進む軍事強化――「本土」の「沖縄化」 山口県

極東最大の岩国基地(山口県)
連日の訓練、機能強化が進む

岩国市議会議員 姫野 敦子

 極東最大の米軍基地になった岩国基地には、空中給油機、空母艦載機やF35Bなどに加えて、このたびステルス機能の戦闘機F35Aがカナダから、またF22も飛来。このF22はステルス性能に加えて多様な任務にも対応できる性能を持ち、猛禽類を意味するラプターと言われる。数日前には無人偵察機の「トライトン」も飛来している。

 議会中も昼休みの12時40分ごろには連日次々と爆音を轟かせて離陸していく。騒音の苦情もいつにも増して多いと聞く。

 訓練の狙いは即応能力の向上。背景には中国や北朝鮮の存在があり、外来機の飛来は力の空白を生じないようにとの配慮などで仕方ないと言われている。

 空も心配だが、基地に付設の軍港には2021年度には17隻、本年度もこの2カ月で4隻が寄港と、これまでの15年間に5隻とは比べものにならない数の艦船が接岸、戦略上の拠点化が進んでいる。


 米海軍の強襲揚陸艦「トリポリ」、特に大型艦船「ミゲルキース」は頻繁に姿を見せており、昨年10月以降4回目の寄港。大きな船影が岩国に見えるたび、何が来たのかと不安になる。

危機感なく立ち遅れる市当局

 市は庁舎から船影を確認後に防衛に問い合わせると言うが、情報はいつも後手になっている。空母化も視野に入っている自衛隊の護衛艦「いずも」も寄港。甲板にF35Bが垂直着陸でき、超短距離離陸も可能と聞く。

 バリアント・シールドという多国籍の大きな訓練に伴う行動の一環と思われるが、6月17日の市議会一般質問でも相次ぐ艦船の寄港や無人偵察機の「トライトン」の約5カ月の展開予定について問われると、「恒常的な配備ではない、一時的なものだと捉えており、やむを得ない」と市長は答弁。危機感は感じられない。国益を損なわないことを優先、数年様子を見てからなどと述べている。

 岩国では戦闘機の騒音被害に対する第2次訴訟の準備も進んでいめ。高まる緊張に、もし岩国が核攻撃などのターゲットとなった場合に、逃げ込めるシェルターはあるのか?と尋ねる議員もあった。市内4カ所にあるというが、国道を渡るためのただの地下道。決してシェルターとは言えない。

 極東最大の基地、岩国のこれからがますます心配となってくるが、市民には危機的状況はきちんと伝わってはいない。
 愛宕山のアメリカ人向け住宅やスポーツ施設、市のふくろう公園の遊具には多くの国際的な子どもたちが集まり、穏やかな日常が繰り広げられている。ウクライナのような突然の侵攻、ミサイルの着弾のような悪夢が襲うことがどうかないように……と祈るばかり。

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