「5年たっても」、東日本大震災その後

産業復興の課題

 未曾有の震災ということで、当時の民主党政権では「中小企業等グループ化補助金」、つまり「いかなる災害による被害についてでも個人の資産形成に資する税金投入はまかりならぬ」というそれまでの法律の鉄則を翻し、今までありえなかった政策を初めて実現しました。
 個人ではなくグループ化することによって、被災した企業や商店の復興について4分の3を税金で賄い、残り4分の1の資金に対しては、ハードルはありますが10万の手付金で20年まで無利子で貸し出し支援をする、かつてない被災者に寄り添った形の政策を打ち出したのです。
 さすがの当時野党の自民党にも非常に歓迎され、全体で約3900の事業者に対して2968億8000万の国費が今まで投入されています。
 今の課題となっているのは、例えば水産業の加工工場などで復旧に1~2年間がかかっている間に販路を失い、それ故に震災前と同じようにラインを動かせない、販路の拡大という問題。あるいは、気仙沼市で震災前の介護施設復旧の予算を付けましたが、結局現地での働き手が集まらないとベッド数をやむなく半減したり、開所数が減ったといった、働き手不足の問題です。

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宮城県石巻市立大川小学校の現状(震災遺構として全体保存する方針で石巻市と国で協議中)

急速に減少する周辺地域人口

 先般の国勢調査では東日本大震災により転居した方は全国で32・9万世帯ありました。そのうち宮城県、福島県、岩手県の被災3県で5割強、本県については233万4215人から1万3950人が減少しました。
 仙台市は3万6199人が増加しましたが、他の市町村は石巻市1万3590人減をはじめ、気仙沼市8572人減、他市町村を合わせると、なんと約5万人を超える人が5年前より減ったということです。
 ちなみに、本県で震災で亡くなった方は9541人、行方不明者1236人、関連死920人との現在の報道です。震災の影響だけではありませんが、しかし、震災により仙台市への人口集中が加速したことは否めません。
 少し前から「人口消滅都市」という言葉がインパクトを与える一方で、現政権で「地方創生」政策が進められようとしていますが、地方移住事業については「若い方の移住ではなく都会に比べれば割安の施設を求めて高齢の方々ばかりがくることにはならないのか?」などという懸念の声が議会質問の中で自民党議員からも投げかけられていました。

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