進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」 横須賀と厚木

横須賀と厚木――大きく変わる基地の使い方

木元 茂夫(神奈川県を中心に反戦・反基地運動に参加)

 米の原子力空母リンカーン(全長333m、満載排水量10万3637トン)の入港について、外務省北米局日米地位協定室長が横須賀市に説明に来たのは5月18日。しかし、その内容たるや「具体的な入港日時、滞在期間については、米軍の運用に関わるため現時点では承知していない。原子力艦船が我が国に寄港する際、寄港の24時間前に米側から通報を受けることになっている。今回の寄港も同様である」という極めて不親切な、最小限の情報提供であった。


 リンカーンは1月3日にアメリカ西海岸のサンディエゴ軍港を出港、1月17日から「沖縄南方」海空域で、日米共同訓練を繰り広げた。空母がリンカーンとカールビンソンの2隻、強襲揚陸艦も2隻、イージス艦5隻という大規模なもので、空母打撃群と海兵隊との合同艦隊であった。こうした訓練を連続して行った上での横須賀入港であった。だから、アメリカ海軍の立場からすれば、乗組員を休養させたかったのであろう。外務省は「米側から、寄港期間中、乗組員は施設・区域外への外出が許可される旨、説明を受けている」と横須賀市に告げている。

 上地横須賀市長は、「横須賀港をいわゆる母港としない原子力空母が寄港するのは、昨年のカールビンソンに続いてのことで、このような寄港が毎年あるのは初めてのことである。昨今の厳しい安全保障環境は十分に理解できるが、市民にしっかりと説明することが、私の責務であるとして空母の安全管理、迅速かつ適切な情報提供を要望している。

 2年連続してレーガン以外の空母が寄港することは横須賀市にとってかなりの衝撃であった。報道発表には「市長から、現在ロナルド・レーガンが横須賀に寄港中だが、2隻同時に寄港することはないか、また、今後の原子力空母の2隻体制を意味するものではないということを確認した」とある。

 しかし、「国からは、米側によれば、現在横須賀米海軍基地に入港中のロナルド・レーガンは出港した上で、当該同型艦が寄港する旨説明を受けている。また、米海軍の艦船の運用については、米軍の運用に関わるものであるため、外務省では承知していないとのことであった」と、米軍の運用に疑問をもつなと言わんばかりの回答であった。説明時間わずか20分である。

 結果として、空母レーガンは5月20日に出港し、リンカーンは72機の艦載機を搭載した状態で21日に入港してきた。「2年連続」というが、正確にはカールビンソンの寄港は2021年8月末、今回のリンカーンは5月、9カ月という短期間での入港であった。

 この2隻の特徴は、レーガンが搭載していない、ステルス戦闘機F-35Cと輸送機オスプレイCMV22を搭載していることである。この2種類の艦載機はセットで、F-35Cのエンジン故障に備えて、CMV22はエンジンを運搬できる設計になっているという。

 さらに5月26日にリンカーンが出港すると、29日には最新の強襲揚陸艦トリポリ(全長261m、満載排水量4万4447トン)がF-35B戦闘機を14機搭載して入港。これについては原子力艦船ではないため、外務省からの事前説明は何もなかった。空母2隻とトリポリは6日からグアム島周辺で行われた大規模演習バリアントシールドに参加、トリポリは16日、横須賀に再び寄港した。

 自衛隊は部隊としてはこの演習に参加していないが、アメリカ海軍は横須賀入港前のトリポリに、空自の隊員が乗艦している写真を公開しており、そのまま参加した可能性もある。

 一方、6月13日、海上自衛隊は環太平洋合同軍事演習に参加するヘリ空母「いずも」と護衛艦「たかなみ」を出港させた。そのままインド太平洋方面派遣部隊として、「米国、インド、オーストラリア、ソロモン諸島、トンガ、パプアニューギニア、パラオ、バヌアツ、フィジー、ベトナム、フィリピン、仏領ニューカレドニア」を訪問するという。中国が4月にソロモン諸島と安保協定を締結したことに対抗して、南太平洋諸国を歴訪するのが今年の特徴である。非核市民宣言運動ヨコスカは、13日早朝から抗議行動を行った。

厚木基地では米海兵隊機が市街地上空で

 2021年6月、米海軍厚木基地は隣接する日本飛行機株式会社厚木工場と、オスプレイの定期機体整備の契約を結んだ。7月1日から30年末までの長期契約である。昨年11月にはカールビンソンの、今年5月にはリンカーンのCMV22が厚木基地に飛来している。5月24日に飛来したのは20日に奄美空港に整備のため緊急着陸した機体と見られており、基地周辺で飛行したのを確認している、と爆音訴訟調査研究センターは報告している。

 6月9日には、米海兵隊の攻撃ヘリAH-1Z(対戦車ヘリとも呼ばれ、空対地ミサイル等を搭載している)が突然飛来し、翌日には大型輸送ヘリCH53Eとオスプレイも飛来して、訓練を始めた。厚木基地爆音防止期成同盟、第5次厚木基地爆音訴訟原告団、原子力空母の母港化に反対し基地のない神奈川をめざす県央共闘会議、神奈川平和運動センターは、14日、南関東防衛局・座間防衛施設事務所に抗議の申し入れを行った。「いったいこのような市街地での訓練飛行を誰が認めたと言うのでしょうか。米軍には施設区域を提供してはいるものの、訓練をしてよいとはどこにも書いていません。とりわけMV22オスプレイについては、住宅密集地を避けて飛行するようにという日米合意も交わしています。今回参加した機は、どの機種も頻繁に事故や緊急着陸の履歴があります。中でもMV22オスプレイは、今年に入って2度の墜落事故を起こしています。わたしたちは、これら米軍機の安全性について強い懸念を抱いております。このような機の訓練を許すべきではありません」と抗議している。最も訓練が激しかった16日、17日には私も監視に行き、大型輸送ヘリが2機同時に離陸するのを現認した。

 横須賀といい厚木といい、中国との対決を深め、遠征前方基地作戦(EABO)など、さまざまな軍事訓練を繰り返す米軍に、地域住民は振り回されているという思いを強くしている。

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