地方自治法改定 ■ 髙橋 康輔

意見書を全会一致で採択

山形市議会議員 髙橋 康輔

 本年2月下旬、私が所属する地方議員ネットワーク主催の地方自治法改正に関する研修会がありました。研修では、第33次地方制度調査会が昨年12月21日に出した「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」に基づき、地方自治法が改正される見込みであるが、その内容が大規模な災害、感染症のまん延など国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例として、国が地方公共団体に対し、その事務処理について国民の生命等の保護を的確かつ迅速に実施するため講ずべき措置に関し、必要な指示ができることとするものであり、地方自治の観点から大きな問題だとの提起がありました。


 日弁連は今年1月18日、法改正に反対する意見書を公表しています。弁護士の方からは、①第1次分権改革における国と地方の「対等協力」な関係という根幹の部分を変えるもので、地方分権を大きく後退させる、②個別法で自治事務に対する指示権を認める場合「国民の生命、身体又は財産の保護のために緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合」とされているが、この要件を緩和するもの、また法定受託事務に関する指示権をより広く認めようとしている、③新型インフルエンザ等対策特措法に基づく地方公共団体の事務は法定受託事務(国の指示権がある事務)である、④現場である地方公共団体の方が正確な情報を有している場合が多く、国の見解が正しいとは限らない、との説明がありました。
 研修会では、昨年12月福岡県議会でこれら問題点について質問されていること、今年3月宮城県議会において意見書採択を目指す動きがあること等、与野党問わない取り組みの報告がありました。また、国会に法案が提出されていないものの、会期末が6月中旬であることから、地方議会においても急ぎ対応する必要があるとの認識を共有し、活発な意見交換が行われ終了しました。
 研修会について、私が所属する会派で報告しました。会派では、国と地方の対等協力関係を大きく変える制度であり問題である、また、国への意見書送付は地方議員でなければできない仕事であるとして、3月議会において意見書の採択を目指すことになりました。
 山形市議会は自公系が過半数を占めており、全会一致を目指すためには意見書の文言も重要になります。そのため、これまでの経過を詳しく調べました。
 第33次地制調が答申を出すまでの議事録を調べると、全国知事会、全国市長会、全国町村会の執行3団体は、程度は異なるもののいずれも意見聴取で上記の問題意識を表明していました。また、全国市長会は昨年11月15日に「真の分権型社会の実現に向けた都市自治の確立等に関する提言」を決定し、地方自治に影響を及ぼす国の政策の企画・立案、実施に際しては、「国と地方の協議の場」において、国と地方が真に対等・協力のもとに十分協議し、地方からの意見を制度設計等に的確に反映すること、また、国はあらかじめ十分な時間的余裕をもって提案を行うとともに、具体的な事項の協議に当たっては、国と地方とが真に実効ある協議を行うため、分科会や各府省と地方との協議等の積極的な活用を図るなど、多様な地方からの意見を反映できるようにすることを国に求めています。
 全国知事会は、今年1月23日に総務大臣に対し要請を。その中では、①国の補充的な指示については、事前に地方公共団体との間で十分な協議・調整等を行うことにより、安易に行使されることのないようにするとともに、現場の実情を適切に踏まえた措置となるようにすること、また、行使後も適切に国と地方公共団体の間で情報共有・コミュニケーションを図ること、②国の補充的な指示は、地方自治の本旨に則り、目的達成のために必要最小限度の範囲とすること、③国の補充的な指示は、国と地方公共団体の関係の特例として位置づけ、一般ルールと明確に区別すること、を求めています。
 全国知事会は閣議決定を受けて、「なお、法案上必ずしも明記されていないと考えられる点もあることから、国の補充的な指示が地方自治の本旨に反し安易に行使されることがない旨が確実に担保されるよう、(中略)強く求める」とのコメントを出しています。
 これらを踏まえ、意見書案は「懸念が表明されている」として、「意見を十分尊重し審議を尽くすよう」求める内容とし、各会派への事前説明を行いました。
 時間のない中でしたので、総務委員である私が案を提案することになりました。審議の結果、「懸念が表明」の部分を「配慮を求める声が上がっている」と修正した上で、3月19日の本会議において全会一致で採択されたものです。地方自治の根幹に関わる問題について山形市議会として意見書送付という仕事が一つできました。

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