2018年06月一覧

緊張緩和をもたらした米朝首脳会談を歓迎する

朝鮮半島の平和に日本は
歴史的責任を果たさなくてはならない

『日本の進路』編集部

 金正恩国務委員長とトランプ大統領は、6月12日、シンガポールで初の米朝首脳会談を行った。両首脳は、「両国間に数十年間続いてきた緊張状態と敵対関係の解消」をめざすことなどを確認し、合意文書に調印した。トランプ大統領は対話中の米韓合同軍事演習の中止も表明し、18日、正式に8月演習が中止された。
 朝鮮半島での半年前までの息詰まるような軍事的緊張の緩和が確認された。
 アメリカによる核戦争挑発の大軍事演習などで緊張は一触即発の極限状況にあった。朝鮮は、日本にある米軍基地も報復攻撃の対象にすると宣言し、文字通り日本国民の生命すらも核戦争の危険にさらされていた。そうした脅威はひとまず遠のいた。 続きを読む


従属関係極まる米軍基地職場

今こそ平等な日米関係を

與那覇 栄蔵・全駐労沖縄地区本部委員長に聞く

■労働者の権利守れない基地職場の現実

 全駐労は在日米軍基地で働く従業員を組織して、北は青森の三沢基地から沖縄まで、全国7つの地区本部があります。現在、全国では2万5千人くらいの従業員が働いていますが、そのなかで全駐労は1万6千人ほど組織しています。沖縄では8千700~800人くらいの基地従業員がいますが、このなかで約6千人、70%くらいを組織しています。
 在日米軍基地が職場という特殊な環境ですから、いろいろなジレンマというものを抱えています。わが国は日米同盟を基軸に防衛政策を掲げ、政治・経済あらゆる分野でアメリカと密接に関わってきました。「従属関係」とよく言われますが、実は基地の職場に集中的に問題が露呈しています。 続きを読む


激動する東アジア情勢、安倍外交に異議あり!

浅井 基文 (元外交官・元市立広島大学平和研究所所長)

 時局講演会「激動する東アジア情勢―安倍外交に異議あり!」が、東京都立川市で5月16日、開かれた。実行委員会の主催で、呼びかけ人は長谷川和男(元杉並教組委員長)、横森利幸(国労八王子地本書記長)、青山秀雄(昭島市議)、嶋﨑英治(三鷹市議)、大沢豊(立川市議)、菅谷琢磨(広範な国民連合・東京)の各氏。
 また、25日には横浜市で「『今こそ日朝対話を、国交正常化の時』神奈川集会」が開かれた。実行委員会主催で、呼びかけ人は桑原絵美(国際手話通訳者)、関田寛雄(日本キリスト教団牧師)、露木順一(元開成町長)、原田章弘(広範な国民連合代表世話人)、山本泰生(横浜国立大学教授)の各氏。
 両集会で元外交官で元市立広島大学平和研究所所長の浅井基文氏が、朝鮮半島情勢を中心に1時間余にわたって講演した。本稿は5月16日の立川市での講演の一部である。(文責編集部) 続きを読む


国際環境の激変と地方・地域、自治体の課題(上)

山本 正治(本誌編集長)

 安倍首相は今も「アベノミクスの成果を地方に」などと欺いている。日本経済は「緩やかな成長」が言われるが、国民は貧しく家計消費は伸びず、需要は海外依存、大企業の海外収益依存度は5割を超える。
 主要先進国は、どこもリーマン・ショック前の成長を超えることはない低成長傾向が続くが、なかでも日本は先進国の中で最低の成長にとどまっている。国内の需要は乏しく、バブル崩壊後の「失われた20年」を脱していない。
 安倍政権のアベノミクスで、大企業と資産家は極度に豊かになったが、地方はますます疲弊し、貧困化と格差が拡大し持続可能性が問題となっている。 続きを読む


TPP12より悪い、TPP11

鈴木宣弘(東京大学教授)

米国抜きのTPP11の発効は、日米2国間でTPP以上の対日要求に応えることとセットなので、「TPP11+米国へのTPP12以上の譲歩=TPP12以上の日本への打撃」となる。

「自由貿易」への反省の時代に入った

なぜ米国民にTPPが否定されたのか。「もうかるのはグローバル企業の経営陣だけで、賃金は下がり、失業が増え、国家主権が侵害され、食の安全が脅かされる」との米国民のTPP反対の声は大統領選前の世論調査で約8割に達している。トランプ氏に限らず大統領候補全員がTPPを否定せざるを得なくなった事実は重い。
「トランプ氏の保護主義と闘わなくてはならない」という日本での評価は間違いである。米国民によるTPPの否定は「自由貿易」への反省の時代に入ったことを意味する。 続きを読む


米国、自動車関税で恫喝。自由貿易協定を迫る

亡国・腐敗の安倍政権打倒!

自主・平和の政権をめざし連携を発展させよう

「日本の進路」編集部

 安倍政権と与党などは、離脱した米国を除く11カ国による環太平洋連携協定の新協定(TPP11)承認案を5月15日に、同関連法案を24日に、強行採決で衆院を通過させた。6月20日までが会期の参院での攻防となっている。
 この法案の本質は、鈴木宣弘東大教授が内閣委員会での参考人質疑(4~6ページに掲載)で指摘するように、「食を外国に握られることは国民の命を握られ、国の独立を失う」のであり、まさに亡国の協定である。関連法案を含めて阻止の闘いを強め、安全保障確立戦略の中心を担う恒久的な農林水産業政策確立をめざす闘いを発展させなくてはならない。 続きを読む