2022年11月一覧

ブックレット『復帰50年 沖縄を読む/沖縄世はどこへ』を世に問うて

米国への従属を転換する覚悟と戦略が問われる

一般財団法人・東アジア共同体研究所理事 高野 孟

 

 

 

 今年は沖縄の復帰50年という大きな節目の年で、1972年の沖縄返還協定によって沖縄が27年間の「アメリカ世」を脱して再び「ヤマト世」を迎えてからのこの半世紀を一つの時代としてどう捉えたらいいのか、沖縄の側ではもちろん本土の側も含めて、盛んな議論が沸き起こるものと思われた。そこで、私が属する東アジア共同体研究所の琉球・沖縄センターでは昨秋から準備して、『復帰50年 沖縄を読む/沖縄世はどこへ』と題したブックレットを編んで今春出版した。その第1部では、私が私なりのこの50年の概観的スケッチを描き、それを呼び水にする形で、本文に当たる第2部では、沖縄と本土の50人の多彩な方々に「この50年を考えるためのこの1冊」を選んでその推薦理由を短く鋭く書いてくれるようお願いした。そのような構成にしたのは、この大きなテーマを一つの角度で切り裂くことなど到底できるはずがなく、むしろ逆にさまざまな視点から光を当てて乱反射状態をつくり出すことの方が議論をにぎやかにするのに役立つだろうという判断からであった。

続きを読む


長崎で日中国交正常化50周年記念集会

新時代の日中平和・友好関係をめざして

 

 長崎市で10月8日、〝新時代の日中平和・友好関係をめざして〟とのスローガンを掲げて「日中国交正常化50周年記念集会」(実行委員会主催)が開かれた。当初、9月19日を予定していたが台風の影響に伴い延期、43団体・法人と100人を超える個人の賛同を得て開催が実現した。県民、市民約150人が参加、来賓に長崎華僑総会、与野党国会議員秘書、県議会日中友好議員連盟の4県議をはじめ佐世保・厦門市青少年交流協会、県貿易協会、労組の代表者らも出席。多数の祝電・メッセージも寄せられ文字通り各界・各層、超党派による県民集会となった。

続きを読む


日中国交正常化50周年に思う

国益を貫いた田中総理の英断

小長 啓一氏(元田中角栄総理秘書官)に聞く
(聞き手、本誌編集長・山本正治)

 

 

 

 こなが・けいいち 1930年生まれ。53年通商産業省(現経済産業省)入省、84年通産事務次官。アラビア石油(現富士石油)社長などを経て、現在、弁護士。田中角栄が通産相、首相の時に秘書官を務めた。

 

 日中国交正常化50周年に際して本誌(10月号)は、「この道をさらに前へ」との主張を掲げた。その中で当時の田中角栄総理の決断を、「歴史的な決断であり、かつ、50年を経過して激変の今日の国際社会でも、わが国の正しい進路の指針となる英断であった」と評価した。だが、50年前の状況を知る人は少ない。本誌は、通産大臣から総理大臣となった田中角栄氏の通産大臣時代から秘書官を務められた小長啓一氏に当時の状況と感慨を伺った。インタビューはくしくも9月29日となった。
 誌面の都合で割愛するが、日中関係だけでなく、第1次石油ショック時の総理大臣として展開された「資源外交」など興味深い話もお伺いすることができた。米英の石油メジャーが支配する中東依存ではなく、旧ソ連やメキシコなど中南米にも資源外交の足を延ばしたことなど、50年前のことではなく、今のこととして伺った。日本の政治家は、「自主的な日本」を目指す気概を受け継ぐ必要があると感じた。(山本正治)

続きを読む


生活保護を阻害する扶養照会は不要!

全国の自治体での取り組みを

広範な国民連合・東京世話人/足立区議会議員 小椋 修平

 

コロナ禍で
職も住まいも失う人々

 新宿や池袋などで実施している食料配布・相談会にはコロナ禍以前は中高年男性が中心で100人~150人だったのが日に日に人数が増し、最近は500人を超える行列が続く。女性、若者、外国人など老若男女、幅広い世代が食料を求めるなど、リーマン・ショック時にもなかった異変が起きており、困窮者支援の現場は「社会の底が抜けた」状態が続いている。

続きを読む