沙哉(タカラさちか)
私は、憲法学を専門に軍事性暴力、主に沖縄における軍事基地問題に取り組んできた。憲法学を志したのは、小学校の時の憲法9条平和主義との出会いだった。より具体的に軍事性暴力、軍事基地問題を学ぶきっかけとなったのは、1995年の3人の米兵による小学生の少女への性暴力事件だった。
沖縄では、ここ十数年の辺野古新基地建設問題と並行して、与那国、石垣、宮古など島々への自衛隊の配備強化が目立つようになった。私は、母が石垣出身であることと、自分自身が自衛隊那覇基地の近くに住んでおり、日々騒音被害に遭っていることもあって、石垣の自衛隊配備計画が報道された時には、計画を阻止したいと強く思った。私は度々現地に入り、現地の人たちの声を聞き、状況を調査しては、広く多くの人に伝え、軍拡を止める力になろうと必死に取り組んできた。
駐屯地建設は、住民の生命、生活に大きな影響を及ぼす事柄であり、自治体にとっても重要事項である。しかし、石垣でも宮古でも「国の専権事項」という言葉が、自治体の長からはよく聞かれた。そうであるなら、国政に直接働きかける力を持たねばならないと、考えるようになった。
そうしたなかで95年の少女暴行事件から29年目の昨年、16歳未満の少女に対する誘拐・性的暴行事件起こっていたことが発覚した。事件そのものが許されるものではないが、その上、事件が半年も沖縄県や沖縄県民には隠されており、95年の事件を契機とした日米地位協定の運用改善合意や、通報体制も反故にされていたことが発覚した。
昨年12月22日には、共同代表として、県民大会を開催し、性暴力への抗議、子どもの人権を守ること、そして被害に遭った方へ「あなたは悪くない」「あなたは一人ではない」ことを表すために、多くの同じ気持ちを持つ人々と共に抗議の声を上げた。しかし、日本政府が主権国家として、積極的に対策を講ずることもなく、また米軍による対策はこれまで同様効果を持たない状況が続いており、県民大会後も、性暴力事件が複数回発生している。
95年の少女暴行事件から30年たっているが、私たちはまだ人間の尊厳が軍事性暴力によって脅かされる沖縄を、社会を変えることができていない。地位協定の不平等性すら是正されていない現実がある。私は、政治の場でこの状況を変えるために力を尽くさなければならないと考えるようになった。
「生きる」を政治の真ん中に
私は、「『生きる』を政治の真ん中に」、憲法の理念を基礎として実現する政治を訴えていきたい。
一つは、日々のくらしを安心して生きることである。
県民所得が全国最下位の沖縄では、「健康で文化的な最低限度の生活」を確保することが、とても難しくなっている。物価高、消費税の重い負担は、あらゆる世代の生活を直撃している。多くの島々を抱える沖縄では、島々で、物価高や燃料費の高騰などによる生活や経済活動への影響が大きく、対応が必要だ。日本本土と沖縄との賃金格差の是正も不可欠である。物価高の中での年金受給世代の生活困窮、少子高齢社会に合った年金制度の改善も求められる。子どもの貧困と親の雇用や賃金の問題も切り離せない。一人ひとりのくらしを大切にし、県民のくらしを圧迫する要素の一つひとつを取り除いていきたいと考えている。
二つ目は、多様性を認め、差別のない社会に「生きる」ことの実現である。
例えば、同性婚、ジェンダー差別、選択的夫婦別姓、子育て負担がまだ女性に偏っている社会では、子どもを安心して預けられる保育の充実は不可欠だ。そして、ジェンダーに基づく暴力である性暴力と、その被害に遭った人に対する継続的な支援など、重要な課題に向き合いたい。
三つ目は、基地被害のない沖縄で平和に生きることの実現である。
沖縄の人々が結束して訴えてきた普天間飛行場の危険性の除去を求め、軟弱地盤のために完成するかもわからない、完成しても使用できるかもわからないとも言われる、現実的でない辺野古新基地建設を阻止したい。
辺野古新基地建設の強行は、沖縄の自治を脅かしている。度々に沖縄の人々が示してきた建設に反対する民意に対して、日本政府は、説得的な根拠を有していない。辺野古新基地建設は政治問題であり、その解決に力を尽くしたい。また、日々の軍事基地被害に対しても、明確に日米政府に対峙するとともに、自衛隊の拡大など、新たな基地負担の問題にも敏感になり、沖縄を戦場にしない、新たな戦争を起こさせない決意だ。
最近では、歴史に対する理解が十分ではない国会議員による、沖縄戦の歴史的事実の誤認、歪曲、矮小化によって、沖縄の戦中・戦後の歴史を踏みにじる発言が横行している。戦争体験者が、後世のために、戦争で命を落とした人々のために、つらくとも語り継いできた証言、積み重ねてきた沖縄戦の歴史研究への冒瀆は許し難い。戦争の反省をもとに、平和を目指す日本国憲法の立場に立てば、日本の戦争の美化や沖縄戦の証言、歴史研究の歪曲・矮小化は、平和をつくる基礎を脅かすものともいえる。
歴史を何度でも学び直し、沖縄の経てきた戦禍の歴史を踏まえ、対話による戦争回避、戦争をしない政治を目指す。
日本「復帰」後も十分に憲法が適用されていない沖縄から、憲法を生かす政治を訴えることに大きな意義があると考えている。私は、すべて沖縄のために、沖縄に生きる人々の目線で考え、人々と共に声を上げ、沖縄に生きる人々の声を政治の真ん中に届け、実現していきたい。憲法の研究者から、行動する実践者へ。