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[シンポジウム 台湾有事を避けるために]会場からの発言  林 吉永

軍事的合理性とは敵を殺し破壊し、作戦を遂行すること

自衛官OB、元空将補 林 吉永さん

 一つ申し上げたいのは、軍人・自衛官は軍事的要請の遂行を追求します。学際的にいくら戦争を論じても、現場では敵を殺すこと、破壊することに懸命になるんです。そうしないと自分がやられ国・国民を守れません。


 それからもう一つ申し上げたいのは、今日のお話では多くが自衛隊だけが戦争をする、日本防衛のために戦うということでございました。しかし、現役を経験した立場から申し上げますと、自衛隊だけでは戦えません。さらには隊員が不足し、弾薬も燃料も不足し、戦闘機は3回目には弾を積んで出撃できないんです。不足の充足を石破先生、柳澤先生は防衛庁(当時)現役時代に何とかしようと努力しておられたわけですが、数量については大蔵(財務省)の査定で決まります。日本を守るとか、守らないとかという話ではないんです。
 ですから一番重要なのは、日本を守るんだったら守る体制をつくる。そうした課題があることをしっかり理解しなければいけない。
 正直申し上げまして、日本国民の90%以上が戦争についての常識、教養、知見をもっておりません。まずその学習から始める必要があります。
 そういったことを考えますと、台湾有事に際しては当然、今お話がありましたように沖縄の島を守り切らなければならない。当然、日本に敵対する国は、日米同盟下、沖縄に米軍基地があるのだから作戦上の要衝を押さえようとします。
 日米共同作戦は必至ですから、その共同の力が発揮される前に取ってしまおうとするでしょう。そういった軍事的合理性を考えないで、学際的議論だけに走るのは戦争の本質、軍事力の役割を誤る危険が生じると感じました。