2018年07月一覧

友好交流を支えた苦難の4000キロ「朝鮮通信使の道」

祝・朝鮮通信使のユネスコ「世界の記憶」登録!

写真家 仁位 孝雄

1 私と朝鮮通信使

 私は、対馬をPRするため1989年から朝鮮通信使をテーマに、江戸時代ソウルから対馬を経由して江戸、日光までの朝鮮通信使の足跡をたどりながら写真を撮り続けている。撮り始めた90年代は、朝鮮通信使が宿泊したお寺(客館)に撮影に行っても、ご住職が朝鮮通信使って何ですか?と全く通じなかった。
 2002年に長崎市で開催した朝鮮通信使の写真展では、これは遣隋使ですか遣唐使ですか?との質問があるなど一般の方には朝鮮通信使は全く認知されていなかった。 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(中)

山本 正治(本誌編集長)

3 安倍政権の国内政治、地方政策のポイント、批判的検討

 2012年12月、政権に復帰した安倍晋三首相は翌年1月28日、政権復帰後最初の国会所信表明で「危機的な状況にあるわが国の現状を正していく」と大上段から振りかざした。具体的には、「日本経済の危機」「東日本大震災からの復興の危機」「外交・安全保障の危機」、それに「教育の危機」の4つの危機を正すとした。 続きを読む


安倍政権の「林業改革」は山を荒廃させるだけ

零細な農林家が国土の7割の森林を守っている

 

農林家の能美俊夫さんに聞く

 安倍首相は1月22日、国会の施政方針演説で、「戦後以来の林業改革に挑戦する」と述べ、国会は5月25日、「森林管理経営法」を成立させた。
 日本の国土の7割近くは森林である。森林は、材木を供給するとともに、緑のダムと呼ばれ水を貯え、国土を保全し、緑の環境を維持し、CO2を吸収し酸素を供給する。薪や炭などとして熱エネルギー源でもあり、今注目のバイオマス発電に燃料を供給する。
 その森林の大半は荒れ放題である。日本の森林と林業が直面したきわめて深刻な現状と打開の方向、安倍政権が進める方向の問題点などを、農林家の能美俊夫さん(福岡県北九州市・のうみ農園主)に伺った。

 

日本の森林と林業の現状

 日本では、10ヘクタール以下の森林所有者が全体の9割を占めており、大規模に森林を持っている人たちはごく少数です。私のところは4ヘクタールくらいしかありません。その人たちが日本の森を守っているのです。その人たちはどんな人たちかというと、農業と林業をやっている農林家です。なおかつ、他の仕事もしている兼業です。基本的にはそういう人たちが一生懸命、金にもならない山を一生懸命に守ってやっているのです。 続きを読む