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[持続と循環の食料自給経済へ]北口 雄幸

農業参入の「ワタミ」が20年もたたずに撤退

北海道議会議員 北口 雄幸

 北海道からはですね、いわゆる国の「規制改革会議」などで農地に民間企業が参入できるようにして、農業に民間企業が参入しやすくする規制改革が進められたわけですが、参入した民間企業が早くも撤退した事例などについて少しご報告をさせていただきたいと思います。
 全国的な居酒屋チェーンの「和民」があります。この「和民」は「ワタミファーム」をつくって、全国で11カ所、そのうち北海道では3カ所、農場を展開し、野菜や卵、それから牛乳などを生産しております。全国の農地面積は630ヘクタールというふうに聞いております。
 そのうち北海道のせたな町、道南の方の瀬棚農場でありますけれど、平成16年度から国の「構造改革特区」を活用し、ワタミは外食産業向けの有機野菜や有機乳製品の生産を目的に設立、参入しました。ところが、この3月末をもって閉鎖、撤退をするということであります。

 今回ワタミが撤退するのは、この瀬棚農場を含む全国の4つの赤字農場を閉鎖するということであります。まあ、この背景にはご承知のようにコロナによって外食産業がきわめて厳しい環境に置かれていることはあります。そんな状況のなかでいわゆる不採算部門、赤字の農場を切るということであります。
 今回撤退する瀬棚農場は、自社で所有する農地が38ヘクタールと賃貸農地が32ヘクタールの70ヘクタールです。働いていた人は、正社員や契約、パートを含めて19人がいましたが、正社員は別部署に異動、契約社員は美幌峠牧場などの広域異動を打診しているとのことです。もちろん、パート社員は解雇となり、すでに休職中と聞いています。
 農地の70ヘクタールは、すべて放牧地として使用し、乳用牛60頭と鶏を約2000羽飼育していましたが、これらの継承者を募集中とのことです。
 国は規制を改革し、民間企業に農地を使うことを認める、そして地域の農業をしっかり守る、農地をしっかり守ってもらう、そんなことで開放したわけであります。けど、結果として、やはり民間企業でありますから、赤字の部分についてはやめていく。その結果、そこに残った農地や、あるいは働く人や、あるいはそういう施設などについてはなかなか引き継ぐことができなくなってしまうという、そんな事例であります。
 鈴木先生もお話をされていましたけど、地域のなかで循環し持続可能な農業を確立する。誰がどうやってその農地を守っていくのか、その農業は誰がやっていくのか、ということも含めながら、地域に根ざした、農業を見つめていく。このことが必要だろうというふうに思います。
 そのためには、大企業などに頼るのではなく、地域に根ざした農業者が農地を守っていくということを求めなければなりません。やはり日本は家族経営を中心に発展してきた農業でありますから、家族経営をしっかりと守っていく。そのための支援も政治がしっかり行う。こんな当たり前のことが必要だというふうに思っています。
 以上、報告とさせていただきます。