偏見を捨て、「今の名前で」
今、日本も中国も昔の名前で出ています。昔の「中国人は汚い、ウソツキ」という名前です。「日本人は怖い」「サーベル下げて、軍帽かぶって、中国人を追っかけて、刺し殺す」という日本人の昔の名前です。こんなことで、2人が仲良くなるはずがありません。中国人は日本人と同じ人間です。ウソツキも汚いのもいます。人口は日本の10倍だからその10倍くらいいます。この中に中国の方がおられるか分かりませんが、見分けはつきません。中国人がとくに汚くて、「あなた、中国人ね」っていうことは全くない。日本人でも汚い人はいます。
私は中国国内を、チベット、広西チワン自治区、内モンゴルも含め、ほとんど行っています。どの地域に行っても、日本人とまったく同じように泣いて、笑って、それで話ができます。それにもかかわらず、日本人は中国人に偏見を持ち、中国人も日本人に偏見を持っている。来週、早稲田大学で中国の経営者との会合があります。前回やったときは、日本に初めて来た方が、日本に来るとき、お父さん、お母さん、おじいちゃんが、「あんな怖い国へは行くな」と言われた。実際に来てみたら、軍帽をかぶっていない。サーベルを下げていない。今まで聞いた話と全然違う。そういう話がありました。日本人を見たことがない人が、実際を知らずに日本人を語っている。
30年前、中国に何回も行きました。スカートをはいている女性は見かけず、みんな自転車に乗っている。今はスカートをはいていない女性は見かけません。今、自転車は少なく、ほとんどが自動車です。スカートでハイヒールをはいている。化粧も日本人と同じです。それでも中国に行ったことがない日本人は「中国人は汚い」と思っているかもしれない。
中国人も日本に来たときに、同じようにビックリ仰天している。怖いと思っていた日本人は優しい、コンビニでは何でも安い、と驚いて帰っていく。中国に帰ったときに、お父さん、お母さんに「今の日本は全然違うよ」「日本人はそんな人、いませんよ」と言いなさいというと、かれらは疑いげに見て、特別な地域しか連れていかないと思っている。「そんなことはないよ」「他に行きたいところ行きなさいよ」と言っています。だから、今の名前で出れば、お互いに問題ない。