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[シンポジウム 台湾有事を避けるために] 会場からの発言  伊波 洋一

平和友好条約を基礎に日中敵対を避ける

参議院議員 伊波 洋一

 沖縄選出の参議院議員、「沖縄の風」の伊波洋一です。
 台湾有事は日本の有事であるというのは、台湾防衛のために南西諸島を戦場とするためだろうと思っています。
 今、ウクライナでは隣国への避難民がこれまでに250万人を超えたと言われています。市民が戦火を逃れるのは当然のことで、国連は400万人の避難民を想定しています。ロシアの侵攻後に、地続きの他地域や国外に自動車などの交通手段で避難しているわけです。


 台湾有事を想定して南西諸島で島嶼奪還訓練を繰り返す日米の戦争シナリオでは、逃げ場のない与那国島や石垣島、宮古島などの離島の奪還に自衛隊が総力戦で臨む訓練をしています。与那国島で約1700人、石垣島と宮古島にそれぞれ約5万人の住民が住んでいます。
 沖縄の島々の全域が戦場と想定され、77年前の沖縄戦での沖縄本島南部のような住民を巻き込む戦争になるのではと危惧します。1945年の沖縄戦では5月半ばの首里城地下の司令部陥落で勝敗は決していました。にもかかわらず、大本営は降伏を許さず、住民を巻き込む玉砕戦になり、住民10万人を含む20万人の犠牲者を出す地上戦になりました。
 南西諸島での今回のシナリオも同様で、10万人を超える住民の避難などは想定されていません。住民が島から逃げる船はありませんし、シェルターもありません。先ほどの岡田さんの発言でも明らかにされているように南西諸島への自衛隊、地対艦ミサイル配備による中国艦船の通過阻止と自衛隊の後方支援で、南西諸島の島を活用できなければ米軍の遠征前方基地作戦(EABO)などの新作戦構想が具体化できない。だから日米同盟を理由に、政府と自衛隊は南西諸島の住民を犠牲にして米軍の要求に応えようとしているようです。これほど沖縄を犠牲にする戦争シナリオを沖縄県民は決して許しません。
 対米追従の南西諸島での戦争シナリオではなく、政府は中国と向き合い、日中共同声明と日中平和友好条約を基本にして、外交交渉で尖閣諸島問題の解決と「台湾有事」を回避させて、南西諸島の戦場化を阻止することに全力を注ぐべきです。
 私は今、参議院の外交防衛委員会の委員でもありますので、中国との対話による問題解決、日本の外交交渉を求め続けています。「台湾有事」を避けると同時に南西諸島の戦場化を何としても止めましょう。
 最後に、今日の日中関係は経済的にも日米関係同様に大きなものになっています。貿易総量では、日中が24%に対して日米は14%。進出企業も中国への企業が多い。サプライチェーンもそうです。戦争をすればそのすべてを失うことを覚悟しなければなりません。
 ですからどうしても沖縄を戦場にしないため日中の敵対を避けなければなりません。皆さまと力を合わせて、沖縄県民と共に沖縄の戦場化を阻止したいと思います。